現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 柔らかな曲線美が記憶に残る4ドアHTの佳作! 日産 プレセアが描いた9年【偉大な生産終了車】

ここから本文です

柔らかな曲線美が記憶に残る4ドアHTの佳作! 日産 プレセアが描いた9年【偉大な生産終了車】

掲載 更新 57
柔らかな曲線美が記憶に残る4ドアHTの佳作! 日産 プレセアが描いた9年【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

消滅はハイパフォーマンス車の宿命!? 日産GT-Rが生き延びる方法は?

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 プレセア(1990-1999)をご紹介します。

文/伊達軍曹 写真/NISSAN

【画像ギャラリー】流麗なデザインをじっくりと! 日産 プレセアをギャラリーでチェック!!!

■カリーナEDのヒットに触発 日産が送り出したミドルクラスの4ドアハードトップ

 トヨタ カリーナEDが巻き起こした「4ドアハードトップブーム」に乗り遅れまいと開発された、7代目日産 サニー(B13型)の基本コンポーネンツを流用した4ドアピラードハードトップ。

 流麗なフォルムにより当初は人気を博したが、居住性に難のある4ドアハードトップのブーム自体が長くは続かず、フルモデルチェンジを受けた2代目のデザインがきわめて凡庸だったこともあり、2000年をもって販売終了となったモデル。

 それが、日産 プレセアです。

 1985年に登場した初代トヨタ カリーナEDに端を発する「背が低い4ドアハードトップ」の一大ブーム。

 そのブームに乗るため、日産が当時のB13型サニーの車台を流用して作ったのが、1990年6月に発売された初代プレセアでした。

日産 初代プレセア。全長×全幅×全高は4395mm×1690mm×1320mm、ホイールベースは2500mm。車名の「PRESEA」は「宝石」という意味

 車台はサニーの流用ですが、ホイールベースは70mm延長して2500mmに。そこに載せられた個性的で美しいボディをデザインしたのは、当時は日産の社内デザイナーだった和田 智氏。

 こちらも名作デザインといえる初代日産 セフィーロもデザインし、その後はアウディに移籍して「アウディ A6」などのデザインを担当することになる人物です。

グリルレスの端正なマスク、流麗なスタイリングでユーザーにアピールした

 搭載エンジンはサニーと共通の1.5L(94ps)のほか、ブルーバードから移植した1.8L(110ps)と2L(140ps)の3種類を用意。トランスミッションは4速ATと5MTが用意されました。

 初代プレセアは、内装デザインもなかなか凝ったものを採用していました。

 主力グレードだったCt.IIでは7種類の仕様から好みのものを選ぶことができ、スポーティな風合いのツイード仕様や、ホフホワイトも選ぶことができた本革&専用クロス仕様は、当時としては「かなりおしゃれ!」と感じられたものです。

車名にちなみグレードをCt.(カラット)で表した

 発売から5年後の1995年にはフルモデルチェンジが行われ、B14型サニーをベースとする2代目のプレセア(R11)が登場しました。

 しかし2代目のデザインは、和田 智氏が担当した初代と違ってすべてが凡庸で、これといった魅力もキレも感じられないものでした。

 さらに1990年代後半になると、4ドアハードトップは「居住性は正直イマイチである」という点からユーザーに敬遠されるようになり、ジャンル自体が急激に失速。

 そのため2代目プレセアは1999年8月には生産終了となり、在庫分のみの対応に。そして在庫を売り切った翌2000年8月、ブルーバードシルフィに統合される形で販売終了となりました。

■ブームとデザイン プレセアを阻んだ2つの“終焉”

 初代の発売当初は好調なセールスを記録した日産 プレセアが、2代目をもって完全に終了してしまった理由。

 それは、直接的には「4ドアハードトップブームが終焉したから」ということになるでしょう。

 1980年代後半から1990年代前半にかけては、各社が登場させた「背の低い4ドアハードトップ」――具体的にはトヨタ カリーナEDやスプリンターマリノ、ユーノス300などが「カッコいい!」ということで、比較的若い世代のドライバーから大きな支持を集めました。

