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脱・炭素の最前線「屋久島」で、アウディが始めるBEVの活用 地元高校生が担う“未来の島づくり”もサポート

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脱・炭素の最前線「屋久島」で、アウディが始めるBEVの活用 地元高校生が担う“未来の島づくり”もサポート

アウディの「ツアー」とは何か?

鹿児島県・屋久島で「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」が行われた。

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いったい、どういう内容なのか? アウディはなぜ、こうしたツアーを行うのか?

そして、このツアーが日本全国のアウディユーザーや、これから初めてアウディに触れる、または以前に乗っていたが改めてアウディに触れようと考えている人たちにとって、どのような影響を与えるのだろうか?

順を追って見ていきたい。

最初に、ツアー実施の目的について。アウディ ジャパンは、次のように説明している。

「BEVシフトをはじめとするアウディのビジネス戦略を理解していただきながら、持続可能な社会の実現の重要性について、1人ひとりが考えるきっかけの場を提供します」

アウディといえば、2026年に欧州などアウディにとって主要な販売地域で導入する新型車はすべてBEVに移行することを明らかにしている。日本においては、市場動向を注視しながらBEVシフトを進める。

その上で、2033年にはグローバルでガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、内燃機関の生産は終了すると宣言している。

こうしたモデル戦略だけでなく、アウディは欧州での製造拠点でのゼロエミッションやカーボンニュートラルに向けた事業変革を進めているところだ。

なぜ、屋久島で実施するのか?

「アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー」はこれまで、2022年に岡山県真庭市(バイオマス発電)、および岩手県八幡平市(地熱発電)で実施された。

3回目となる今回は、水力発電がキーワードだ。

屋久島について、一般的には「日本で最初に世界自然遺産に登録された地」と有名観光地というイメージが強い。

島の周囲を黒潮が流れ、また島の中央部には九州最高峰の山がある原生林が島の皆さんの努力によって守られていることにある。

原生林には、観光スポットとして名高い「縄文杉」があるが、生態学においてこうした自然が豊富な理由は、年間8000mm~1万mmにまで及ぶ膨大な雨量にある。東京の4倍を超えるレベルだが、島の地層や形状によって水はけがよく、洪水に至ることは少ないという。

こうした多雨な自然環境をフル活用しているのが、水力発電だ。

しかも、その設備は地元企業の「屋久島電工」が有し、電気事業者が配電する体系としているのが特徴だ。屋久島電工の自社事業として約8割、そして約2割を屋久島町全域の電力として供給している。

台風などへの影響を考慮した小規模な火力発電を除くと、屋久島町で使う電力の99.6%が水力発電によるものだ。

脱・炭素に「1番近い島」

このように、水力発電を主体とした循環社会(サーキュラエコノミー)が成立している屋久島。

屋久島町と鹿児島県は、屋久島に対して「脱炭素に1番近い島」というキャッチコピーを用いて、「CO2フリーな島づくり」を目指しているところだ。

そうした屋久島町の未来に向けた思いと、アウディが目指す未来の事業の在り方が一致したため、両者は「持続可能な未来をつくるための連携協定」を締結した。

これを「未来共創ミーティング」で発表したのだ。

アウディがBEVシフトやカーボンニュートラルに向けた企業活動をさらに強化していく中で、アウディ ジャパンとして、持続可能な社会について、1歩踏み込んだ形で議論するための「仲間づくり」を進める方針を打ち出した。

それが、「未来共創ミーティング」である。

地産地消での再生可能エネルギーのシステムを構築している全国各地の現場で、行政である地方自治体や、地元の学生、そして報道関係者たちが一堂に会しての「議論の場」を意味する。

こうした試みをベンチャー企業が、いわゆる「ピッチ」のような形で、または地方自治体からの業務委託を受けたコンサルティング関連企業などが「シンポジウム」として実施する場合がある。その多くは、「形式ありき」という印象が否めない。

充電器の寄贈と「Q4 e-tron」の活用

一方で、アウディ「未来共創ミーティング」では、参加者の当事者意識を強く感じ、取材者の立場としても得るものが少なくない。

今回も、屋久島の山・海・川で、自然そして水力発電における現状と今後の課題を、アウディ ジャパン関係者と報道陣が肌で感じることで、屋久島での「当事者意識」を少しだけ持つことができたように思う。

アウディ ジャパンと屋久島町が締結した「持続可能な未来をつくるための連携協定」では、大きく3つの項目がある。

まず、電圧200V/出力8kWの普通充電器を島内4か所に、合計7基を寄贈する。

その上で、THE HOTEL YAKUSHIMAを起点とする「Q4 e-tron」5台を使うレンタカー事業を、また屋久島町の公用車と屋久島電工の社用車に「Q4 e-tron」をそれぞれ1台貸与する。

さらに、屋久島高校の生徒を対象として、フォルクスワーゲンジャパンの関連施設などで実業を通じた“未来を考える学習機会”を提供する。

アウディ ジャパンによれば、これまでサスティナブル・フューチャー・ツアーを実施してきた、岡山県真庭市、岩手県八幡平市、そして今回の鹿児島県屋久島町での継続的な関係構築に加えて、今後実施を検討する新たなる連携地域を含めた「未来を語り合う仲間づくり」を続けていくという。

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みんなのコメント

1件
  • 毎回ガソリンを運ばなくてよくなるからコストは確実に下がる
    メンテナンスもタイヤくらいだし
    離島こそEV
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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