現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 絶滅寸前からセレブの証に? 実は日本が「リアウイング王国」である理由!

ここから本文です

絶滅寸前からセレブの証に? 実は日本が「リアウイング王国」である理由!

掲載 更新 65
絶滅寸前からセレブの証に? 実は日本が「リアウイング王国」である理由!

 すっかり姿を見なくなったクルマの装備といえば、リアウイングが挙げられる。「暴走族っぽい」とか「オタクっぽい」と、クルマに興味のない層からは嫌われていたリアウイングだったが、はたして本当に今も嫌われているのだろうか。

 最近は風向きが変わり、もしかしたら老若男女にウケているのではないかと、微かな希望を抱いた自動車評論家の清水草一が、現代におけるリアウイングの捉われ方を調査。つい最近、リアウイング付きのBRZを購入した自動車ライター・マリオ高野の証言を交えて、その実情をレポートする。

レクサス新コンパクトSUV投入計画をキャッチ!! 国内最少高級小型SUV登場へ

文/清水草一 写真/清水草一、フォッケウルフ

[gallink]

■現在吊り下げ式リアウイングを装着する国産車は?

 近年、「リアウイング」を装着したクルマを見かける機会が、めっきり減っている。トランクリッドにボディ一体型のフィンを付けた「リアスポイラー」ならそれほど珍しくないが、ボディから浮き上がった形状の「リアウイング」は、かなりレアな存在だ。

 1990年代の国産スポーツ全盛時代には、スカイラインGT-R、スープラ、GTO、ランエボ、インプレッサWRX、シルビア、インテグラタイプR、シビックタイプRなどなど、ド派手なリアウイングを装着したモデルが豊富だったし、販売台数も今よりはるかに多かった。

立派なリアウイングを装着したR34型スカイラインGT-R。現在の中古車相場は1300万円から3000万円超えの物件もある!

 ただ、初日の出暴走的な違法改造の巨大なリアウイングも目立ち、それによってリアウイングに対する世間一般のイメージは悪化。90年代も後半になると、リアウイングに対する世の中のイメージは、「暴走族っぽい」「オタクっぽい」など、はっきりネガティブなものになった。スポーツカーそのものが、「室内が狭くて不便なクルマ」という評価になってしまったのだ。

 スポーツカーがモテない乗り物になった影響もあり、スポーツモデルの数は徐々に減少。また、ボディ(特に下面)の空力形状の進化によって、スポーツカーにも巨大なリアウイングを装着する必要性が減少。結果的に、リアウイングは激減してしまっている。現在でも生き残っているリアウイング付きの国産車は、以下の通りだ。

■日産 GT-R

 GT-Rはリアウイングの牙城。国産スポーツにおけるリアウイングの象徴的存在と言ってもいい。ただ、現行GT-Rは、R34スカイラインGT-Rのソレに比べると、形状は控え目。洗練されていて、威圧感はほどほどだ。GT-R NISMOは、翼端板を持つレーシィなリアウイングになるが、予約販売台数に達したため、現在はオーダーできない。

■レクサス RC F

 自動格納式の「アクティブリアウイング」が標準装備される。せり出した状態でもボディとの隙間は小さく、リアウング感はいまひとつだが、「格納式」そのものに萌えるカーマニアも多いので、充分価値はある。

 また、「カーボンエクステリアパッケージ」を選択すると、格納式リアウイングがカーボン製になり、さらに「パフォーマンスパッケージ」を選ぶと、いかにも羽根らしく、トランクから支柱で支えられた形の、固定式カーボン製リアウイング(翼端板付き)になる。

■レクサス LC

「Sパッケージ」を選ぶと、RC F同様、トランクの一部がせりあがってウイングになる「アクティブリアウイング」が装備される。

■スバル BRZ

 メーカーオプションにリアウイングはないが、STIパーツには、スワンネック型のドライカーボン製リアスポイラーが用意されている。姉妹車のGR86は「GRトランクスポイラー」までで、リアウイングはナシ。

 なんと、たったのこれだけ! わずか4モデルとは! しかもGT-Rは、来年中の生産終了が噂されている。そうなると3モデルになってしまうし、レクサスの2台は非常にレアで、街で見る機会はほとんどない。

■リアウイングを搭載する新車の今後は?

