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ダイハツ 従来の短期開発、開発コスト、工数コストの徹底削減をかなり軌道修正した改善策と開発体制

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ダイハツ 従来の短期開発、開発コスト、工数コストの徹底削減をかなり軌道修正した改善策と開発体制

ダイハツは2024年2月9日、ミラ イース、ハイゼットなど軽自動車10車種の生産・出荷の再開を決定した。

これら10車種は、国土交通省の立会試験の結果、道路運送車両法の基準に適合していることが確認され、これを受け、10車種について2月26日から生産を再開することを決定した。同時に完成済みの未出荷車両の出荷は2月19日から実施することになった。

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■再発防止策
その一方で、2月9日にダイハツは国土交通省の是正命令などに従い、抜本的な再発防止策を策定し、国土交通省へ再発防止についての報告書を提出した。

【関連記事】ダイハツ不正事件の深層:https://autoprove.net/japanese-car/daihatsu/226469/

その内容は、二度と不正を起こさないための「三つの誓い」を決定し、開発・法規認証プロセスにおける再発防止策に加え、不正の背景となった経営や組織風土の問題に対する抜本的な施策を着実に進めていくとしている。

なお、「三つの誓い」とは、企業としての風土改革、経営方針の改革、モノづくり・コトづくりの改革を意味している。自動車メーカーとしては、認証プロセスを軽視していると言わざるを得ない不正が行なわれていたこと、そのような不正が行なわれてしまう企業文化、経営方針を作ってしまったことを反省し、再発防止を実行していくとしている。

特に注目すべきは「モノづくり・コトづくりの改革」である。これは、車両開発全体の業務管理手法の改善、 不正行為を起こし得ない法規・認証関連業務の実施体制の構築である。

法規認証室を車両開発本部から分離させ、品質保証部とともに品質統括本部を設立する。法規・認証業務を管掌する取締役を新たに配置し、経営側の責任を負う体制とする。また、車両性能開発部を主に開発を担う車両性能開発部と、主に評価を担う車両性能評価部に分離し、また安全性能の認証業務は法規認証室に移管することで、開発・評価・認証の役割を明確に切り分けることになる。

開発に関しては、ダイハツの得意分野であった「短期開発」の弊害を直視し、余裕をもったスケジュール、あるいは多少窮屈でも問題発生時に柔軟に変更できるスケジュールが実現できるように開発・認証プロセスの見直しを行なう体制とすることも決定された。

まず、開発期間に関しては従来のダイハツ方式を改め、期間は1.4倍程度とする。従来の超短期開発で、認証試験にしわ寄せが発生していたことに対する反省だ。また、実験や認証試験のための車両が不足していたことも改められる。

KS(確認試作)車とNS(認証試作)車を日程上切り離し、KS車を認証試験に使用する事を禁止することを技術標準に明記した。これまでは試験用車両の台数が少なく、仕様・装備が異なるKS車を認証試験に使用していたことに対する反省だ。

また、認証試験移行会議をすべての試験に対して実施する。判断者である法規認証室の室長が、NS車と量産車との同一性を基準に、認証試験への移行の可否を判断。さらに、すべての申請準備完了後には、品質統括本部長が型式指定の申請前決裁を新たに実施し、型式指定の申請可否を判断する。もし、そのまま工程を継続すべきでない事情が生じた場合には、後工程のスケジュールを見直すとしている。

そして、開発段階で生じた問題をNS車(認証試験)に持ち越さないため、開発状況を正しく社内で共有する仕組みを構築し、開発段階で発生した重要な問題点については処理プロセスの中で各室長の承認を得ることを技術標準に記載する。これまで承認者が技術標準に規定されていなかったため、改めて明確にする。

開発段階の衝突評価においては、実車を破壊する試験であることから、KS車が図面通りであるかを確認し、性能予測を関係者と合意する衝突移行確認会議を実施する。開発完了や認証届出時に限らず日程に影響のある問題が発生した時には、各機能長が問題を指摘し、部長が問題提起する。

認証試験に関しては、業務プロセスに従い正しく試験ができるよう、認証業務で使用する資料を標準化し、具体的には、試験の流れに沿って、試験依票、試験手順書、試験報告書等の標準化を進める。これは、現在の道路交通法規、特に安全に関する法規が多岐にわたり、複雑化していることへの対応であり、従来のような経験則による認証試験手法を改めようということだ。

もう一つ重要なことは、従来は認証試験の部門などは開発業務の後の付随的な業務とされ、人員の削減が進んでいたが、これを大幅に改め、法規認証室(試験グループ)の人員を2023年1月比で6 倍へ増員し、今後、2024年6月を目途に、2023年1月比で7倍へ増員するとしている。

また、増員した人員で試験に携わるメンバーは、いずれも設計、性能開発、評価の経験者とし、既存の法規認証室メンバーとともに業務を行なうことで、人員全体の能力の向上を図ることになる。

さらに、開発における安全性能に関わる部署の人員を増員した。具体的には、安全性能評価に関わる人員は2023年1月比で1.5倍に増員し、安全性能開発に関わる人員としては、過去に安全性能に精通した知見者が不足していたため、ベテラン級の人員をを2023年1月比で2倍に増員するとしている。

このように見ると、従来のダイハツの特長でもあった短期開発、開発(工数)コストの徹底削減がかなり軌道修正されていることがわかる。

ヨーロッパ車のような6~7年サイクルのモデルチェンジまでは望むべきはないにしても、少しでも余裕がある、工数をよりかけた開発体制となることはクルマづくりという点では評価に値するということができる。

ダイハツ 関連記事
ダイハツ 公式サイト

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みんなのコメント

14件
  • ********
    少し高くなっても良い。
    安心安全のためにダイハツには頑張って欲しい。
    応援したい。
  • azu********
    企業根性が『1ミリ、1グラム、1円、1秒にこだわったクルマづくり』だから改善は無理。
     根底がセコく作って高く売る(品質より利益)、トヨタ流経営。 コスト、コストって品質第一の思想は無い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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