取り回しのよさとミニバンを軽く超える使い勝手を誇る
トヨタ・ハイエースといえば、いわゆる販売ランキングなどでは名前が出てこないものの、隠れた(?)人気モデルとして知られている。オーナーにとっては悩みの種だが盗難されることが多いというのは、まさにクルマとしての魅力があることの証拠だ。
ひそかに50周年! 荷物も人も運び続けたトヨタ・ハイエースを振り返る
「一人親方」と呼ばれる建築系の自営業者から圧倒的な支持を集めているのも、ご存じだろう。また、車中泊ブームにのって簡易キャンパーのベースとしてもハイエースは人気だ。そんなハイエースにはさまざまなバリエーションがあるが、売れ行きのほとんどは4ナンバー小型車サイズの商用バンだ。
その秘密は扱いやすいボディサイズと、広大なキャビンスペースの両立にある。エンジンの上に運転席を置くキャブオーバー型のため、全長に対するキャビン長に有利なレイアウトであり、またキャブオーバーというのは前輪の上に座っているので慣れてしまうと小回りもしやすい。
その上、4ナンバーというのは小型車枠(全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m)に収まっているということであり、運転するときも、駐車するときも取り回しやすいサイズなのだ。そのため、自転車やサーフィン、釣りといった長尺系の道具を使う趣味を支えるアシとしてもハイエースは使いやすく、その筋では人気だ。
さらに、商用バンといっても「一人親方」やキャンパー仕様といったパーソナルな趣味性に影響を受けやすいキャラクターということもあり、カスタマイズパーツも豊富。純正アクセサリーだけでなく、サードパーティ製のアイテムを使えば、どこまでもオリジナリティを追求した自分だけの一台を作り上げることが可能だ。
ハイエース50周年を記念した特別仕様車がウッドパネルや高輝度パーツを多用した仕様としているのは、そうしたニーズによるものだ。趣味の道具を積むことを考えると、そのへんのミニバンよりも、ずっと使い勝手がいいのがハイエースなのである。
商用車であるので、最初の車検以降は毎年車検になるなど乗用車より手間のかかる部分もあるが、前述したように意外にボディは小さく、取り回しもよいとなれば、都市部でも使いやすい一台ということになる。そんなこともあって、最近では仕事用でもなければ、キャンパーにも見えない、趣味のために使っているハイエースを都市部で見かけることも増えているようだ。
ちなみに、ハイエースの兄弟車としてレジアスエースというモデルも存在する。実際にハイエースを購入しようというときは、比較検討するといいだろう。また、唯一のライバルといえる日産キャラバンNV350も忘れられない存在だ。いずれにしてもキャブオーバーというのは、乗用車と比べると運転席によじ登る感覚になる点は意識しておきたい。
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