インパネ部(初代)。ライトを点灯させるとメーターが鮮やかなブルーに発光する「マリンブルーメーター」を採用。演出を高めた

 しかし1990年代半ば頃から、一部の自動車評論家は「あんなモノ(背の低い4ドアハードトップ)はセダンじゃない! 邪道だ!」的な主張をし始めました。

 そして――決して自動車評論家の意見につられたわけではないでしょうが(普通の人は車雑誌など読まないので)、多くのユーザーも「よく考えたら、さすがにこの背の低さって不便だよね」と思うようになっていきました。

 そのため、今見てもなかなかカッコいいと思える4ドアハードトップ各車の人気は、日産プレセアを含め、急激にしぼんでいきました。

 そしてプレセアの場合は、そこに追い打ちをかけたのが「2代目の凡庸なデザイン」でした。

 当時は日産の社員だった和田 智氏が線を引いた初代プレセアのスタイリングモチーフは、「川の流れによって削られた自然の石の丸み」とのこと。

リアビュー(初代)

 その高尚なコンセプトは、デザインに関する専門知識ゼロな筆者には理解できません。

 しかし出来上がった完成品を見れば、筆者のような素人にも「造形としての根本的な良し悪し」は理屈抜きで伝わってくるものです。そういった意味で、初代プレセアは偉大なデザインでした。

 しかし2代目は――誰がどういう意図でデザインしたのかは存じませんし、いろいろな社内事情や「上からの指示」みたいなものがあっての結果だろうと理解もできますが、何の印象も残らない、「どこかで見たようなカタチの寄せ集め」でしかありませんでした。

 まぁ仮に2代目が素晴らしいフォルムとディテールであったとしても、1990年代後半にはジャンル自体が終わってしまったため、いずれにせよ日産 プレセアの命脈は途絶える運命にあったのでしょうが……。

■日産 プレセア(初代)主要諸元
・全長×全幅×全高:4395mm×1690mm×1320mm
・ホイールベース:2500mm
・車重:1090kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1838cc
・最高出力:110ps/6000rpm
・最大トルク:15.3kgm/4000rpm
・燃費:10.4km/L(10・15モード)
・価格:169万円(1990年式 Ct.II 4速AT)

【画像ギャラリー】流麗なデザインをじっくりと! 日産 プレセアをギャラリーでチェック!!!

