80年代後半はスーパーカーではないリトラ車も存在した!
リトラクタブルヘッドライトと言えば、スーパーカーやスポーツカーのイメージが強い。しかし、1980年代後半は、そんな特別なジャンルではなく、ハッチバックと呼ばれる庶民的カテゴリーでリトラを装備した車輌が誕生した稀有な時代であった。今回紹介するマツダ「ファミリアアスティナ」も、バブル景気真っ盛りの1989年に誕生し、バブル景気崩壊直後の1994年まで生産。マツダの主要小型車であるファミリアの派生モデルで、5ドアハッチバッククーペと言われる欧州市場では1970年代から親しまれてきたボディデザインが特徴だ。
バブル絶頂期デビューのマツダ「ファミリア系列」はオシャレな都会派でした! リトラクタブルヘッドライトの「アスティナ」も懐かしい
リトラ搭載車といえばスーパーカーのイメージが強い
リトラ搭載車と言われて、皆さんはどんな車両を思い浮かべるだろうか? スーパーカー世代であれば、やはりランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「512BB」、またはランチア「ストラス」。国産車ではトヨタ「2000GT」やマツダ「サバンナRX-7(初代)」か? バブル時代に記憶を遡れば、フェラーリ「テスタロッサ」や「F40」、ランボルギーニ「ディアブロ」。こちらも国産車ではホンダ「プレリュード(2代目/3代目)」、トヨタ「MR2(初代/2代目)など。いずれにしても、リトラ車=特別なクルマという印象を持つ人が多いはずだ。
しかし、ファミリアアスティナは、その名の通りベース車は「ファミリア」である。マツダ初となる小型乗用車として1963年に登場した。あくまでも庶民派代表であり、前述した格式高いプレミアムカーとは立ち位置が真逆である。でも、そんな庶民の味方のカテゴリーでリトラを採用したという、特にスーパーカー世代的には、理想と現実を両立させてくれた、ある意味夢のクルマだったのかもしれない。
このファミリアアスティナのオーナーである畑迫俊次さんと出会ったのは、2023年9月17日に福岡県朝倉市のあまぎ水の文化村で開催された、リトラクタブルヘッドライトを持つ車両だけが集まるイベント「リトラジャム」の会場だった。
5ドアハッチバックのファミリアを愛用した親の影響
畑迫さんがこのファミリアアスティナを新車で購入したのは、今からちょうど30年前。バブル景気が終了し、世の中のテンションは下落する一方。そして、経済も低迷しはじめ、それまで右肩上がりだったサラリーマンの給与所得も、景気と同様に停滞し始めていた頃だった。
「当時マイカー候補として考えていたのは、アンフィニMS6や日産プリメーラ、トヨタMR2などでした。そんな時に、自分の身の丈に合っていて、フルローンで購入できるクルマを検討したら、ここに行きついた感じです。バブルが弾けた後で、私たちの収入も上がることはないだろうと思っていたという理由が大きいですね。正直、リトラ車であるとか、このアスティナに対してもの凄くこだわったワケではなく、自分にとって無理なく所有できる現実味が高い車種を選んだだけでした」
とは言うものの、畑迫さんのコメントの中に、ひとつだけあるこだわりがあることに気付いたろうか? それは、5ドアハッチバックがお好みだということだ。ハッチバックは、背面ドアが跳ね上げ式となるスタイル。日本では3ドアハッチバックの方が主流だが、ヨーロッパでは5ドアハッチバックの人気も高く、その流れで日本でも少なからずラインナップされてきたボディスタイルである。
畑迫さんが候補に挙げたアンフィニMS6は1991年から1994年に販売された5ドアハッチバック車。また、日産プリメーラ(初代)もセダンが大人気だったためその存在を忘れられることが多いが、イギリス工場で生産され当初は日本未発売だった5ドア“20e GT”が1991年に発売され、マニアに支持された。そして、1995年に登場した2代目も、1997年にやはり5ドアハッチバックの国内販売を実施した経緯を持つ。
「父親がファミリアの5ドアに乗っていたのです。その頃から5ドアって使いやすくて、スタイリッシュだなという印象がありました。今はマツダ3がありますが、アクセラなどの源流を辿ると、このファミリア5ドアに行きつくと思っています」
1オーナーで30年間、ディーラーでメンテナンスを続ける
畑迫さんが5ドアハッチバックを好きな理由は、「等身大で使えるクルマ」だから。セダンのように居室と荷室が完全に区分けされているわけではないので、状況により積載優先で荷物を多く載せることも可能。もちろん、大人4人が乗車するには何も問題なし。日常使いには充分過ぎるほどの実用性の高さが魅力なのだ。しかも、畑迫さんはこのファミリアアスティナしか所有していない。つまり趣味グルマなのではなく、メインカーとして30年間乗り続けていることになる。
そのため、経年劣化により傷んだ様々な部位をディーラーで交換整備しながら、今に至っている。ちなみに交換した主要箇所は、プラグケーブル、サスペンション、コンプレッサー、ECU、エンジンマウント、スピーカーやシートなど。完全純正品にこだわらず、パーツ選びはコストパフォーマンスを重視して、積極的に社外品も活用する。さらには、トランスミッションのオーバーホール、ファミリアのグレードにあったインタープレー用パフォーマンスロッド追加といった作業とともに、入手していたスペアエンジンへ、エンジンのローテーション目的で乗せ換えという作業も実施していることに驚かされる。
「長く乗っていれば故障は当たり前ですから。不具合が出るのも、このアスティナの可愛らしさのひとつだと割り切っています。私は完璧主義者じゃないので、そういう部分も含めてこのクルマのすべてが好きです」
外装類も再塗装などは一切せずに、当時のまま。ぶつけて傷がついた際に鈑金修理などはしているが、ルーフパネルなどもそのまま活用。ひとりのオーナーによって、30年もの長期に渡り愛されてきたその歴史の証が、このマツダ「ファミリアアスティナ」から滲み出ていた。
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みんなのコメント
新しい車に乗り換えても、乗り続けても、修理費あっても新車購入費が無い分そんなにランニングコストは変わらないんじゃない?
こんな深みを体現している方に、国は税金を重くしてるんだからどうかしてるね。とっても貴重。ありがとうございます。
ユーノス100・・・