ショーファーカーへと変貌した新型アルファード。廉価グレード追加の有無を主査に聞いた
掲載 carview! 文:編集部 121
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6月21日、トヨタの最上級ミニバンである新型「アルファード/ヴェルファイア」がついに発売となった。
半導体不足や物流遅延、物価高なども相まって、ここ数年多くのモデルが販売に苦戦する中、大空間による使い勝手や快適性、見栄えや財テクとも言えるリセールの良さなどが相まって、2022年の販売台数は乗用車の中で10位。3列シートを有するミニバンに限っては、6位のホンダ「フリード」、8位のトヨタ「シエンタ」に次ぐ順位で、価格帯を考えればまさに圧倒的とも言えるほど売れに売れていた。
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>>脅威の残価率。先代ヴェルファイアのリセール価格はこちら
ファミリーカーとしてガラパゴス的に進化してきた国産ミニバンの中で、新たにショーファー需要を開拓し王者へと上り詰めたアルファード/ヴェルファイアだったが、満を持して登場した4代目は一見すると超がつくほどのキープコンセプト。
新型アルファード/ヴェルファイアの開発主査を担当した吉岡憲一氏は、開発にあたり多くの欧州サルーンに乗り込みその良さを吸収したと話しており、新型は完全にショーファー需要を意識していることがわかる。
アルファードのボディサイズは全長4995(+5)×全幅1850(±0)×全高1935mm(±0)、ホイールベースは3000mm(±0)と先代とほぼ同じ。新型は韓国や東南アジア、中南米など、先代の倍近い国で販売が行われる計画で、まさにグローバルなショーファーカーへと進化したわけだが、日本の機械駐車場を意識しサイズをほぼ同等とした点は国内のユーザーにとって嬉しいトピックだろう。
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新型アルファード/ヴェルファイアは、「ハリアー」など多くのモデルに採用されているTNGAプラットフォーム「GA-K」を採用し、V字ブレースの追加や構造用接着剤などを採用することで剛性を従来比で約50%アップ。上モノを安定させサスペンションをしっかりと動かし、シートフレームにゴムブッシュを配置(ビルの免震ゴムのように機能するという)するなど徹底的に防振対策を施すことで、乗員に伝わる振動は従来比で約3分の1になったという。
パワートレインはアルファードとヴェルファイアで2種類ずつ。アルファードには、従来と同型の2.5Lガソリンエンジンと、ハリアーなど幅広い車種に採用されている2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが搭載され、ヴェルファイアには2.5Lガソリンエンジンの代わりに2.4Lターボエンジンが搭載される。
さらに、そう遠くない将来プラグインハイブリッドモデルのデビューも控えているそうだ。
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車内に乗り込めば、本革や木目パネルなどがこれ見よがしに使われ“わかりやすい豪華さ”のオンパレード。ムーンルーフの電動シェード操作や車内イルミの照度変更をスマートフォンのようなデバイスで操作でき、お偉いさん気分を簡単に味わえる。
シャシーやパワートレインなどに技術的に大きなトピックはなく、トヨタの持っている技術を上手に組み合わせ、その分徹底的に乗り心地や快適性を追求した印象だが、このクルマの存在価値は最新技術の搭載ではなく快適な移動空間を実現することにある。
この“ユーザー心理を捉え適材適所にお金を掛ける”ことこそトヨタの強み。まさに石橋を叩いても渡らない三河商人の面目躍如である。
>>実際どうなの? アルファードのユーザーレビューはこちら
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新型アルファード/ヴェルファイアの残念な点は、廉価グレードが用意されなかったことだ。
>>新型アルファード・ヴェルファイア発表! 廉価グレードなしの540万円~発進
先代は359万7000円(X・8人乗り)から買うことができ、庶民がプチ贅沢を味わえる“ファミリーカー”としても支持されてきたわけだが、新型のスタートプライスは540万円(Z・7人乗り、ウェルキャブを除く)で“ショーファーカー”に振り切っている。シートも2列目は完全に独立し、飛行機のファーストクラスのような“座席”と呼べる仕様だ。
廉価グレード追加の有無を主査の吉岡氏に質問してみたところ「半導体不足などもありユーザーを待たせたくなかった。新型は事前予約を取っておらず、どれだけ売れるか見通すのが難しいので今はこのようなグレード展開だが、幅広いユーザーに選択肢を広げ多くのお客様に乗って頂きたいので、(廉価グレードは)今後追加する計画」と断言してくれた。
今まさに多くのユーザーがディーラーへと殺到し、そして早くも「買えなかった」という噂がネットでは流れている。ファミリーユースを想定しているのであれば、まずは黙っていても売れるショーファー需要が一服するまで待っても良いのかもしれない。
もっとも「今後の売れ行きによって(廉価グレード追加の)具体的な時期は見通せない」とも吉岡氏は述べており、世界的に需要が爆発すれば追加の時期もどんどん後ろ倒しになってしまう可能性も。
日本で誕生し、日本が育てたガラパゴス・ミニバンの怪物は、世界へと飛翔するいま、新たなジレンマを抱えているのかもしれない。
写真:編集部、トヨタ自動車ログインしてコメントを書く
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