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キャデラック XT5 クロスオーバー、欧州車の走りとアメリカ車の快適性を両立したSUVを検証する【Playback GENROQ 2017】

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キャデラック XT5 クロスオーバー、欧州車の走りとアメリカ車の快適性を両立したSUVを検証する【Playback GENROQ 2017】

CADILLAC XT5 CROSSOVER

キャデラック XT5 クロスオーバー

キャデラック XT5 クロスオーバー、欧州車の走りとアメリカ車の快適性を両立したSUVを検証する【Playback GENROQ 2017】

比類なき個性と洗練されたユーティリティ

ことクルマにおいて世界のトレンドは間違いなくSUVだ。セダンやミニバンのような保守性、そういったイメージから逃れられる洗練されたクルマ界のファッションリーダーがSUVなのだ。XT5はそんなSUV界の中でも一際輝く個性に満ちているモデルである。

「“キャデラックのSUVの概念を塗り替える”ため車名も刷新」

新型ラグジュアリークロスオーバー、「キャデラック XT5 クロスオーバー」が日本に導入された。SRX クロスオーバーの後継となるミドルサイズのSUVだが、“キャデラックのSUVの概念を塗り替える”ため、車名も刷新している。

ルックスは、見紛うことなくキャデラックそのものだ。ツンと尖ったフロントマスク、ヘッドライトを縁取るアイラインから真下に延びるLEDライトが個性を強調している。そして、サイドウインドウ周りなど随所に効果的に使われるクロームやイルミネーティングドアハンドルが、いかにもアメリカンテイストなキラキラ感を醸し出す。室内では、スウェードとレザー、カーボンを用いたインテリアが上質で個性的だ。

「ドライブの時間がより充実したものとなるXT5の最新インフォテイメントシステム」

インフォテインメントシステムは直感的な操作が可能な8インチ液晶の「キャデラックユーザーエクスペリエンス」が奢られる。スマートフォンと連携させることで「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応する。ナビゲーション機能はもちろん、メッセージの送受信や音楽を聴くことも可能だ。最近、スマートフォンのナビアプリの方が最新地図を反映しているケースが多いので、私自身、車載ナビよりもスマートフォンのナビを使うことが多い。液晶画面も見やすく操作性にも優れるXT5の最新インフォテイメントシステムにより、ドライブの時間がより充実したものとなるに違いない。

運転席に収まると、シートヒーター&ベンチレーション、そしてステアリングヒーターが装備されていることに気がついた。冬の寒い時期、クルマに乗ってエンジンを始動しても水温が上がるまで暖房は効かない。でもシートヒーターやステアリングヒーターは、すぐに身体を温めてくれるので、体感的な寒さは解消されるのだ。XT5はドライバーの快適性にも重きを置いている。

「実用性の高さに、SUVの国アメリカ育ちの価値観を感じる」

後席はヒップポイントが前席より高めなので閉塞感がない。またルーフいっぱいに広がるウルトラビューパノラミック電動サンルーフのおかげで後席はサンルーム状態。UVカットガラスを使用しているが、陽射しや紫外線が気になる方は電動サンシェードを閉めればいい。フットスペースは約1mとリラックスでき、シートにはリクライニング機能も装備する。さらにシートヒーターを完備。居住空間の広さと装備の充実度は、同セグメントを凌駕している。

ラゲッジスペースで特筆すべきは、ゴルフバッグが横に収まることだ。実は全幅1900mmクラスのSUVでも、横に収まるケースはレアなのだ。またゴルフをしない方にとっても、通常時850リットル、分割可倒式リヤシートを倒すと最大1784リットルの広いスペースが確保された荷室のおかげでスポーツギアから旅行バッグまで容易に積載できる。居住性と使いやすい荷室を見ると、最近流行りのデザイン優先のクーペライクなSUVとは一線を画した実用性の高さが伺える。さすが、SUVの国、アメリカ育ちの価値観を感じる。

「豊かなトルクを発生する新型NAは、ラグジュアリーなXT5と抜群の相性」

新世代3.6リッターV6エンジンは、314ps/368Nmを発揮する。最近は動力性能に不満のない小排気量ターボが主流となっているが、やはりNAエンジンならではの気持ち良さは格別だ。とはいえ、回転の上昇を味わうタイプのエンジン特性でもなく、もの凄いパワーがあるわけではない。低回転域で力強いトルクを発揮しつつ、滑らかに走るフィーリングが頼もしい。6500rpmがレブリミットだが、一般道を流しているとタコメーターの針が2000rpmを超えることは滅多にない。登坂路でさえ平坦路をそのまま走っているかのよう。まさにSUVに相応しいキャラクターだ。

新開発8速ATとのマッチングも印象の良いものにしている。黒子に徹し、ドライバーのアクセル操作に遅れることなく常に最適なトルクを提供してくれるのだ。また、新しいATは電子制御のジョイスティックシフターを採用しており、軽いタッチと短いストロークで操作できる。そして、ステアリングホイールの裏側にあるシフトボタンも、ステアリングを握ったまま操作できるので楽だ。

「見た目は大胆で重量感のある印象だが、乗り心地やハンドリングは洗練されている」

一方、高速道路では、完全停止まで行うACCによる快適ドライブが味わえる。クルマ任せによる加減速も違和感がなく、安心感が高い。

見た目は大胆で重量感のある印象だが、乗り心地やハンドリングは洗練されている。GM独自の構造用接着技術がもたらす軽量ボディのおかげで重さを感じることはない。また路面状況に応じて減衰力を調整するリアルタイムダンピングサスペンションを搭載しており、無駄なロール感もなく、それでいてゆったりとした懐深い乗り味がまさにSUVライクで魅力的だ。走行モードは「ツーリング」「AWD」「スポーツ」の3モードが用意される。ツーリングは快適性重視。一方スポーツはステアリングの手応えが増し、高速道路での安定感はさらに高まる印象だった。もちろん乗り心地が犠牲になることはない。今回は、一般道と高速道路を走行したが、その印象からワインディングなどでも俊敏に走るであろうことは想像に難くない。

「男性のみならず、アクティブな女性にもオススメしたい」

最近のキャデラックはニュルブルクリンクで開発テストを行うなど、飛躍的にハンドリング性能が向上し、欧州車に引けを取らない走りの良さが印象的だ。新型XT5もまた、“キャデラック”ブランドらしい上質なドライブフィールを有する。装備機能の充実度、そしてユーティリティも特筆すべき満足度。このクルマ、男性のみならず、アクティブな女性にもオススメしたい。

REPORT/佐藤久実(Kumi SATO)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

キャデラック XT5 クロスオーバー プラチナム

ボディサイズ:全長4825 全幅1915 全高1700mm
ホイールベース:2860mm
トレッド:前後1636mm
車両重量:1990kg
エンジン:V型6気筒DOHC
ボア×ストローク:95×85.8mm
総排気量:3649cc
最高出力:231kW(314ps)/6700rpm
最大トルク:368Nm(37.5kgm)/5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後235/55R20
車両本体価格:754万9200円

※GENROQ 2017年 12月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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