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【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(1)】レクサスGX550オーバートレイルはすべてで期待を上まわる

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【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(1)】レクサスGX550オーバートレイルはすべてで期待を上まわる

日本でも人気を博しそうな最新SUVを、いち早く海外にて試乗する特別企画。パート1となる日本代表「レクサスGX550」は、国内でも抽選申込が始まっている「オーバートレイル(+)」を中心に、渡辺敏史氏が試す。果たしてどんな「楽しさ」が味わえるのだろうか。(MotorMagazine 2024年5月号より)

急速に充実するレクサスSUVラインナップたち
クルマの形状において今や最大勢力であるSUV。とりわけ乗用車のモノコックをベースとした今日的あり方を、トヨタは早くから手掛けてきた。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

90年代前半には現在の販売的主力であるRAV4を、そして90年代後半にはプレミアム系SUVの先駆けとなったハリアーをリリース。そのレクサス版となるRXもまた、ブランド内で最大の販売台数をマークした。

そのRXを中軸に、NXやUX、LBXやBEVのRZなど、多彩なSUVラインナップを構築するレクサスだが、一方でラダーフレームの車台を用いたLXやGXといったオフローダー寄りのSUVもその一翼にいる。

こういう構成が採れること自体、プレミアムブランドにおいては相当レアなケースで、他を見渡せばメルセデスやキャデラック、インフィニティぐらいしかないだろう。

レクサスがRXの傍らにLXやGXを並べることができるのは、トヨタブランドの信頼性や耐久性の象徴ともいえるランドクルーザーの存在が大きい。

その時々で鍛え込まれたアーキテクチャーを活かした初代LXが登場したのは96年と実はRXよりも早く、レクサスとしては初のSUVということになる。

そして02年に登場したのがレクサスGXだ。こちらはランドクルーザー120~150(日本名プラド)の進化と歩を合わせるように二代20年余に渡って世界のマーケットで受け入れられてきた。

三代目にしてついに、日本市場への導入が決定
LXとの棲み分けは、よりデイリーなニーズだったり、ヘビーデューティなニーズだったりというところで、二次・三次のユーザーに渡ればオフロードカスタムのベースとしても重宝されている。

そして23年、三代目へと進化した新型GXが間もなく日本でも発売が開始となる。この展開が決定された背景にはアーキテクチャーの完全刷新により、目の肥えた日本のカスタマーにも応える質感が手に入った点が挙げられよう。

新型GXの基本メカニズムは23年夏に発表されたランドクルーザー250と同じだ。元をただせばランドクルーザー300やLXが採用するラダーフレームベースのGA-Fプラットフォームを用いたファミリーの一員ということになる。

ただしランドクルーザー250とは微に入り細に入り変更を受け、GXの求める水準へと資質を向上。とくに上屋の側は、オンロードでの応答性の高さや上質な乗り心地を目指して試行錯誤を重ね、コアサポートやステアリングサポート、リアホイールハウス付近などに補強部材を追加している。

ホイールベースは2850mm。前型より60mm伸びたこれは、走破性と実用性の両立を追求し続けたランドクルーザー系の黄金比ともいえるもので、LXも同じ長さとなる。そのぶん、全長も伸びて4950mm。三寸はランドクルーザー300と同じでLXよりは100mmほど短いだけだ。日本では、使う環境を選ぶことになるのは致し方ないところか。

LXとの違いは、悪路走行への最適化
果たしてGXとLXの差は大・小でないとすれば何だろうか。

ポイントとなるのは悪環境でのタフネスぶりだろう。象徴的なところでいえばサスペンションの仕様で新型GXは前ダブルウイッシュボーン、後4リンクリジッド+ラテラルロッドというコンベンショナルな形式となる。

ここまではLXも同じだが、異なるのはその先で、LXはエアスプリングと油圧による車高調整機能を一体化させたアクティブハイトコントロールで懸架するのに対して、GXはオーソドックスなコイルスプリング懸架で、耐久性や信頼性を重視した選択ということになる。

最低地上高は後述するグレードにもよるが、220~225mm。LXは210mmだが、乗降モードやオフロードモードなど、設定に応じて上下最大110mmの油圧による車高調整が可能だ。

GXは前後オーバーハングの短さや造形面でも悪路走行に最適化することで、LXに比肩するほどのオフロード能力を備えている。

新型GXのパワートレーンはLXと同じ、V35A-FTS型。3.5LV6ツインターボだ。ただし最高出力は354psと約60ps低い。理由はタービンの小径化やマネジメントの変更による低中回転域のレスポンス向上で、数字には現れないが、オフロードでの扱いやすさを狙ったセットアップになっている。

