現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 排気量至上主義はやめよう──E200ステーションワゴンスポーツ試乗記

ここから本文です

排気量至上主義はやめよう──E200ステーションワゴンスポーツ試乗記

掲載 更新 15
排気量至上主義はやめよう──E200ステーションワゴンスポーツ試乗記

メルセデス・ベンツ「Eクラス」のステーションワゴンに小川フミオが試乗した。1.5リッターとは思えぬパワフルな走りとは?

排気量はなんの尺度にもならない

過激なモデルはお好みで──新型アウディRSシリーズの3モデルが日本上陸!

メルセデス・ベンツEクラスがマイナーチェンジを受け、2020年9月10日に発表された。スタイリングと内装の一部が変更されるとともに、装備もアップグレード。そのなかで「E200ステーションワゴン・スポーツ」に乗った。信じられないことに、1.5リッターなのだ。

従来の尺度からすると、1.5リッターで、全長5mちかいボディを走らせるなんて無謀では? と、思いがちだ。1960年代のフランス車はそうだった。ル・マン24時間レースでは、絶対速度はともかく、燃費にすぐれたため「性能指数賞」を獲得するのは、小さなエンジンのフランス製スポーツカーが多かったものだ。

ところが加速になると、小さなエンジンのクルマはかなり分が悪い。空力の助けを借りながら、ゆっくりと速度が上がっていくのに、焦らずつきあう必要があった。

Sho TamuraEクラスは、ところが、走りがいい。メルセデス・ベンツが手がけるステーションワゴンのなかで頂点に位置づけられるだけある。1.5リッターだろうが、けっして非力とは感じさせない。E200に乗ると、すいすいと気持ちよく走る。排気量はなんの尺度にもならない。まったく新しい時代のクルマなのだ。

エンジンは1496ccの直列4気筒ガソリン。ターボチャージャーと、それにBSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)を備える。力強い走りは、この新世代のパワープラントの恩恵によるものだ。

エンジントルクが不足ぎみになる1500rpm以下での加速では、電気モーターがベルトを介して駆動軸にトルクを足す。モーターとバッテリーはあえて出力を抑え、小型で軽量。基本はエンジン車であるものの、足りないところを電気の力が補うのが、BSGの考えかただ。

Sho TamuraSho Tamura“日常の足”に最適

E200はまさに期待どおりの出来なのだ。静止からスタートするときに1830kgの車重を意識させることはない。加速も、アクセルペダルを床まで踏むような急加速をするのでなければ、もたもたする印象は皆無である。

ドイツのいわゆる御三家(あとはBMWとアウディ)は、余裕あるサイズのステーションワゴンを出している。どれも全長4.9mぐらい。おもしろいのは、パワープラントに対する考えかたのちがいだ。

Sho TamuraSho Tamuraここで書いているように、メルセデス・ベンツはかなり小さな排気量のエンジンやプラグ・イン・ハイブリッドをうまく使う。BMWの「5シリーズ・ツーリング」は、ベーシックモデルが2.0リッターガソリンだ。アウディ「A6アヴァント」は、いま2.0リッターディーゼルが中核モデルで、どちらかというとエンジンパワーを楽しませるキャラクターだ。

Eクラスのステーションワゴンに興味を持つひとは、荷物をたくさん積んで遠出、というような機能を重視するだろう。長い距離の移動には、剛性感の高いボディと、重めの設定のステアリングホイールによる安定性の高さが、頼もしく感じられるはずだ。

Sho TamuraSho Tamura燃費は、リッターあたり12.7km(WLTC)と発表されている。ボディサイズや、エンジンによる気持ちよい加速性などを考慮しても、けっして悪くない数字だ。

ふだん乗るのに、かなり良い。燃費にすぐれ、ややソフトなセッティングのスプリングを使ったサスペンションシステムによるやわらかめのやさしい乗り心地、それに使い勝手のいい動力性能ゆえだ。乗っているうちに、自分になじんでくるのがわかる。別の言い方をすれば(端的にいえば、)好きになる。

Sho TamuraSho TamuraSho TamuraSho TamuraSho Tamura価値あるE200

今回から、MBUX(「ハイ、メルセデス」で起動する対話型のコマンドをもつインフォテインメントシステム)に、指によるジェスチャーによって、プリセットしておいたコマンドが起動する機能も追加された。

たとえば、指のVサインをセンターコンソールにさっとかざすと、ナビゲーション・システムに登録しておいた自宅への案内が起動する、といったぐあいだ。この動作、なかなかカッコいい。

Sho Tamuraナビゲーションシステムも機能が拡充された。とりわけ「日本で販売される乗用車で初」と、メルセデス・ベンツ日本がうたう「AR(拡張現実)ナビゲーション」は、モニターに前方の景色が映し出され、そのなかに進むべき方向を示す矢印が追加されるのだ。「直感的にどの道路に進むべきかを判断することができ」るという。

Sho Tamura今回は複雑なコースを通らなかったので、本当にこの機能に助けられることはなかった。でも、ふだん使っていると、便利に思う場面が出てきそうだ。私はよく、複雑な交差点でナビゲーションシステムの指示を誤って受け取るので、もっとも恩恵を受ける人間のひとりになるかもしれない。

