標準モデルが侮れない! スバル クロストレックで選ぶべきグレードとOPとは?
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU 92
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU 92
スバル「クロストレック」は、それまで日本国内では「XV」という車名で販売されていたCセグメント(中型よりほんの少し小さいニュアンス)のクロスオーバーSUVが、フルモデルチェンジを機にグローバルでの車名に改められたモデル。ここでは、そんなクロストレックの「結論としておすすめグレードは何か?」ということを中心に、考察を進めてまいります。
まずはモデル概要から。
新型クロストレックのボディサイズは全長4480mm×全幅1800mm×全高1580mmと、先代XVとほぼ同寸。XVはこの「大きすぎず小さすぎず」なボディサイズがユーザーの心をとらえたことから、スバルは新型のボディサイズを「あえて大きくしない」という判断を下しました。
エクステリアデザインはボンネットフードの位置を高くすることでSUVらしいたくましさを表現し、従来型以上にアグレッシブなデザインのプロテクター類によって躍動感も表現されています。
インテリアは「レヴォーグ」や「WRX S4」にも採用された縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイを搭載し、スマホとシームレスにリンクして使えるインフォテインメントシステムを構築。医学的な知見を採り入れて設計された「身体をしっかりささえるシート」などが採用されたのも大きなトピックです。
車台は従来からの「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」をさらに進化させ、スバルの他モデルにも使われているフルインナーフレーム構造(すべての骨格を理想的な溶接位置で結合した後、外板を被せてボディに仕上げる構造および工法)を採用。さらにシートの車体への取り付け方法も従来のブラケット方式から、シートレールを車体に直接固定する方式へと変更。ルーフの共振を抑える高減衰マスチック(弾性接着剤)も用いることで、乗員の快適性はよりいっそう向上しています。
パワートレインは、2L水平対向4気筒エンジンにモーターを追加した「e-BOXER(イーボクサー)」に一本化され、エンジン本体のほかCVTにも振動や騒音を低減する地道な改良を実施。また現行型レヴォーグで大好評を博した「2ピニオン電動パワーステアリング」や、操舵角に応じてステアリングのギア比が変化する「VGR(バリアブル ギア レシオ)」も採用したことで、新型クロストレックの走行フィールは、このクラスとしてはちょっと尋常ではないほど上質なものとなっています。
先進安全装備においては、「アイサイト」に使われるステレオカメラの画角を従来型の約2倍にしたうえで画像認識ソフトや制御ソフトを改良し、低速走行時に二輪車や歩行者を認識できる「単眼カメラ」も新たに追加。歴代アイサイトのなかでは最高レベルの性能を実現していると、スバルは胸を張ります。
このほか、4つのカメラ映像を合成して車両周囲360度を映し出せる機能も搭載したほか、右左折時などに進行方向を照らす「LEDコーナリングランプ」をスバル車として初採用。夜間の視認性も向上しています。
そんなクロストレックのグレードラインナップと車両価格は以下のとおりです。
●Touring(FWD)|266万2000円
●Touring(AWD)|288万2000円
●Limited(FWD)|306万9000円
●Limited(AWD)|328万9000円
クロストレックのグレード構成はシンプルで、基本的には、標準グレードである「Touring(ツーリング)」と上級グレード「Limited(リミテッド)」の2種類のみ。そしてそれぞれに四輪駆動の「AWD」と前輪駆動の「FWD」がラインナップされています。ちなみに従来型のXVはAWDのみでしたが、クロストレックでは、比較的燃費良好で車両価格も安めなFF車も選べるようになっています。
そして「Touring」と「Limited」の主な差異は以下のとおりです。
「アイサイト コアテクノロジー」は両者共通。「アイサイト セイフティプラス」は、Limitedはすべて標準装備だが、Touringは「アレイ式アダプティブドライビングビーム」と「視界拡張テクノロジー」がオプション。
・Limitedのホイールは18インチダークメタリック塗装+切削光輝。Touringのホイールは17インチ ダークメタリック塗装。
・フロントグリルバーとルーフレール、ドアミラーの色はLimitedがダークグレーで、Touringはブラック
・Limitedは「フルLEDハイ&ロービームランプ[ステアリング連動ヘッドランプ+コーナリングランプ]」が標準装備。Touringではオプション。
・11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステムは、Limitedは標準装備でTouringはオプション。
・シート表皮はLimitedがファブリックで、Touringはトリコット。ステッチは両者ともシルバー。またオプションの本革シートは両者とも選択可能。
・前席パワーシート機構と運転席シートポジションメモリー機能はLimitedだと標準だが、Touringではオプション。
・本革巻シフトレバーやピアノブラック調シフトパネルなどは、Limitedでは標準だがTouringはオプション。
・Limitedは「アルミパッド付スポーツペダル」が標準。
上記のほかにもこまごまとした違いはあるのですが、主だった違いはおおむね上記のとおりです。とはいえLimitedに標準装着される上級装備のほとんどは、Touringを選んだとしてもオプションとして装着することが可能です。そのため、TouringとLimitedの「決定的な違い」は下記のポイントに絞られるといっていいでしょう。
(1) ホイール径が17インチか18インチか?
