この記事をまとめると
■フェラーリが特別なオーナーのために製作したワンオフモデル「SP-8」を発表した
カフェ「オレ」と「ラテ」的な差はある! クルマの「ワンオフ・ビスポーク・オーダーメイド」って何が違うのか?
■3色に塗り分けられたボディカラーはSP-8専用のカラーリング
■「F1ギアボックス・コマンド」シフトゲートやネイビーブルー×イエローのシートなどインテリアも特別仕立て
特別なカスタマーだけに許されるワンオフのフェラーリ
フェラーリのカスタマーにとって究極的な夢といえるのは、自分のためだけに製作された一台、すなわちワンオフモデルを手に入れることだろう。
フェラーリはほかにもイーコナシリーズや、さまざまなスペチアーレなどを選ばれたカスタマーに送り届けていることでも知られているが、やはりこの世界に一台しか存在しないワンオフモデル、しかもその開発時からさまざまなディスカッションを繰り返して作り出されていくワンオフの価値は、それらとも大きく違うのが現実といったところだろう。
今回発表されたワンオフモデルは、「SP-8」と呼ばれるもので、オーナーは台湾出身の人物であるという。台湾や中国では「8」は縁起の良い数字であることは日本でも広く知られているが、今回のSP-8のカスタマーもまた、その縁起を担いで車名に8の数字を掲げたのだ。
SP-8のベースとなっているのはF8スパイダー。これまでのワンオフモデルと同様に、メカニカルなパートでの変更は一切加えられておらず、ミッドには3902ccの排気量を持つV型8気筒ツインターボエンジンが搭載される。最高出力の720馬力、最大トルクの770Nmというスペックにも、公式な発表はないが、おそらく変化はないはずだ。
実車の画像を見て、まず強く印象に残るのは、その大胆なカラーリングだろう。フロントエンドからキャビン後方までは、ブルー・サンドストーンと呼ばれる、光沢のあるブラック系のカラーを。そしてブルー・スクーロ・スッテラートのパートを挟んで、マット系のアルジェント・ミカリッザートへと車体後半部を塗り分けるテクニックは、前後でSP-8のイメージをまったく異なるものに見せる、じつに効果的なものといえる。ちなみにこの3色のカラーは、いずれもSP-8のために専用で開発されたものだという。
屋根が存在しない完全なオープンモデル
ボディデザインも、もちろんF8スパイダーから大きくその姿を変えている。最大のトピックスといえるのはリトラクタブルハードトップが取り除かれ、完全なオープンモデルとしてデザインされていること。その結果、フロントフェンダーからフロントウインドウ、サイドウインドウ、そしてリヤのエンジンコンパートメント、リヤエンドへと連なるサイドラインは、きわめて美しい造形を見せるようになった。
ドアのデザインやそれに連なるエアインテーク、あるいはエンジンカバー上に左右3対で設けられた排気口などもSP-8のオリジナルデザインだ。フロントグリルやヘッドライトまわりのスタイルも大胆に変貌を遂げ、より戦闘的な雰囲気を強めている。ホイールは5本スポークタイプで、そのカラーであるグリジオNARTのカラーとともに、こちらもSP-8の専用デザインとなる。
インテリアでは、シフトゲートがモディファイされ、SF90ストラダーレで初採用された「F1ギアボックス・コマンド」が装備されたのが大きな話題だ。
シートはイエローのアクセントラインが施されたネイビーブルーのアルカンターラを用いたもので、カスタマーは燦々と降り注ぐ太陽光のなかでSP-8のパフォーマンスとラグジュアリーな雰囲気をフルに満喫することができるのだろう。
ちなみにフェラーリによれば、このSP-8の音響快適性はベースとなったF8スパイダーと同等。空力特性もまた変わらない性能が確保されているという。
フェラーリのカスタマーのなかでも、特別な人物にしか与えられないワンオフモデル製作のチャンスを前に、SP-8のカスタマーは見事に理想的なモデルを作り上げたようだ。
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