5月にバンが、8月にトラックが生産終了。引き継ぐのはあのクルマ
創立100周年を迎えたマツダは今年、自社で製造する商用車が消える。なかでもボンゴは1966年に登場した歴史あるモデル。5月13日にはボンゴバンが、そして8月末にはボンゴトラックが生産終了となる。
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●5月に生産を終了したボンゴバン
●8月末に生産終了を迎えるボンゴトラック
その名前を引き継ぐのは、ダイハツがインドネシア工場で生産するグランマックスのOEM車。というより、トヨタのタウンエースと言ったほうが馴染みがあるかもしれない。ダイハツがグランマックスの国内投入を発表したのは今年6月のことで、それよりも前からトヨタはダイハツからOEM供給を受けて販売を行っていたからだ。3社とも、9月11日から最新モデルとして販売を開始する(トヨタはマイナーチェンジモデルという扱いになる)。
●7月17日に発表されたマツダ ボンゴ(写真はバン)。ダイハツからOEM供給を受ける
「ボンゴ」とはどんな意味だったのか?
ボンゴは、当時の松田恒次社長の方針で街の魚屋、八百屋さんにピッタリなクルマとして開発。日本初の500kg積み(トラック)キャブオーバータイプの超低床式多用車で、トラック、バン、ルートバン、コーチ(乗用車)と幅広いバリエーションが特徴だった。
●1966年に登場した初代ボンゴ。写真はボンゴ1000バン(1968年)
ファミリアの800ccアルミ合金エンジンをベースに低速時の出力を向上し、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)駆動を採用。当時、シャシー設計を担当していた瀧口忠彦氏によると、キャロルでRR駆動の経験があったこと、全幅1500mmで前部にエンジンを搭載するとステアリングなど諸機構との兼ね合いで配置が難しかったという。箱型断面のパイプフレームを通した荷室中央部の床面は、プロペラシャフトが通らないぶん、バン系で450mmと高さを低くでき、横のスライドドアからの積み下ろしが便利だった。
ボンゴは、英語で「アフリカ産の大カモシカ」を意味し、アフリカの言語が語源。学名では「Tragelaphus eurycerus」と呼ばれる。熱帯アフリカの森林に生息する赤褐色の美しい羚羊(カモシカ)で、白の縞とらせん状にねじれた大きな角が特徴。世界四大珍獣のひとつと言われている。
ツノが太く優雅なスタイル、しなやかな身のこなし、スマートな走りという動物の特性は、静かな800ccエンジンによる俊敏で軽快な走り、最小回転半径4.1mの機動力、四輪独立懸架による乗り心地のよさなどの特徴に通じる。そこで、ボンゴという車名が選ばれたのだ。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
※車名の由来については、「車名博物館(八重洲出版)」をもとに構成しています
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まあ、タウンエースやバネットのことも「ボンゴみたいなクルマ」と呼ばれていたから、ある意味間違いではないのかもしれない。