現行型シビックタイプRにはかなり大型で抑揚のついた動物的デザインのリアウイングが装着されている

 ただし現在、スバル WRXとシビックタイプRが、モデルチェンジの端境期にある。スクープ写真によると、シビックRは確実にリアウイングあり。WRXには、標準では付かないようだが、恐らくオプションでは設定されるだろう。

 8月にアメリカで公開された新型フェアレディZには、リアウイングではなく、リップ型のリアスポイラーが装着されていたが、国内発売後は、NISMO製のリアウイングが登場する可能性はあると見る。

 スープラは、今のところオプションでも「GRトランクスポイラー」が最も派手で、リアウイングはナシ。

 ムキムキマッチョなボディスタイルには、先代80型スープラのようなリアウイングがいかにも似合いそうだが、北米トヨタは、GRスープラ・ヘリテイジエディションに大型リアウイングを取り入れている。今後日本でも設定される可能性があるのではないだろうか。

 ということで、今後4モデルにリアウイングがつく可能性があり、GT-Rを含めれば、瞬間的には合計8モデルになる……かもしれない。

 一方、輸入車はどうかというと、リアウイング装着モデルが非常に希少なことに驚かされる。

■マクラーレン セナ
■ランボルギーニ ウラカンSTO
■ロータス エヴォーラ/エキシージ/3-イレブン
■マスタング シェルビーGT500
■ポルシェ 718ケイマンGT4/911GT3

 典型的なでっかいリアウイングが付くのは、この8車種だけ。フェラーリには現在なし。かつてF40とF50は立派なリアウイングを備えていたが、近年はスペチアーレ(スペシャル限定モデル)のラ フェラーリにもリアウイングは付かなかった。

 あとはコルベット、カマロSS、アウディR8、アウディTT RSに、ボディからわずかに浮いた控え目なリアウイングがあるくらいだ。その他、超少量生産の超高級スーパーカーには存在するが、それらを除くと、海外にはわずか12車種しかない。

■世界と比べると日本は「リアウイング天国」?

 こうして国内外を比較してみると、減った減ったと言っても、国産車にはディーラーでリアウイングが装着してもらえるモデルが、かなり多いことがわかる。意外なことに、日本はリアウイング王国だったのだ! 

 日本人は、それだけリアウイングへの思い入れが深いのではないだろうか? 特に中高年世代のクルマ好きにとっては、「スーパーカーライト」と呼ばれたリトラクタブルヘッドライトと並んで、リアウングは憧れの装備のひとつ。「死ぬまでにリアウイング付きのクルマに乗りたい」と、密かな願望を抱いている者は少なくない。

 また、世間的な拒絶反応も、かつてに比べると劇的に減少している。初日の出暴走系のドレスアップ車はほとんど消滅し、「リアウイング=社会のメーワク」といった、ネガティブなイメージも消えた。昔を知っている女性は、いまだに「ゾクっぽい」「オタクっぽい」とリアウイングを嫌うが、彼女たちは今や50代より上である。

 若い世代は男女を問わず、かなりのクルマ好きでない限り、リアウイングそのものを知らない。知らなければネガティブなイメージを持つはずもない。

マリオ高野氏の愛車、新型BRZに装着されているのは「STIドライカーボンスポイラー」

 ごく最近、STIのドライカーボン製スワンネックウイング付きのBRZを購入した自動車ライターのマリオ高野氏は、こう証言する。

「日頃から、プロ野球ファンの若い女子と交流する機会があるのですが、彼女たちは、私のBRZをひと目見るなり、『なんですかこれは?』と羽根(リアウイング)のことを尋ねます。

『これは、飛行機の翼を逆さまにした機能を持つものだ』と説明しますと、皆、心の底から驚愕します。クルマと飛行機が合体することが信じられないといった様子で、『スゴ~イ!』と絶賛されっぱなしであります!」

 思えば、3代目RX-7やR34GT-Rなど、リアウイングがついた国産ネオクラシックスポーツカーには超高値がついている。もはやリアウイング付きのクルマに乗ることは、暴走族どころか、セレブの証と言ってもいいのではないだろうか。

[gallink]

