シトロエンらしさ満載のファミリーカー
フォード・シエラへ並ぶ空力特性に軽い車重、アシスト付きのディスクブレーキ、車高を調整できるハイドロニューマチック・サスペンション。BXは、秀でた乗り心地を備える先進的なモデルとして、シトロエンらしさ満点のファミリーカーだった。
【画像】ガンディーニ・デザインのシトロエンBX 個性的なのは不変 最新モデルのC4とC5 Xも 全64枚
パッケージングも素晴らしく、比較的コンパクトなボディサイズながら、ライバル以上にゆとりのある乗員空間と荷室を確保。シトロエンがPSAグループの一員になったことで、エンジンも先代モデルのようにドライバーをがっかりさせることはなかった。
初期のBXで特徴といえたのが、オリジナリティの高いメーターパネルやダッシュボードの操作系。数字の記された円柱が回転するスピードメーターと、横に細長いレブカウンターは、他のモデルでは見られないようなものだった。可読性は別として。
もっとも、そのメーターの評判は良くなかった。1986年にマイナーチェンジを受けたMk2以降は、一般的なダイヤル式メーターに置き換わっている。
現在の英国には約1300台のシトロエンBXが生き残っていると考えられるが、実際にナンバーを付けて公道を走れるクルマは遥かに少ない。その殆どがディーゼルエンジンであるようだ。
日本でも選択肢は少ないため、懐かしのBXをこの機会に、とお考えの読者はグレードやエンジンなどにはとらわれない方が良いだろう。状態の悪くないBXが出てくるまで、短くない期間を待つことも想定しておきたい。
プジョー205GTiと共有の活発なエンジンも
シトロエンは、11年の販売期間に62種類ものBXのバリエーションを英国市場へ投入している。中古車として流通するBXは、それぞれ異なると考えて良いだろう。
シトロエンは、CXのターボDでディーゼル時代の幕を開いた。当初のBXには、PSAグループによって開発された自然吸気の1.9L 4気筒ディーゼルが載っていた。市場をリードする能力を備え、燃費は17.7km/Lと多くの家族に優しいものだった。
パワーステアリングがオプション設定され、比較的重たいエンジンがフロントに載る操舵性を助けていた。1988年にはターボで過給されるようになり、経済性と動力性能との両立が図られている。
ガソリンエンジンでは、プジョー205 GTiなどと共有する活発なユニットをGTiに採用。サスペンションも改良を受け、ホットな走りを求めるドライバーに応えた。
「GTiの登場で、シトロエンは現代の量産車らしい優れたシャシーを提供するようになりました。ゆったり流れるような身のこなしを失うことなく、操縦性の精度を高め、路面の追従性を一層高めています」。と、当時の自動車誌は讃えている。
見えないところで進行する錆に注意
BXの場合、まだ部品が入手しやすいという点もうれしい。当時のプジョー205や405、シトロエンZXやAX、エグザンティアなどと多くを共有していたためだ。初期の1.4Lドブリン・エンジンは、フランスのシムカ社のモデルも採用していた。
ただし、GTiは少々状況が異なる。専用設定のホイールやブレーキを搭載し、部品も入手が難しい。そのかわり、搭載するエンジンはサウンドが賑やかなものの、ホットハッチとしてパフォーマンスは高い。
グレードやエンジンを問わず、操縦性は良好。アンチロールバーはGTの方が硬いものの、スポーティなフレンチ・ホットハッチを探すなら、GTiがベストといえる。
BXの持病といえるのが、シャシーやボディの見えないところで進行する錆。患部にアクセスし、適切な処置を行うには時間だけでなくコストも必要になる。エンジンルーム周辺やリアアクスル・マウントなどは、最も手間のかかる部位といえる。
初期型のボンネットと、リアハッチやバンパーは樹脂製で錆びず軽量だが、修理が難しく塗装も劣化しやすい傾向がある。初期のディーゼルエンジンのBXでは、後期型と同じくスチール製のボンネットが載っている例もあるようだ。
シトロエンのハイドロニューマチック・サスペンションは、魔法のじゅうたんのような乗り心地を提供してくれる。英国のコブのように膨らんだ橋桁の継ぎ目は、少々苦手なようではあるけれど。
オーナーの意見を聞いてみる
英国のスポーツカーブランド、TVRのマニアでもあるリチャード・キッチン氏。シトロエンBXやSMにも、同じくらいハマっているらしい。「小さい頃からクルマが大好きでした。父が初期型のBXに乗っていて、自分も大好きだったことを覚えています」
「格好良く見えましたし、当時のファミリーカーのなかでも特徴的なデザインでしたね。長距離旅行にもピッタリでした」
「これまで20台以上のシトロエンBXを乗り継いでいます。探すのが難しい部品もありますが、オーナーズクラブは良心的で、現実的なアドバイスを聞けるので助かっています」
「この初期型の19 GTは2018年に入手し、レストアして父へプレゼントしたクルマです。走行距離は30万kmを超えていましたが。普段乗っているのは真っ赤なBX。よくできたドライバーズカーだと思いますよ」
「2004年に購入した時、モダンクラシックとして価値が上がるだろうという自分の意見は相手にされませんでしたが、近年は着実に価値が高まっているようです。特に初期型のBXは発見が難しいですね」
「最近、2万7000km位しか走っていない初期型のBX 16 TRSを発見しました。わたしが子供の頃に、父が乗っていたBXと同じグレードなんですよ」
英国で掘り出し物を発見
シトロエンBX 16 TGS
登録:1990年 走行:10万3400km 価格:6495ポンド(約107万円)
外観は非常に良さそうな、走行距離の短い1.6LエンジンのBX。ホワイトの塗装には艶があり、グレーのクロス内装はすり減りがほとんどなく状態は良好。運転席側のシートは、ヘタっているようではある。
フロントフェンダーに凹みがあり、バンパーは退色している。パワーウインドウに電動サンルーフ、リアウインドウ・ブラインドなど魅力的なオプションが多く搭載されている。整備記録も整っているという。
シトロエンBX 19 GT
登録:1985年 走行:12万3100km 価格:8000ポンド(約132万円)
とても希少な初期型となるMk1のBX 19 GT。5年間ほど乾燥したガレージで保管された後、近年オーバーホールを受けている。新しいタイミングベルトとウオーターポンプ、エグゾーストとスフェアへ交換されている。
売り手によれば、加速や操縦性は素晴らしいとのこと。メカニズムの不具合は一切ないと、自信を見せている。ただし、ボディやシャシーの錆は要注意。強気な価格は、状態と希少価値の表れといえるだろう。
中古車購入時の注意点などは後編にて。
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みんなのコメント
その間でもボコボコぶっ壊れるし、ボディは痛むし、FRPのボンネットなんて反ってくる。
内装もなぜか夏になると溶けてくるし、経年変化で様々なプラスティックパーツが触っただけで割れる。
パッと見かっこいいけど、ピカピカにして乗ろうと思えばとんでもなく金がかかる。
ハイドロの乗り心地も当時はそこそこ良かったけど、現代のレベルから見れば大したことはない。
シトロはエグザンティアと、プジョーは406と508に乗ったが、やはりドイツ車に行ったら戻れなくなった。