(2) ドアミラーやフロントグリルバーなどがダークグレー塗装か、それともブラック塗装か?
(3) シート表皮は「ファブリック」か、それとも「トリコット」か?
(4) 足下のペダル類は「アルミパッド付スポーツペダル」かどうか?
グレードを選んだ瞬間から宿命的に決まってしまうのは上記4点であり、その他はオプションの選び方次第でどうとでもなります――ということを踏まえたうえで、上記1~4について詳しく検討してまいりましょう。
まず(1)の「ホイール径が17インチか18インチか?」という点ですが、これがいきなり難問です。なぜならば、どちらにもそれぞれの良さがあるため、「絶対にこっち!」みたいなことは言いづらいのです。
>>「Touring」と「Limited」AWDモデルの比較
上級グレードであるLimitedが履く225/55R18タイヤと18インチホイールがもたらすのは「やや硬めな感触とシュアなハンドリング性能」で、これはこれで素晴らしいのですが、Touringの225/60R17タイヤと17インチホイールによる「ややソフトな感触と十分なハンドリング性能」も、実はけっこう魅力的です。ついでにいうなら、「安価なほう」であるTouringに装着される「切削光輝ではないダークメタリック塗装のホイール」の無骨さもクロスオーバーSUVのキャラには合っていて、割とカッコよく見えます。
それゆえここは本当に悩むところなのですが、まぁシンプルに「やや硬めでスポーティな乗り味が好きならLimited、当たりの柔らかな乗り味が好きならTouring」と考えるしかないでしょう。
お次は(2)の「ドアミラーやフロントグリルバーなどがダークグレー塗装か、それともブラック塗装か?」ですが、これもなかなか難しい部分です。当然ながら高級感があるのはLimitedのダークグレー塗装ですが、Touringの「道具っぽい黒感」も、クロストレックというSUVの雰囲気によくマッチしているのです。そのため、ここは「お好み次第で……」という玉虫色の回答にならざるを得ません。
次に(3)の「シート表皮はファブリックか、それともトリコットか?」という点ですが、これも――何度も同じような話で恐縮ですが――微妙です。Limitedが採用しているファブリックはやや張りがある感じで、それはそれでかなりいい感じなのですが、Touringが採用しているトリコットも、昔のフランス車のシートのように「お尻と背中がちょうどいい具合に沈み込む」といったニュアンスで、これもなかなかいい感じなのです。まぁ結論としては「やや硬めとやや柔らかめ、どちらの座り心地が好きですか?」という質問に収斂されるでしょう。
最後に(4)の「足下のペダル類はアルミパッド付スポーツペダルかどうか?」ですが、これは割とどうでもいい部分であるかもしれません。まぁアルミパッド付きのほうがなんとなくカッコいいのは確かでしょうが。
>>「Touring」と「Limited」全ラインアップの比較
以上の考察から、「おすすめグレードは上級のLimitedか、それとも標準のTouringか?」という問いに対する回答は、以下のとおりであるべきことがわかりました。
「いわゆるスポーティな乗り味と雰囲気が好きなら問答無用でLimitedを選ぶ。やさしめの乗り味が好きならTouringを選び、そのうえで、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステムなどのオプション装備を適宜装着する」
クロストレックを買うのであれば、この考え方しかありません。
そしてスバル伝統のAWD(4WD)にするか、それとも今回新設されたFWD(FF)にするかは、使用環境と使用目的次第でしょう。雪道や悪路などを走る機会があって、なおかつ普段の雨風が強い日も安心して走りたいなら、AWDの一択です。しかし昨今のクロスオーバーSUVユーザーに多い「ほとんど舗装路しか走らない」という使い方を想定しているのであれば、FWDでも十分です。そしてFWDのクロストレックには「車両価格が安い」「燃費も少々いい」という美点があります。
クロストレックのライバルとなるのは、ほぼ同クラスのクロスオーバーSUVであるホンダ「ヴェゼル」でしょう。両者のボディサイズはけっこう近く、全幅と全高は(少し違いますが)おおむね同じ。全長はヴェゼルのほうが15cm短いのですが、車内の広さはむしろクロストレックより若干ですが優れています。
