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疑う余地はない本格派 新型フォード・ブロンコへ試乗 最大のライバルはラングラー

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疑う余地はない本格派 新型フォード・ブロンコへ試乗 最大のライバルはラングラー

セパレートシャシーの本格オフローダー

フォードは、欧州市場で設けられている、メーカー平均でのCO2排出量に手を焼いている。新しいフォーカス RSを提供する余裕がないほど、目標の達成は難しいようだ。

【画像】疑う余地はない本格派 フォード・ブロンコとレンジャー 競合のオフローダーと比較 全112枚

ジープ・ラングラーへ伍する、内燃エンジンのオフローダーなど、販売できる状況ではないのだろう。それでも、特定のディーラーを訪れれば、新しいブロンコを購入できる。並行輸入という形で。

それが、ロンドンにショールームを構えるクライブサットン社で、彼らはフォード・マスタングやシボレー・コルベットなど、アメリカ車を得意としている。ちなみに、日本にも並行輸入しているディーラーは存在する。

初代を想起させるデザインをまとう、新型ブロンコが発表されたのは2020年。2ドアと4ドアのボディスタイルがラインナップされ、セパレートシャシー構造を採用する、本格的な四輪駆動のオフローダーだ。

ひと回り小さいブロンコ・スポーツも存在するが、こちらはだいぶ内容が異なる。モノコック構造で、オンロードへ焦点が向けられた、ファミリーSUVといえる。

本物のブロンコと呼べるのは、もちろん前者の方。シャシーはピックアップトラックのレンジャーから派生したもので、フロント・サスペンションは独立懸架式。リアはリジットアクスルとなる。

四輪駆動システムには、ハイレシオとローレシオが備わり、後輪駆動へ切り替えることも可能。広大な北米大陸を駆け巡るような、アドベンチャーを前提に開発されている。

ルーフやサイドドアは脱着可能

最大のライバルといえるラングラーを、ジープは年間20万台以上も世界中へ届けている。アフターマーケットパーツやカスタム市場も、かなりの規模といっていい。フォードが同じクラスに属するモデルを欲したとしても、不思議ではない。

強く意識しているだけに、ボディサイズもラングラーへ近い。4ドアのラングラー・アンリミテッドは全長が4882mm、全幅は1894mm、全高が1848mmだが、ブロンコは4811mm、1937mm、1962mmとなる。

ルーフは、ソフトトップかハードトップを選べる。どちらもボディから取り外すことができ、サイドドアも脱着が可能。テールゲートは横に開く。

グレードやオプションなどの選択肢も多彩。北米市場では、3万ドル(約447万円)を切る価格から提供されているが、ディーラーはもっと強気の設定でも良いと考えているようだ。これまでに16万台以上の注文が寄せられたといい、需要の高さを裏付けている。

今回グレートブリテン島で試乗したブロンコは、アウターバンクス。北米ではミドルグレードに相当し、トップグレードとは異なり、オンロード重視のタイヤを履く。

ラングラーと同じく、オフローダーらしい無骨な雰囲気が漂っているほど、ブロンコはカッコよく見えると筆者は思う。この例では、少し上品すぎるかもしれない。

エンジンは2.3L直列4気筒ガソリンターボの、エコブースト・ユニット。10速ATが組み合わされる。ほかに、2.7L V6ガソリンターボも選べ、6速MTもオプションで指定できる。3.0Lエンジンのラプターも、追って登場するそうだ。

扱いやすさや回頭性はフォードらしい強み

インテリアは、期待通りタフなデザインでまとめられている。運転姿勢は背もたれが起き気味で、ボンネットの先端が見える。両脇のグラブハンドルが、本格的なオフローダーに乗っている気分を高める。

これは、ルーフへ載せたカヤックの先端をロープで固定したり、林間を走る際に枝がフロントガラスへ当たらないようにするワイヤー、リムライザーを取り付けるためのもの。ボディサイズも把握しやすい。アドベンチャーには必要なアイテムだ。

人間工学的にも優れている。エアコンとオーディオには、手袋をしていても操作しやすそうな大きなボタンやノブが用意されている。ゴムでコーティングされ質感も良い。

ダッシュボードの中央には、控えめなサイズのタッチモニターが埋め込まれている。メーターパネルもモニター式で、表示内容を選択できる。

フロントシート側の空間は充分ゆとりがあり、天井も高い。ドアパネルにはネット張りのポケットが用意され、悪路を走っても小物が暴れるのを防いでいる。

確認はこのくらいにして、早速発進。4気筒ターボエンジンは、穏やかに目覚め、アクセルペダルへ正確に反応する。クリープ走行も安定しており、エンジンブレーキも良く効く。悪路で有用といえるが、渋滞した市街地でも扱いやすい。

乗り心地は全体的に角が取れているが、フラットというわけではない。ステアリングホイールは、重すぎず軽すぎず好印象。自然な回頭性で、反応はダイレクトで、フォードらしい強みが表れている。

走破性に疑う余地はない本格派

ドライブモードも複数用意されている。ブロンコの場合、GOAT(ゴート)と名付けられているが、「Goes Over Any Terrain(どんな地形も走破する)」というフレーズの略らしい。シロイワヤギを示す単語でもある。

走行時の洗練度はほどほど。試乗車はソフトトップだったが、高速道路では若干心もとなく、橋桁の継ぎ目などでボディが振動する仕草も見られた。ハードトップの方が安心感が高く、快適だとは思う。

とはいえ、上質で現代的なオフローダーをお考えなら、ランドローバー・ディフェンダーやトヨタ・ランドクルーザーを検討された方が賢明だろう。本質的に、欧州や日本の環境を前提としたモデルではない。

無論、走破性に疑う余地はない。本格派らしく、渡河水深は850mmもある。ボディと路面が接する角度は、フロントのアプローチアングルで35.5度。ブレークオーバーとディパーチャーのアングルは20.0度と29.7度で、こちらも充分以上だ。

グレートブリテン島でブロンコを楽しむには、車検を受けて合法化する必要があり、小さくない手間がかかる。かくして英国での価格は、2年の補保証付きで4万5000ポンド(約814万円)から8万5000ポンド(約1538万円)なり。

ラングラー・アンリミテッドより高いことは事実。ルビコンを選べば6万ポンド(約1086万円)を超えるとはいえ、ディフェンダーに並ぶ金額でもあると考えると、価格的な競争力が高いとはいえない。

もっとも、ブロンコは趣味の延長のようなオフローダーだ。選ばれる際、合理性が理由になることはないだろう。

フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)のスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1357万円/試乗車)
全長:4811mm
全幅:1937mm
全高:1962mm
最高速度:193km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:9.9km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:2045kg
パワートレイン:直列4気筒2261cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:273ps/5500rpm
最大トルク:42.6kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック(四輪駆動)

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