今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「オペル ザフィーラ」だ。
オペル ザフィーラ(2001年)
ヨーロッパでは、ミニバンは「モノスペース」と呼ばれることが多い。そんなモノスペースのブームはヨーロッパにも押し寄せているようで、オペルもシントラ(日本未導入)に続き、アストラをベースにザフィーラという名の少しコンパクトなモノスペースを登場させた。その名は、宝石のサファイアからの造語だという。
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サイズ的にはルノーのセニックなど、同じようなクルマもあるが、ザフィーラは3列シートの7人乗りを採用している(セニックは2列5人乗り)。ヨーロッパでは1999年から発売されているが、日本への導入は1年以上遅れ、その間にマツダ プレマシーやホンダ ストリームなど、国産車で似たようなモデルが次々に登場してしまった。それゆえ、日本でのザフィーラの印象は少し薄まってしまったのは残念なところだ。
エクステリアは、アストラワゴンを上下方向に引き伸ばしたようなプロポーションだ。全高は160mm高くなって1675mmもあるから、タワーパーキングでの駐車は無理だろう。ホイールベースは80mm延長されたが、全長は25mmプラスに抑えられている。兄貴分のシントラにも似たスタイリングは、オペルらしい質実剛健のガッシリした感じがする。
インテリアもエクステリア同様に質実剛健といった感じで、悪く言えば「色気がない」のだが、ステアリングにはオーディオのリモコンも備わるなど、装備的に不満はない。3列シートは、1/2列目の居住性は高いのだが、3列目の座り心地は今ひとつだ。しかし3列目シートは床下に収納可能で、2列目シートも折りたためばラゲッジスペースは最大1705Lにまで拡大する。
「サードシートを外せば、5人乗って荷物がたくさん積める」と謳っている日本車もあるが、外したシートを置く場所に苦労してしまう。使い勝手の高さは、さすがワゴン造りに慣れたオペルならではといえるだろう。ちなみに、このシートアレンジは「フレックス7」と呼ばれている。
走らせてみると、アメリカ車とヨーロッパ車の中間的な乗り味だ。可変インテークマニホールドも採用している1.8LのDOHCエンジンはECOTECと呼ばれ、125psの最高出力と17.3kgmの最大トルクを発生するから、市街地や高速走行なら不満はない。Cd値=0.32という、このタイプのクルマとしては優れた空力特性のおかげで、高速でも直進安定性は高く、静粛性もいい。
だが、箱根のアップヒルでは少し辛くなる。ハンドリングもアストラ譲りで悪くはないから、走りそのものは楽しめる。人や荷物をたくさん積載する機会の多いミニバンということを考えると、やはり2Lエンジンが欲しくなるところだ。
アストラワゴン 1.8との価格差は29万円。親子4人家族で実家に行き、おじいちゃんとおばあちゃんを乗せて近くのファミレスへ・・・などという機会の多い人なら、装備も充実しているし、ザフィーラのほうが適しているだろう。
■オペル ザフィーラCDX 主要諸元
●全長×全幅×全高:4315×1740×1675mm
●ホイールベース:2695mm
●車両重量:1420kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC 横置FF
●排気量:1795cc
●最高出力:92kW(125ps)/5600rpm
●最大トルク:170Nm(17.3kgm)/3800rpm
●トランスミッション:電子制御4速AT
●タイヤ:195/65R15
●車両価格(当時):289万円
[ アルバム : オペル ザフィーラ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
値段もスバル版のほうが安かったし。