こんな記事も読まれています

“300”との差別化を明確に。“250”は扱いやすく生活に必要なランクル/トヨタ・ランドクルーザー“250”試乗
“300”との差別化を明確に。“250”は扱いやすく生活に必要なランクル/トヨタ・ランドクルーザー“250”試乗
AUTOSPORT web
スバルの「小さなヤツ」登場! “軽ボディ”に“直4スーチャー”の超ド級マシン! 「ヴィヴィオ」が借りられる
スバルの「小さなヤツ」登場! “軽ボディ”に“直4スーチャー”の超ド級マシン! 「ヴィヴィオ」が借りられる
くるまのニュース
〈人テク展2024横浜〉住友電工、自動運転可能な電動小型モビリティを初公開
〈人テク展2024横浜〉住友電工、自動運転可能な電動小型モビリティを初公開
日刊自動車新聞
メルセデス、チグハグな開発方針から脱却? 次のアップデートに自信「”魔法”はないと受け入れた」
メルセデス、チグハグな開発方針から脱却? 次のアップデートに自信「”魔法”はないと受け入れた」
motorsport.com 日本版
オートポリスに“巨人”出現。JRP、鈴鹿市に続き大分県日田市と『地域連携パートナーシップ』を締結
オートポリスに“巨人”出現。JRP、鈴鹿市に続き大分県日田市と『地域連携パートナーシップ』を締結
AUTOSPORT web
【ブレイズ】5/25・26開催の「tvk かながわMIRAIストリート2024」に出展
【ブレイズ】5/25・26開催の「tvk かながわMIRAIストリート2024」に出展
バイクブロス
傑作という名のモデルが登場!アウディ、「A4」「A4アバント」および「A5スポーツバック」の特別仕様車を発売
傑作という名のモデルが登場!アウディ、「A4」「A4アバント」および「A5スポーツバック」の特別仕様車を発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
HJCヘルメット、クアルタラロの『ル・マン スペシャル2024』レプリカを7月に発売/MotoGPフランスGP
HJCヘルメット、クアルタラロの『ル・マン スペシャル2024』レプリカを7月に発売/MotoGPフランスGP
AUTOSPORT web
ダイハツの合弁「プロドゥア」、初のEVプロトタイプ発表
ダイハツの合弁「プロドゥア」、初のEVプロトタイプ発表
レスポンス
アバルト、限定車「F595Cセカンドエディション」発売 5速MTの電動ソフトトップ仕様
アバルト、限定車「F595Cセカンドエディション」発売 5速MTの電動ソフトトップ仕様
日刊自動車新聞
世界初! 1日の「ソーラー充電」だけで“30キロ”走行可能!? めちゃ凄い新型「3人乗りトライク」初公開!
世界初! 1日の「ソーラー充電」だけで“30キロ”走行可能!? めちゃ凄い新型「3人乗りトライク」初公開!
くるまのニュース
「ディフェンダー」の2025年モデル受注開始! ロングボディの「130」にも“最強”5リッターV8エンジン搭載車を用意
「ディフェンダー」の2025年モデル受注開始! ロングボディの「130」にも“最強”5リッターV8エンジン搭載車を用意
VAGUE
車中泊にもバッチリ対応! アウトドアにぴったりハマる三菱 デリカミニがベースの軽キャンパー
車中泊にもバッチリ対応! アウトドアにぴったりハマる三菱 デリカミニがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
クルマ作りで最も大切なのは[壊すこと]!? [衝撃のGRヤリス]姿に納得! トヨタ車が信頼性抜群のワケ
クルマ作りで最も大切なのは[壊すこと]!? [衝撃のGRヤリス]姿に納得! トヨタ車が信頼性抜群のワケ
ベストカーWeb
昭和のサーキットを華やかに駆け抜けた名レーサー 都平健二氏との思い出
昭和のサーキットを華やかに駆け抜けた名レーサー 都平健二氏との思い出
バイクのニュース
ポップアップエキジビション「LBX LOUNGE」を期間限定でオープン!次世代LEXUSの「Premium Casualな世界」が全開だ
ポップアップエキジビション「LBX LOUNGE」を期間限定でオープン!次世代LEXUSの「Premium Casualな世界」が全開だ
Webモーターマガジン
車外でシャワーも使える便利な相棒! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
車外でシャワーも使える便利な相棒! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
トヨタ、プリウスの後席ドアハンドルのリコール対応 6/14めどに開始 生産再開は6/17から
トヨタ、プリウスの後席ドアハンドルのリコール対応 6/14めどに開始 生産再開は6/17から
日刊自動車新聞

みんなのコメント

65件
  • ごめん…記事の内容が全く理解できん。つまりウィングを装着してる車種が多いからか?ってか、ウィングと、スポイラーの違いとか、ウィングの有用性とか書くものじゃない?

    内容ペラペラ。やる気あるの??(笑)
  • 何で絶滅とか煽るような記事を書くかな
    F1は必要だから未だにリアウィングを付けているんだろうが
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村