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【なぜ今】日産e-NV200ウインター・キャンパー発表 デリカPHEVへの布石も?

掲載 更新 3
【なぜ今】日産e-NV200ウインター・キャンパー発表 デリカPHEVへの布石も?

e-NV200キャンパー発表 なぜ今?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】e-NV200ウインター・キャンパー・コンセプトとデリカ・シリーズ【見比べる】 全100枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

冬のアウトドアを充実させる、e-NV200ウインター・キャンパー・コンセプト。

そんな題目で、日産は2021年1月20日にニュースリリースし、関連する画像や動画を世界初公開した。

なぜ、このタイミングでこうしたモデルを紹介するのだろうか。

昨今のキャンプブームで、日産はEVについてもキャンプ領域に本気になった、ということなのか? まさか、日本を含む昨今の世界的なEVシフトを受けて、2021年登場のアリアに次いで、e-NV200がビックマイナーチェンジをするのだろうか?

キャンプ好きやSUV派のユーザーにとっては、なんとなく気になる今回のコンセプトモデル発表である。

日産の意図はどこにあるのか?

これまでの日産に対するさまざまな取材、ならびに各種EVやキャンプ関連の取材や、各方面との意見交換を踏まえて、e-NV200ウインター・キャンパー・コンセプトの秘密に迫ってみたい。

発表タイミング 考え得る3つの理由

早速だが、第1の理由は、端的に「いまが冬」だからだろう。

車両を製造したのは欧州であるが、日本と同じく北半球の冬季における日産のモデルラインナップ全体に対するブランドイメージ・キャンペーンである。

車両自体がEVであることよりも、欧州の自然の中でノビノビと過ごす時間を表現することで、既存の新モデルの販売促進につなげる狙いではないか。ただ、少し気になる点がある……。

それは、ロゴだ。

発表にあわせて公開された動画のイントロダクション部分には、日産の新しいロゴが登場する。

日本では、日産ブランドアンバサダーの木村拓哉氏が登場するテレビCMですっかりお馴染みとなった新ロゴだ。新中期経営計画「ニッサン・ネクスト」を掲げて、経営状況のV字回復を狙る象徴として、日産はロゴを20年ぶりに刷新した。

だが、今回の発表にあわせて公開された動画に登場する車両ロゴは、既存のe-NV200が採用している旧ロゴのままだ。

このタイミングでのコンセプトモデルというのならば、公道走行するにしても、新型ロゴを採用した方が、ユーザーはもとより産業界や、さらに機関投資家に対するインパクトはより強くなったと思う。

その機関投資家への対応が、このコンセプトモデル登場の第2の理由だと思う。いわゆる、ESG投資への対策だ。

ESG投資とは「従来の財務情報だけではなく、エンバイロンメント(環境)、ソーシャル(社会)、ガバナンス要素も考慮した投資」(経済産業省)を指す。

単純なブランドイメージとしてだけではなく、ESG投資への対応を見据えた企業全体として目指す方向をイメージ化させる。そうした狙いが、このコンセプトモデルに見え隠れる。

そして、第3の理由は、ルノー日産三菱アライアンスにおける、LCV(小型商用車)戦略が考えられる。

LCVのEV化とキャンパーを紐付ける

ルノーが2021年1月15日に発表した中期経営計画2020-2025「ルノルーション」の中で、興味深い円グラフを公開している。

それは、2020年と2025年それぞれで、4つのルノー傘下ブランド(ルノー、アルピーヌ、ルーマニアのダチア、ロシアのラーダ)のパワートレインの種類を比較するものだ。

そのなかで、ディーゼルについては、ルノー傘下ブランド全体で現在の4割弱から一気に1割程度まで縮小し、その代わりとしてEV化を進めるという。

ルノー日産三菱アライアンスでは、メーカーそれぞれが得意な技術領域で「リーダー」となり、そのほかの2社が「フォロワー」に徹するという考え方を明確にしている。その上で、e-NV200のレジャーを含む多目的利用は、ルノーにも影響を与えると思われる。

また一般的に、LCVは都市部や地方部の限られた地域で使われることが多いため、航続距離が比較的に短く、また配達などでは走行ルートがあらかじめ決まっており、充電を計画的にできると考えされている。住宅が多い地域での排ガスや騒音に対するする必要もあり、結果的に「LCVはEV向き」といわれることが多い。

そうしたLCVのEV化が、商業車ということで一般メディアにおける話題性に欠けることもあり、近年日本でもブームとなっている商用バンのレジャー利用というイメージでのコンセプトモデルなのかもしれない。

次期デリカD:5 PHEV兄弟車になる?

では、今回のコンセプトモデルの量産化はないのか?

筆者の見立てとしては、2020年代中盤には、十分にあり得る話だと思う。可能性としては、大きく2つあるのではないだろうか。

1つは、次期e-NV200の登場でのモデルバリエーションとしてだ。そもそもe-NV200は、リーフの多モデル化のひとつであるため、次期リーフが登場にあわせて、またはそれから1年程度遅れての登場が期待される。

その際、量産車の改造ではなく、日産には車検対応可能なポップアップルーフ量産化の可能性をぜひ探って欲しい。

もう1点が、e-NV200とは商品イメージは変わり、商用車ではなく乗用でボディサイズがNV200より大きくなるが、次期エクストレイルと次期アウトランダーに搭載される、PHEV(プラグインハイブリッド)を活用することだ。

モデル開発の流れから推測すれば、それは次期デリカD:5 PHEVの兄弟車になるのが筋である。

そうした多目的なレジャーバンの将来像を、日産がe-NV200ウインター・キャンパー・コンセプトに託しているように感じる。本来、このコンセプトモデルは、2020年と同じく2021年も新型コロナウイルス拡大の影響で3月開催が中止となった、スイス・ジュネーブモーターショーに展示される予定だったはずだ。

いつの日か、実車をじっくり見てみたいものだ。

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みんなのコメント

3件
  • コンセプトはステキだけど、様々な状況を想定すると今のバッテリー容量じゃチト怖い。
  • PHEVは三菱の担当で、現状とてもデリカまでの供給力はありません。
    アリアの車台を使って、セレナEVレンジエクステンダー車なら有りだろうけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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