仕向地によっては2.4L 直4ターボをベースとするHEVも設定されているが、日本仕様はV6のみの設定となる。

環境への配慮を忘れないからこそ生まれる豊かな時間
米国仕様となる試乗車のグレード構成は新設定となるオーバートレイルを中心に、20インチを履くプレミアムや22インチを履くラグジュアリーにも触れることができた。後者の日本仕様はバージョンLなどの親しんだグレード名が用いられることも十分考えられる。

オーバートレイルは、アウトドアライフや環境保護活動を通じて豊かな時間を楽しむというレクサスが推す新たなエクスペリエンスだ。新型GXに設定された新たなグレードはその象徴的な存在として企画された。

専用開発された18インチのオールテレインタイヤはマッドテレインに近い大きなブロックが特徴的だ。走破性の面ではバンパーデザイン変更や電子制御スタビライザーのE-KDSSを採用する点などが他のグレードと異なる。

内装の質感はレクサスとしてみれば車格相応といったところだがアナログな道具感を重視したデザインもあり、操作系に奇をてらったところのないのが逆に個性的でもある。見た目のとおり四方の見切り感は抜群な上、低く構えた窓枠のおかげで、顔を出しての側方路面状況の確認も難なく行える。

ボディオンフレームのリアリジッドといえば、乗り心地的には微小な振動に加えて時折りリアのホーシングによる横揺れがつきまとうようなイメージがあるが、新型GXはこういった癖をかなりのレベルで封じ込めている。モノコック同然とまでは言わないが、日常的な場面で乗り心地に不満を抱くことはまずないはずだ。

この点、20インチの「プレミアム」は可変ダンパーを持たないベースグレード相当だが、上位グレードに遜色なく快適なうえ、むしろその素直な操縦性に感心させられた。

優しく運転する方向に導く、ピュアなオフローダーらしさ
そのうえで、しばしば舗装に陥没痕などが現れるアリゾナのような環境ではやはりラダーフレームのクルマは頼もしさが違う。アメリカで「骨(ラダーフレーム)付き」のクルマがいつまでももてはやされる理由もよくわかる。

そもそもワインディングロードなどでタイヤを鳴らすようなキャラクターではないが、コーナリング時の操舵に対する応答の遅れや身のこなしの重さというところは、さほど気にならないレベルまで詰められている。

さりとて、モノコック系同然の応答性というわけではない。動きの待ちもまた楽しみとしながら自然と優しく運転する方向に導かれる。これもまたピュアなオフローダーの美点だと思う。

悪路については30度バンクや登坂、モーグルなどのセクションを含めて色々な環境をオーバートレイルで試すことができたが、ここでも際立つのは乗り心地の良さだ。片輪が凹みにドンと落ちる際や岩場で不規則に大きな入力が連続する際にも、大入力の角はしっかり丸められていて、乗員への負荷を抑えている。

悪路での乗り心地といえば油圧エアサスペンションを用いるLXの独壇場かと思いきや、新型GXもしっかり肉薄している。走破性の高さは言うに及ばずだが、極限でさえ快適という「ならでは」のもてなしは、レクサスのSUVラインナップにさらなる厚みと深みをもたらすはずだ。

レクサス GX550 オーバートレイル 主要諸元 
●Engine
エンジン種類:V6DOHCツインターボ
排気量:3445ccボア×ストローク85.6×100.0mm 
圧縮比:10.3
最高出力:260kW(353ps)/4800-5200rpm 
最大トルク:650Nm/2000-3600rpm 
燃料・タンク容量:プレミアム・80L 
燃費(EPA複合モード準拠):7.2km/L 
CO2:排出量322g/km
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:5005×2000×1935mm 
ホイールベース:2850mm 
トレッド 前/後:1687/1688mm 
最低地上高:225mm 
渡河深度:700mm 
車両重量:2574-2588kg 
乗車定員:5名 
最小回転半径:6.4m 
ラゲッジルーム容量:1291/2563L
●Chassis
駆動方式:4WD 
トランスミッション:10速AT
サスペンション形式 前/後:ダブルウイッシュボーン/4リンク 
ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク 
タイヤサイズ:265/70R18

[ アルバム : レクサス GX550 海外試乗会 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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