この記事をまとめると
■1980~90年代にはラグジュアリーなセダンが人気だった
別の「ED」がメジャーになって消えた? マークIIから突如マークX? どうにも由来が気になる「日本車の車名」3つ
■人気はマークII・チェイサー・クレスタの3台に集中
■マークII・チェイサー・クレスタはいずれも個性的!
日本のバブリーな風潮がハイソカー「マークII3兄弟」を生んだ!?
このWEB CARTOPをご覧の方々のなかには、「バブル」と聞いてもピンとこない人も少なくないでしょう。筆者のようなオジサン(いや、ジジイかな)には、非常に懐かしい響きを持ったワードなんですけどね。
とにかく日本中にお金が溢れていた時代で、すべてが金ピカ・イケイケで盛り上がっていたのです。いや、お金は溢れているようでじつは全然なかったみたいなんですが……。そういう経済的な事実は脇へ置いておきまして(WEB CARTOPは経済専門サイトじゃないので)、ここではクルマ目線で30~40年前(バブル時代)を語ってみましょう。
令和のいまはSUVが大人気! 国産メーカーも超絶スポーツカーブランドも大なり小なりのSUVをラインアップしており、クルマの基本であるセダンなんて見向きもされません。が、30~40年前のあのころは、国産のミディアムセダンがモテはやされていたのです。
それも、トヨタ車に人気が集中! それがトヨタ・マークII、チェイサー、クレスタの3台です。当時の某自動車専門誌には、この3台の人気が急騰していた1988年11月の販売台数が載っているんですが、それによるとマークIIが2万4162台、チェイサーが7120台、クレスタが9711台……。なんと、3車種だけで4万台以上も売れていたんです! それもボディカラーはほぼ「白」だったようです。
そもそもマークIIが初めて登場した1976年はコロナマークIIというネーミングで、大衆車「コロナ」の派生モデルだったのです。その後、コロナマークIIはマイナーチェンジを繰り返し、1977年にはチェイサーが登場します。
そして、1984年のフルモデルチェンジの際に車名からコロナが外れ、グレード&ポジショニングがランクアップした「トヨタ・マークII」が誕生! 同時にチェイサーとクレスタも揃ってフルモデルチェンジし、晴れて「マークII3兄弟」が完成したのです。
それまでの日本のクルマ市場では、セダンはやっぱり高価格だったために、若者にはとうてい買えません。お金持ちの会社社長や経営者がセダンに乗っていたため、「セダン=お金持ちのおっさん」というイメージが強くなり、若者はもっと安くて小さいクルマに「これってスポーティだもんね」と言いながら乗っていたもんです。
ところが、世の中の景気がよくなったおかげで金まわりもよくなった若者は、トヨタと大手代理店の戦略にハマってしまい、さらに「ハイソカー」という絶妙な響きに惹かれてしまい、このマークII3兄弟をこぞって買ったのです。
それぞれに個性が際立つ「マークII 3兄弟」が当時の若者を魅了!
1984年に勢揃いした「マークII3兄弟」は、デビューから5代目になるマークIIが長男で、デビュー3代目のチェイサーが次男、そしてデビュー2代目のクレスタが末っ子になります。当時のトヨタの戦略としては、この3台をラグジュアリーかつスポーティにして、既存のセダンのイメージ=おっさん臭さを払拭したこと!
マークIIは4ドアハードトップとセダンとワゴンを揃えましたが、トヨタは4ドアハードトップをイチ押し。トヨタが「クリスタルピラー」と謳ったアクリル製リヤクォーターガーニッシュの黒いCピラーがお洒落さと高級感をアピールし、専用ボディカラーであるスーパーホワイトと超絶にマッチしました。おかげで、マークIIを買う人はほぼボディカラーは「白」を選んでいました(筆者は白いマークIIしか記憶にありません)。
チェイサーは4ドアハードトップのボディにツライチでスラントしたフロントマスクが特徴的で、その大胆でダイナミックなデザインが大ウケ! ラグジュアリーさを押し出したマークIIと異なり、チェイサーはスポーティさを売りにしたこともあって、アクティブでちょっとヤンチャな若者はこっちを選びがちでしたな。
一方、末っ子のクレスタは兄たちとは一線を画し、キリッとしたセダンのイメージを保持。ラジエターグリルを豪華にしてイメージを格上げするという、セダンの王道的なエクステリアが自慢で、またリヤウインドウの両端を折り曲げる工夫(後方視界の改善とトヨタは謳っていました)をして、高級パーソナルセダンのムードを高めていました。
そうそう、そんなスタイルが当時の流行りだったブロンズガラスと似合っていましたっけ。
マークII 3兄弟はエクステリアだけでなく、インテリアでも当時の若者を魅了しました。インテリアはゴージャスのひと言! まるで応接間のソファのような「ルーズクッション」のデザインのシートが、車内というよりはパーソナルルームのような雰囲気を確立。
3台すべてに設定されたバーガンディカラーが、当時のアベック(決してカップルではない笑)を“ソノ気”にさせたのでした。また、デジタル表示の「新エレクトロニクス・ディスプレイメーター」がさらに雰囲気を盛り上げたもんです。
しかも、ステアリングコラムに小さな吹き出し口を設け、そこから温風を出して手を温めるという「クイックハンドウォーマー」が、真冬のドライブで効果抜群! 寒がりの女のコの手をこの装備で温めてあげて、点数アップしたオトコが何人いたことか! そのほか、「左右調節式リヤヘッドレスト」とか「オートエアピュリファイヤー(空気清浄器)」とか、快適装備に抜かりはありませんでした。
マークII3兄弟は「走り」でも若者にアピール! エンジンはガソリンのほかディーゼルもラインアップしていましたが、トヨタの売りはもちろん直列6気筒のガゾリンエンジンです。当初はNAとターボがありましたが、1985年のマイナーチェンジで日本初の「ツインカム・ツインターボ」を搭載! 排気量2リットルながら、185馬力/24.0kgmのパワー/トルクを実現しました。
当時、筆者の友達(医者の息子でいけすかないヤツだった)がツインターボのマークIIを買ったもんだから、早速ナビシートに乗っけてもらって青山通りをドライブしたのを覚えてます。友達が一瞬だけアクセルを全開にしたとき、その加速に思わず「おぉぉぉ~っ!」と絶叫しましたっけ。
足まわりもバッチリ! 4輪独立サスペンションをベースに電子制御の「新TEMS」を採用し、当時のクルマ専門誌&ジャーナリストが大注目しました。サスをオートモードにオンしておけば、自動でアンチスクォート、アンチシフトスクォート、アンチダイブ、アンチロールを制御してくれるんですが、当時の若者は単に「スゲぇ」と感心するだけで、その高性能さを真剣には実感していなかったと思います。だって、ドライブデートの雰囲気が盛りあがればいいだけだったんですから。
……ってな具合に、1980~90年代の日本をトヨタのミディアムセダンが盛り上げたのでした。「マークIIグランデ」「チェイサーアバンテ」「クレスタスーパールーセント」という上級仕様のグレード名があって、当時の若者はわざわざそのフルネームにこだわっていたのです。
そんなクルマが華やかでドライブが楽しい時代があったのです。再びそんな時代=事象が戻ってくれば良いなぁ……と、当時を生きたおじさん(筆者含む)は切に切に願うのです。
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みんなのコメント
最近見るとものすごく角ぽく小さく感じる!
そんな車がそこらじゅうゴロゴロしてた。
今や、クラウンでさえガサツな4気筒車になってしまった。値段は何倍だ?
つくづく贅沢な時代だった。