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小林可夢偉を追い詰めたポルシェのエストーレ、ペナルティを「秘密にされていた」と明かす/WECイモラ

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小林可夢偉を追い詰めたポルシェのエストーレ、ペナルティを「秘密にされていた」と明かす/WECイモラ

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのケビン・エストーレは、イモラ6時間レースの終盤に首位のトヨタ小林可夢偉を追いかける途中、6号車のクルーが科せられた5秒のタイムペナルティについて、チームからは「秘密にされていた」と明かした。

■「可夢偉は何も間違えなかった」

劇的逆転勝利のトヨタ小林可夢偉「燃料が最後までもつか確信が持てなかった。本当に大変だった」/WECイモラ

 エストーレと6号車ポルシェ963に乗るチームメイト、アンドレ・ロッテラー、ローレンス・ファントールの3人は、WEC世界耐久選手権のシーズン開幕戦カタール1812kmでの勝利に続き、4月21日に行われたイタリアでの第2戦では、7号車トヨタGR010ハイブリッドに次ぐ2位でレースを終えた。

 残り2時間で雨が降ったことが各陣営の戦略の分かれ目となったが、ここでエストーレは2番手となり、終盤に可夢偉にアタックできる位置につけると、エストーレは可夢偉の7号車トヨタとの10秒の差を、急速に縮めていった。

 このとき、エストーレの6号車には、セーフティカー中の追い越しにより5秒のタイムペナルティが科せられていた。つまり彼は可夢偉をパスし、さらに5秒以上のギャップを築かなければ優勝できない状況だった。

 だが、エストーレはフィニッシュまで数分となるまで、これを知らされていなかったという。

 最終スティントを振り返ったエストーレは、ドライではあるがまだ滑りやすい路面で可夢偉をかわそうとしたていたため、情報伝達を差し控えるというチームの決定に理解を示している。

「残り5周になるまで分からなかった」とエストレは明かした。

「チームは知っていたが、僕には教えてくれなかったんだ。トヨタが僕らより2周早く(最終)ピットインしたので、燃料を節約しなければならず、誰もが最終的にどうなるか少し不安だったと思う」

「おそらく彼ら7号車は僕らよりもずっと燃料を節約しなければならないか、あるいはもう一度ピットインしなければならないだろうと考えていた。だからこそ燃料を節約しながら、首位への復帰を目指してかなりプッシュしていた。そして僕が(可夢偉の真後ろへ)来たとき、このコンディションでは僕らは彼らに対してかなり優位に立っていたと思う」

「だけど接近したときには、彼は何も間違えなかった。路面が湿っていたから、追い抜くのは簡単ではかったんだ。トライして、トライして、トライして、そして残り5周のところでチームが『5秒(ペナルティ)が加算されるから、変なリスクを冒すな』と伝えてくれたんだ」

「その前に、僕が彼らに対して非常に早いペースで接近していたので、僕にトライさせたのは正しかったと思う。そして、乱れたエアーの中では、それは非常に困難だ。だから、僕らのしたことはすべてが正しかったと思う。おそらく、この5秒が、僕らがこの1週間で犯した唯一の過ちだ」

 エストーレの挑戦は、可夢偉を追いかけてビルヌーブシケインで大きく飛び出したとき、たじろいだように見えたが、それは6号車のペナルティの知らせを聞いたと同時に起こったとエストーレは語っている。

「この5秒のペナルティがあるのだから、あまりリスクを冒す必要はないのではとチームが考えた瞬間だったと思う」と彼は語った。

「そして、その時点でトラフィックが発生した。ひどいトラフィックだった。 それで(無線での)連絡が取れなくなり、その後もとに戻ったんだ」

 エストーレは、ペナルティは「おそらく」アコーディスASPのレクサスRC F GT3の1台をセーフティカー解除直前に追い越した結果であると付け加えた。実際、スチュワードレポートには、そのように記されている。

「最終コーナー(リヴァッツァ2)を出ると、JOTA(ポルシェ963)、レクサス、そして僕がいた」と彼は振り返る。

「JOTAには基本的にトラクションがなかったので、レクサスはストレートでアクセルを戻す必要があった。僕の方はもっと乗れていたし、より温まったタイヤを履いていたと思う」

「(コントロール)ラインより前で追い越さないようにアクセルを戻したけど、おそらく抜いてしまったんだ」

■“人生最大の燃費セーブ”で優勝した小林可夢偉

 一方の可夢偉は当初、終盤の燃料スプラッシュを避けるために「大規模な」燃料節約をしなければ、最後まで走り切れるかどうか確信が持てなかったと述べ、実現不可能に思われたことを達成したチームメイトとトヨタのクルーを称賛した。

「その時は、最後まで走るための燃料があるかどうか確信が持てず、スプラッシュをする必要があるかどうかについて話し合っていました」と日本人ドライバーは振り返る。

「燃料を大幅に節約する必要があることに気づきましたが、ケビンはすぐに僕の背後まで来ました」

「とても大変な仕事でしたがが、トップでフィニッシュできたのは素晴らしいことです。僕らのクルマは最高の週末ではなかったですが、ミスはしなかったし、他のふたり(マイク・コンウェイとニック・デ・フリース)は素晴らしい仕事をしてくれたし、チーム全員がピットストップと戦略において素晴らしい仕事をしてくれました」

 エストーレの5秒ペナルティについて可夢偉は、「知っていたけど、道を譲りたくなかった!」と語っている。

 レース終盤の燃料スプラッシュを避けるために必要な燃料節約量は「人生で一度もする必要がなかった」ほどのものだったと付け加えた可夢偉は、「実際にどれくらいか言うのは難しいが、かなり節約できました」と付け加えている。

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みんなのコメント

4件
  • kvg********
    トヨタは最終盤の燃料問題を何度かやらかしているからな。
    こういうのがWECの面白さだろう。
  • ******
    WRCもWECも昔のように、純ガソリンEg車のみでレースをやって欲しい
    トヨタHVのイカサマが酷すぎてシラける
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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