4WD同士で比べた場合、ヴェゼルの四駆性能はクロストレックほど本格的ではないため、軍配はクロストレックに上がります。しかし、あくまで「普段づかいのクロスオーバーSUV」として両者のFF車同士を比較するなら、ヴェゼルの――特にそのハイブリッド車は、大いに選ぶ価値がある一台です。
>>ホンダ ヴェゼルハイブリッドの詳細情報
>>ホンダ ヴェゼルハイブリッドのユーザーレビュー
>>ホンダ ヴェゼルハイブリッドの専門家レビュー
前述のとおりヴェゼルは車内がけっこう広く、走行性能および走行フィールも十分以上。それでいてヴェゼルe:HEV FF車のWLTCモード燃費は24.8~25.0km/Lと、SUVとしては非常に優秀です。そしてクロストレックFF車のWLTCモード燃費は残念ながら16.4km/Lでしかないため、「燃費の良い、便利で広くて、なおかつ走りもまずまず素晴らしい」というクロスオーバーSUVを探しているなら、選ぶべきはヴェゼルe:HEVのFF車かもしれません。
しかしながらクロストレックは、AWD車の場合は「鉄壁」と言っても差し支えないほどの悪路走破性能を備えており、走行フィールの良さはクラストップレベル。そしてFWD車の場合は、さすがに「鉄壁の悪路走破性」というのは備えていませんが、走行フィールの良さはAWD車と同等というか、軽い分だけむしろ良好です。
つまりクロストレックは、燃費に少々の弱点は抱えているものの、そこをある程度許容できて、なおかつ「気持ちよく楽しく、そして安全に走りたい」と考えている人には、最高レベルにおすすめできる「ちょうどいいサイズ感のクロスオーバーSUV」なのです。
車というものの“どこ”を重要視するかは人それぞれでしょう。しかし、もしもあなたが「気持ちよく楽しく、そして安全に走りたい」と考えている人であるならば、クロストレックはまさにうってつけの一台です。
ログインしてコメントを書く
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
レクサスが今秋に新型GX550を日本で通常販売すると発表。合わせてGX550“OVERTRAIL+”を先行販売するとアナウンス
元大関“小錦”も愛用!! ARTS VOLTのペダルレス特定小型原付「K−KOHOLA」 2024年モデル発売
“爆速ターボ”搭載!? マツダ新型「最強ハッチ」実車公開! めちゃ速&シャコタンな「MAZDA3」登場
【訃報】元ニッサンワークスドライバーの都平健二さんが逝去。ハコ車の名手として名を馳せる
新型スイフトは質感が爆増!! ヤリスは驚異の燃費36km/Lを記録! ベーシックコンパクト最新勢力図
【MotoGP】スペインGPでKTMビンダーがダークホースに? 予選Q1行きも調整でブレイクスルー「バイクを取り戻した感じ」と自信
BEV販売台数が100万台に到達! MINIは新型予告! BMWグループ「2024年第1四半期の販売台数」を発表
ホンダが斬新“タテ目”の「新型スポーティSUV」実車初公開! 光り輝く「インテリア」は高級感アリ! “超静音”実現した「新型Ye S7」北京で初披露
復帰戦の元王者ゴメスが鮮烈ポール獲得の週末は、逆転の新鋭がキャリア通算2勝目を記録/SCB第3戦
【MotoGP】好調確信ビニャーレス、スペインで連勝なるか? ライバルは「マルケスとバニャイヤが強いだろう」
【F1第5戦無線レビュー】苦戦予想を覆し、2位表彰台を獲得したノリス「結局は最高のレースをしたってことだ」
ランドローバー、プレミアムコンパクトSUV「ディスカバリー スポーツ」2025年モデルの受注を開始
史上最強のディフェンダー“オクタ”まもなく登場。V8搭載で2000万円級も初回220台は即完売か
ホンダが斬新デザインの電動SUV「e:NP2」を中国で発売。足元揺らぐBEV市場に不安も…
WR-Vには負けられん! 「ヴェゼル」が新顔「ハント」を加えて色々テコ入れ、格の違い目指す
【1年以内に発売予定!】トヨタ新BEV「bZ3C」&「bZ3X」を中国で世界初公開
マツダが後輪駆動スポーティセダン「EZ-6」を中国で発表! 新型「CX-5」を匂わすSUVコンセプトも
伝説の「パジェロ」に続き「パジェロミニ」も開発中か。三菱が“令和のRV軍団”復活へ
【こりゃ驚いた!】欧州三菱コンパクトSUV「ASX」がマイナーチェンジで顔一新!
【同じに見える人集合】新型ミニはどこが変わった? 新旧の違いを写真でチェック!
200万円台前半でも走りはシビック級。コスパの鬼「WR-V」の秘密はホイールベースにあった