【MotoGP】ポルトガルGPの勝利は「アメイジング！」 ルーキー時代の転倒負傷もよぎりマルティン感無量

　MotoGP第2戦ポルトガルGPの決勝で勝利したホルヘ・マルティン（プラマック）は数年前にこのサーキットで厳しい経験をしたこともあり、今回の完璧な勝利を非常に喜んでいる。

　マルティンは予選で3番グリッドを確保。決勝レースではスタートで前に出ると、その後は2番手以下にトップを譲ることなくリードを保ち続けてフィニッシュ。今シーズン初優勝を手にした。

　昨年タイトルを争ったフランチェスコ・バニャイヤ（ドゥカティ）がマルク・マルケス（グレシーニ）とのバトル中に転倒しノーポイントに終わったこともあり、現在はマルティンがポイントリーダーとなった。

　マルティンはレース展開を振り返ると、1周目のターン3でリードを守ることが勝利の“鍵”だったと語っている。そして、今回の勝利は彼にとってエモーショナルなモノだったとも話した。

　これにはMotoGPクラスにデビューした2021年に、彼がプラクティスで激しい転倒を喫し、右手首と足首などに骨折を負って長期間欠場するなど、苦しい状況に追い込まれてしまっていたことが関係している。

「この一貫性が最も重要なことだと思うし、今日はスタートが勝利の鍵だったよ」

　マルティンはMotoGPのアフター・ザ・フラッグでそう語った。

「ターン1で先頭に立つことに全力でだったけど、それだけじゃなくターン3で守ることが、勝利するための鍵だというのも分かっていた」

「序盤はなんとか0.2、0.3秒のリードを保とうと頑張っていたんだ」

「そしてプッシュし始めるとすぐに他のみんながギャップを縮められないということが確認できた。ちょっと詰められても、すぐに僕がまたプッシュするんだ。本当に円熟した日曜日だったし、円熟した勝利だったよ」

「チームと僕らのやり遂げた仕事を本当に誇りに思うし、嬉しく思う。新型は土曜日よりも日曜日のほうが優れているようだ」

「このコースで僕はほとんどキャリアを失いかけて、レースも辞めかけていたけど、今はここでトップに立っているんだ」

「アメイジングなことだ。たくさんのことを学ばせてくれたこのコースには、とても感謝してる」

　なおマルティンはレース終盤に発生したマルケスとバニャイヤのバトル中の転倒を、コースに設置された大型スクリーンで確認していた。そして、だからこそ確実に勝利しなくてはならないと気合が入ったという。

「あのインシデントは僕もスクリーンで見ていたんだ」とマルティンは言う。

「そしてその時、僕は『ホルヘ、お前は必ず完走しなくちゃいけない』と思っていたんだ。でもそのあとの2コーナーで、もう自分自身に『よし、今日は絶対勝て。完走とかじゃなくただ勝つことだけ考えろ』と言い聞かせていたよ」

　そうして無事勝利したマルティン。ただ彼は今季マシンでは昨年非常に強さを見せていたスプリントレースで苦戦してしまっているとも付け加えている。

「最初の数周でスムーズに走るよりも、プッシュするときのほうがずっと苦戦してしまうんだ。その理由を解明しなくちゃいけない」

「だから序盤にプッシュしたとしても、僕はスムーズだった」

「リラックスしていたんだ。そしてプッシュし始めるとすぐに振動が出始めるかもという思いが頭に浮かんだ」

「最終的にはそうはならなかったけどね。今のスプリントは、僕たちの弱点だ。だからその点をチェックする必要がある。集中して、そこを修正していこう」