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アウディ傘下となったランボルギーニが現代的な4WDスーパーカーとして送り出した「ムルシエラゴ」【スーパーカークロニクル/051】

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アウディ傘下となったランボルギーニが現代的な4WDスーパーカーとして送り出した「ムルシエラゴ」【スーパーカークロニクル/051】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、ランボルギーニ ムルシエラゴだ。

ランボルギーニ ムルシエラゴ(LAMBORGHINI MURCIELAGO:2001-2010)
スーパーカーブームの主役となりながらも1970年代からさまざまな経営難に直面し、何度も出資元が変わってきたランボルギーニだが、1998年にアウディの傘下となる。これ以降は2023年現在まで変わることはなく、ランボルギーニはアウディの庇護の元、安定してスーパースポーツカーを作り続けられるようになったといえる。

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そんなアウディ傘下となったランボルギーニの第1弾が、2001年のフランクフルト モーターショーで、あの「9.11」の直前に発表された「ムルシエラゴ」だ。その車名は例によって闘牛の名前に由来するのかと思ったが、そうではなくスペイン語で「コウモリ」の意味だった。攻撃的なキャラクターを強調する斬新なデザインは、ランボルギーニのチーフデザイナー、リュック・ドンカーヴォルケによるもので、「コウモリ」を名乗るムルシエラゴのダークヒーロー的な魅力をよく表現していた。

ムルシエラゴは、ディアブロの後継にあたるランボルギーニのフラッグシップとして位置づけられたモデルだ。言い方を変えればディアブロが11年ぶりにフルモデルチェンジを果たし、車名を変更したともいえるだろう。つまり、基本設計の良いところはディアブロから引き継がれている。

パワーユニットはディアブロと同様のバンク角60度のV12 DOHC48バルブだが、ディアブロに搭載されていたものよりもストロークをアップすることで、排気量が6Lから6.2Lへと引き上げられている。デビュー時のパワースペックで比較すれば、最高出力はディアブロの492psから580psへ、最大トルクは同じく580Nmから650Nmへと、大幅なパワーアップが図られている。

ディアブロとの大きな違いは、駆動方式がミッドシップ4WDだけになったことが挙げられる。また、ディアブロではカウンタックと同様に後輪を駆動するためのプロペラシャフトがオイルパン内を貫通していたが、それを車体右側に移し、潤滑方式をドライサンプ化してエンジン搭載位置を下げている。フロントの駆動に関してはトランスミッションが前方にあるという意味では取り出しやすく、合理的な設計だった。

新生ランボルギーニを強く印象づけるモデルとなる
トランスミッションもディアブロの5速MTから現代的な6速MTに変更された。後には、「eギア」と呼ばれるセミオートマチックトランスミッションも採用。また積極的に前輪にも駆動力を配分する4WDシステムなど、メカニズムも野心に満ちたものだった。

シャシは角断面を持つ鋼管スペースフレームで、これもディアブロと基本的には同じとなる。だが、剛性不足を解消するために、リアフレーム部の鋼管にCFRPなどのコンポジットを貼り付けるといった改善も行われている。強大なパワーにふさわしいシャシを与えられたといえるだろう。

カウンタック~ディアブロからの流れを引き継いだウエッジ基調のスタイリングは、シザードアも含めてムルシエラゴに引き継がれている。ただし、デザインそのものはランボルギーニ社の内製といわれている。

ムルシエラゴはデビュー当初の6.2Lから始まり、2004年にはセミAT(eギア)搭載車やロードスター、2006年には6.5Lエンジンを搭載したLP640(最高出力640psから命名)と進化し、最終的には2009年に登場したLP670-4 スーパーヴェローチェ(最高出力670ps)まで到達する。まさに新生ランボルギーニを強く印象づけるモデルとなった。

モータースポーツへの参戦がこれまで以上に積極的に行われるようになったのもムルシエラゴの特徴で、FIA GT選手権へ参戦するための「R-GT」を初めとしてレースレギュレーションに対応したさまざまなレース仕様車が開発されていく。

メカニズム的にアウディから強い影響を受けているわけではないが、デビューした後の展開にはアウディのこのモデルに対する思いが感じられる。そしてその成功が2011年登場のアヴェンタドールへとつながっていく。

ランボルギーニ ムルシエラゴ 主要諸元


●全長×全幅×全高:4580×2045×1135mm
●ホイールベース:2665mm
●車両重量:1650kg
●エンジン種類:60度V12DOHC
●総排気量:6192cc
●最高出力:580ps/7500rpm
●最大トルク:650Nm/5400rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・100L
●トランスミッション:6速MT/6速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●タイヤサイズ:前245/35ZR18、後335/30ZR18

[ アルバム : ランボルギーニ ムルシエラゴ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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