試乗したE200ステーションワゴン・スポーツの価格は810万円。「1.5リッターで800万円超!?」と、排気量至上主義の旧世代は驚くかもしれない。でも、従来の”常識”を捨てれば、乗り味がよくて便利な装備を豊富に備えたこのクルマがもたらしてくれる多くの恩恵に浴することが出来るのである。

文・小川フミオ 写真・田村翔

こんな記事も読まれています

スバルの「小さなヤツ」登場! “軽ボディ”に“直4スーチャー”の超ド級マシン! 「ヴィヴィオ」が借りられる
スバルの「小さなヤツ」登場! “軽ボディ”に“直4スーチャー”の超ド級マシン! 「ヴィヴィオ」が借りられる
くるまのニュース
〈人テク展2024横浜〉住友電工、自動運転可能な電動小型モビリティを初公開
〈人テク展2024横浜〉住友電工、自動運転可能な電動小型モビリティを初公開
日刊自動車新聞
メルセデス、チグハグな開発方針から脱却? 次のアップデートに自信「”魔法”はないと受け入れた」
メルセデス、チグハグな開発方針から脱却? 次のアップデートに自信「”魔法”はないと受け入れた」
motorsport.com 日本版
オートポリスに“巨人”出現。JRP、鈴鹿市に続き大分県日田市と『地域連携パートナーシップ』を締結
オートポリスに“巨人”出現。JRP、鈴鹿市に続き大分県日田市と『地域連携パートナーシップ』を締結
AUTOSPORT web
【ブレイズ】5/25・26開催の「tvk かながわMIRAIストリート2024」に出展
【ブレイズ】5/25・26開催の「tvk かながわMIRAIストリート2024」に出展
バイクブロス
傑作という名のモデルが登場!アウディ、「A4」「A4アバント」および「A5スポーツバック」の特別仕様車を発売
傑作という名のモデルが登場!アウディ、「A4」「A4アバント」および「A5スポーツバック」の特別仕様車を発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
HJCヘルメット、クアルタラロの『ル・マン スペシャル2024』レプリカを7月に発売/MotoGPフランスGP
HJCヘルメット、クアルタラロの『ル・マン スペシャル2024』レプリカを7月に発売/MotoGPフランスGP
AUTOSPORT web
ダイハツの合弁「プロドゥア」、初のEVプロトタイプ発表
ダイハツの合弁「プロドゥア」、初のEVプロトタイプ発表
レスポンス
アバルト、限定車「F595Cセカンドエディション」発売 5速MTの電動ソフトトップ仕様
アバルト、限定車「F595Cセカンドエディション」発売 5速MTの電動ソフトトップ仕様
日刊自動車新聞
世界初! 1日の「ソーラー充電」だけで“30キロ”走行可能!? めちゃ凄い新型「3人乗りトライク」初公開!
世界初! 1日の「ソーラー充電」だけで“30キロ”走行可能!? めちゃ凄い新型「3人乗りトライク」初公開!
くるまのニュース
車中泊にもバッチリ対応! アウトドアにぴったりハマる三菱 デリカミニがベースの軽キャンパー
車中泊にもバッチリ対応! アウトドアにぴったりハマる三菱 デリカミニがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
「ディフェンダー」の2025年モデル受注開始! ロングボディの「130」にも“最強”5リッターV8エンジン搭載車を用意
「ディフェンダー」の2025年モデル受注開始! ロングボディの「130」にも“最強”5リッターV8エンジン搭載車を用意
VAGUE
クルマ作りで最も大切なのは[壊すこと]!? [衝撃のGRヤリス]姿に納得! トヨタ車が信頼性抜群のワケ
クルマ作りで最も大切なのは[壊すこと]!? [衝撃のGRヤリス]姿に納得! トヨタ車が信頼性抜群のワケ
ベストカーWeb
車外でシャワーも使える便利な相棒! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
車外でシャワーも使える便利な相棒! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
昭和のサーキットを華やかに駆け抜けた名レーサー 都平健二氏との思い出
昭和のサーキットを華やかに駆け抜けた名レーサー 都平健二氏との思い出
バイクのニュース
トヨタ、プリウスの後席ドアハンドルのリコール対応 6/14めどに開始 生産再開は6/17から
トヨタ、プリウスの後席ドアハンドルのリコール対応 6/14めどに開始 生産再開は6/17から
日刊自動車新聞
ポップアップエキジビション「LBX LOUNGE」を期間限定でオープン!次世代LEXUSの「Premium Casualな世界」が全開だ
ポップアップエキジビション「LBX LOUNGE」を期間限定でオープン!次世代LEXUSの「Premium Casualな世界」が全開だ
Webモーターマガジン
日本ではその性能のすべてを発揮できない! 出力270kWの充電が可能なアウディQ6 e-tron登場
日本ではその性能のすべてを発揮できない! 出力270kWの充電が可能なアウディQ6 e-tron登場
THE EV TIMES

みんなのコメント

15件
  • 排気量でヒエラルキー作ってるのは他ならないメーカー側。

    パワーがあっても速度取締りが厳しい中国向けの車種でしょ、E200って。
    お金ないけど見え貼りたい人は数字取るらしいけど、無印のほうが一番恥ずかしいっていう。

  • まだ過渡期のモデルだと思うけど、少なくとも他社よりはかなり進化していると思う。
    ボルボも全車ハイブリッド化したけど、EV時代までのつなぎは各社特色あって面白い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

928.0955.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.91098.0万円

中古車を検索
Eクラス ステーションワゴンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

928.0955.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.91098.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村