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

デニー・ハムリンが今季3勝目。400周中136周の最多リードでカイル・ラーソンを完封/NASCAR第11戦
デニー・ハムリンが今季3勝目。400周中136周の最多リードでカイル・ラーソンを完封/NASCAR第11戦
AUTOSPORT web
高機能5層フィルター採用!カーエアコン用交換フィルター「キャビンフィルター」発売 ベロフ
高機能5層フィルター採用!カーエアコン用交換フィルター「キャビンフィルター」発売 ベロフ
グーネット
5月5日限定!無料でキッズEVカートを楽しめるチャンス!シティサーキット東京ベイ
5月5日限定!無料でキッズEVカートを楽しめるチャンス!シティサーキット東京ベイ
グーネット
SRO、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ最終戦の日程を変更。ジェッダでの初開催を予定
SRO、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ最終戦の日程を変更。ジェッダでの初開催を予定
AUTOSPORT web
新型「Gクラス」初公開! 580馬力超えの「超本格SUV」! カクカクデザインがカッコイイ「超静音モデル」中国に登場
新型「Gクラス」初公開! 580馬力超えの「超本格SUV」! カクカクデザインがカッコイイ「超静音モデル」中国に登場
くるまのニュース
アストンマーティン 新V12エンジンは出力835PS!新フラッグシップモデルに搭載へ
アストンマーティン 新V12エンジンは出力835PS!新フラッグシップモデルに搭載へ
グーネット
運送会社が望む「脱・手積み手降ろし」! 2024年問題の解決は「パレット積み」と「高速料金割引の拡大」にアリ!!
運送会社が望む「脱・手積み手降ろし」! 2024年問題の解決は「パレット積み」と「高速料金割引の拡大」にアリ!!
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol36. 溝端淳平さん(後編)
愛車の履歴書──Vol36. 溝端淳平さん(後編)
GQ JAPAN
3時間レースとなったゴールデンウィーク富士決戦……昨年の450kmとは違った展開が見られる? 特にGT300の戦略面に変化か
3時間レースとなったゴールデンウィーク富士決戦……昨年の450kmとは違った展開が見られる? 特にGT300の戦略面に変化か
motorsport.com 日本版
レーシングラジエーター、ビッグキャリパーキットIIなど、ブリッツからアイサイト付き『GR86/BRZ』用パーツ4製品が一挙発売
レーシングラジエーター、ビッグキャリパーキットIIなど、ブリッツからアイサイト付き『GR86/BRZ』用パーツ4製品が一挙発売
レスポンス
1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選 Vol.2
1980年代に採用されたマニアックな日本車の装備3選 Vol.2
GQ JAPAN
[15秒でわかる]ACコブラ『GTロードスター』...伝説の再来
[15秒でわかる]ACコブラ『GTロードスター』...伝説の再来
レスポンス
レクサスが手掛けた「小さな高級車」なぜ誕生? 東北で生産される理由は? コンパクトSUV「LBX」とは【Behind the Product #02】
レクサスが手掛けた「小さな高級車」なぜ誕生? 東北で生産される理由は? コンパクトSUV「LBX」とは【Behind the Product #02】
VAGUE
新型「小さな高級車」世界初公開! 斬新「カクカク」顔が超カッコイイ! 全長4m級の新型コンパクトSUV「MINIエースマン」北京で発表
新型「小さな高級車」世界初公開! 斬新「カクカク」顔が超カッコイイ! 全長4m級の新型コンパクトSUV「MINIエースマン」北京で発表
くるまのニュース
マルチピットストップ必須の面白いF1レースが毎回見たい! でもピレリにとっては超難題……実現にはモナコでタイヤテストするしかない?
マルチピットストップ必須の面白いF1レースが毎回見たい! でもピレリにとっては超難題……実現にはモナコでタイヤテストするしかない?
motorsport.com 日本版
【日本メディア初試乗】ついにMGに帰ってきたオープンモデル「サイバースター」マーケットはどう受け入れる?
【日本メディア初試乗】ついにMGに帰ってきたオープンモデル「サイバースター」マーケットはどう受け入れる?
AUTOCAR JAPAN
アイルトン・セナ没後30年記念コラム:強烈な個性を持つ天才ドライバーがF1にもたらした新基準
アイルトン・セナ没後30年記念コラム:強烈な個性を持つ天才ドライバーがF1にもたらした新基準
AUTOSPORT web
今季フェラーリの武器は安定感? サインツJr.が語る躍進のカギ「昨年は原因不明の危うい瞬間があった」
今季フェラーリの武器は安定感? サインツJr.が語る躍進のカギ「昨年は原因不明の危うい瞬間があった」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

57件
  • 初代プレセアの1.8CTⅡ懐かしい。
    中学生の自分がマツダ等だった親父を口説いて買わせた思い出の車。
    このクラスでは当時まだ珍しかったグリップ式のドアハンドル、パワーアンテナ、足踏み式サイドブレーキ、オートエアコン等装備も凄いんだよ!って熱く語り何度も試乗させ買わせましたw
    18で免許取ってからも親父から借りていろんなところへ出掛けたな。マリンブルーメーターも深夜でも眩しくなく特徴的で好きだった。
  • プレセア、こないだ走ってるの見たわ
    まだ現存してるんだな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

142.2203.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
プレセアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

142.2203.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村