4月21日(日)、WRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』の競技最終日となるデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走した。セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は、SS18にて3番手から首位に浮上し、最後までリードを守り切って総合優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)も総合2位に続いた。
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)も、最終日には2度のステージウインをあげる快走を披露し、日曜日のみの総合順位で争われる“スーパーサンデー”を制して総合5位となった。
クライマックスに起きた悲劇。「どうすることもできなかった」とヌービル/WRC第4戦コメント
クロアチア・ラリーの最終日は、サービスパークの北側で2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は54.78kmだ。日曜日は朝から爽やかな青空が広がり、路面コンディションはドライ。降雨の可能性はほぼなく、デイ2で搭載を選択したウエットタイヤも降ろして臨んだ。
前日のデイ2終了時点で、総合首位に立つヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と、総合2位エバンスの差は4.9秒。総合3位のオジエはヌービルと11.6秒差につけていた。
朝7時過ぎから始まったオープニングのSS17では、前日総合6位の勝田がこの大会初のベストタイムを記録。エバンスは3番手タイムで首位との差を2.6秒に縮めた。
続くSS18では多くのドラマが起こり、エバンスもそのうちのひとりとなってしまった。スピンを喫してタイムロスとなったが、首位ヌービルもコースオフとなってさらに多くのタイムを失う。その結果、このステージで3番手タイムだったオジエが一気に首位に浮上。9.1秒差で総合2位エバンス、10.2秒差で総合3位ヌービルと、順位が大きく入れ替わった。
また、総合5位につけていたMスポーツ・フォードWRTのアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が足まわりにダメージを負ってステージ上で長時間ストップしたことにより、2番手タイムを刻んだ勝田は総合5位に順位を上げた。
SS17の再走ステージであるSS19では、勝田がふたたびベストタイムを記録し、日曜日のみの総合順位で争われる“スーパーサンデー”のリードを広げた。
そして迎えた最終のパワーステージで、オジエは3番手タイムを記録。5番手タイムだったエバンスとの差を9.7秒とし、2023年第7戦サファリ・ラリー・ケニア以来となる優勝を飾った。オジエにとってはWRC通算59勝目、そして100回目の表彰台獲得の快挙達成となった。また、チームはクロアチア・ラリーでの4連覇を達成した。
総合2位を獲得し、パワーステージでは5番手タイムを記録したエバンスは、ドライバー選手権2位の座を維持。TGR-WRTはマニュファクチャラー選手権トップを守り、リードを7ポイントに拡大した。また、勝田はパワーステージで4番手タイムを記録し、スーパーサンデーを初制覇。計15ポイントを獲得し、総合5位でラリーを終えている。
ヒョンデとの激戦を制したTGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「信じられないような展開のラリーだった」と大会を振り返った。
「ティエリー・ヌービルが強力だったので、最後まで勝てるかどうかが分からなかった。その後、ティエリーとエルフィン(・エバンス)のふたりともがタイムを失ってしまったのは、我々が望んでいたことではなかった」
「しかし、それによってセブ(セバスチャン・オジエ)が突然トップに立ち、勝利を手にした。とてもドラマチックな展開となったが、最後にフィニッシュラインを通過するまでは、保証なんてないことが証明された。これこそがラリーなんだ」
「表彰台をめぐる接戦が最終日まで繰り広げられたことは、このスポーツの素晴らしさを物語っている。今回はセブにとって100回目の表彰台となったが、それは信じ難い数字だよ。ほぼ3カ月ぶりのWRC出場で優勝まで飾ったことからも、彼が8回も世界王者に輝いた理由がよく分かる。セブがチームの一員であることが誇らしいよ」
WRC次戦は、ポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催される第5戦『ラリー・ポルトガル』だ。グラベル(未舗装路)ラリーとなり、再走ステージになると路面の砂利や砂が掃けて、下から硬い岩盤や石が現れるなどコンディションが大きく変化するのが特徴となる。大会は、3週間後の5月9日から12日にかけて開催される予定だ。
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