今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ジャガー Xタイプ」だ。
ジャガー Xタイプ(2001年)
「The new Jag generation」を世界的なキャッチフレーズに登場したジャガーのニューモデルが、Xタイプだ。ジャガーとしては初のコンパクトサルーンだが、とはいってもそれほど小さいわけではない。メルセデス・ベンツ CクラスとBMW 3シリーズが双璧をなす日本のこのクラスで、今年(編集部註・2001年)は約1000台、来年は4000台以上の販売を目指すという。
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さて、Xタイプは、サイズが小さくてもジャガーらしい感じが良く出ている。Sタイプよりジャガーらしさを感じるくらいだ。特にヘッドランプまわりは、クラシカルな中に新しいデザインも組み込まれて好印象だ。グリーンハウスの小さなスタイリングや寝かされたAピラーのためヘッドルームはあまり広くはないのだが、それもジャガーらしさなのかもしれない。
インテリアも、上級モデルとイメージを共通化している。もともとジャガーのインテリアはアメリカ車っぽく、素っ気ないところがある。ウッドや本革をふんだんに用いて豪華なのだが、細かいスイッチやノブなどは意外と作り込んでいない。メーターの数字書体などにもあまり色気はないし、エアコンの温度表示のデジタル数字も妙に大きかったりする。
ステアリングはチルト&テレスコピック調整が可能で、シートは高さも調整できるから好みのドラポジを取ることができる。ただ、やはり足長胴短(?)のイギリス人の方がヘッドまわりなどに余裕があるベターなポジションが取れるだろう。リアシートは狭くはないが、広々というほどではない。
今回は、3LのSEと2.5Lのスポーツに試乗した。まずは3L。エンジンはレスポンス良く7000rpmまで軽やかに回り、しかもそのサウンドはなかなか快音といえる。加速時の音を外で聞いていても、かなり小気味良い。動力性能は十分以上だろう。ハンドリングも自然で、およそジャガーにはふさわしくないギンギン攻めるような走りをしない限りはコーナリング時にプッシュアンダーステアが出ることもなく、4WDの違和感はない。むしろFR的な印象だ。足まわりは柔らかすぎず硬すぎず、いいレベルにある。
3Lの後に2.5Lに乗るとパワー差を感じてしまうが、普通に乗るならこれでも十分だ。スポーツサスペンションはノーマルより極端に硬くはなく、タイヤサイズの差で突き上げ感が少し気になるくらいだ。スポーツ専用のシートはサポート感がけっこう強い。
Xタイプは、特に際立ったところはないがハンドリングのいいクルマだという印象を受けた。横置きエンジンやFFベースということを気にする人がいるかもしれないが、エンジンは気持ち良く回り、全体の身のこなしは軽快で、しかもロードノイズは小さく静かだ。
今までジャガーというブランドに興味は持っていても車格的に手が出にくかった人も、このXタイプなら触手が伸びるだろう。ベーシックな2.5でも装備は必要十分なレベルにあり、本革シートもオプションで選べる。走りも遜色はないから、オススメはやはりベーシックな2.5になるだろう。
■ジャガー Xタイプ 2.5V6スポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4685×1790×1420mm
●ホイールベース:2710mm
●車両重量:1620kg
●エンジン形式:V6・DOHC・横置き4WD
●排気量:2494cc
●最高出力:145kW(198ps)/6800rpm
●最大トルク:244Nm(24.9kgm)/3000rpm
●トランスミッション:電子制御5速AT
●タイヤ:225/45R17
●車両価格(当時):455万円
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みんなのコメント
フォード寄りのジャガー。
ただフォードの意向でFFベースのプラットフォームを使わされたことを考えると、ジャガー の設計陣と評価部隊は頑張ったと思います。