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【ヒットの法則438】5代目クライスラー グランドボイジャーには国産ミニバンとは異なる独自の価値があった

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【ヒットの法則438】5代目クライスラー グランドボイジャーには国産ミニバンとは異なる独自の価値があった

2008年春、5代目クライスラー グランドボイジャーが日本に上陸した。2007年秋、フランクフルトモーターショーで公開されたこのモデルは、世界市場を視野に入れた意欲的なモデルだった。ミニバンのパイオニアとして画期的なアイデアを提案してきたグランドボイジャーは、5代目でどのように進化したのか。今回は日本上陸まもなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年7月号より)

アメリカンミニバンらしい堂々とした体格
日本は今やミニバン先進国と言っていい。販売台数のランキングを見ても上位にかなりのミニバンモデルがランクインしている。こんなにミニバンばかりが売れる日本のマーケットは他国からはどのように見えるのだろうか。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

しかし、そんなミニバンを一番最初に産み出したのが、クライスラーだということはあまり知られていない。元祖ミニバンは、実はボイジャーなのだ。

クライスラーのミニバンプロジェクトは1977年に始まった。プロジェクト名は「魔法のワゴン」。そして1983年には7人乗りのミニバンとして初代ボイジャーがデビューしている。

ちなみに日本車では、マツダのMPVが1988年にアメリカでデビューし、1990年に日本に導入されたのが一番最初だった。続く「天才たまご」エスティマは1990年5月、オデッセイは1994年、Lクラスミニバンとしてデビューしたエルグランドが1997年、アルファードが2002年のデビューなのだから、ボイジャーの登場がいかに早いかがわかる。今回試乗したのはその5世代目となる最新モデルだ。

まずスタイリング。ルーフ幅が152mm拡大され、さらに先代モデルよりもスクエアさが強調されているその姿は、いかにもアメリカンミニバンらしい。さらにボディとガラスエリアの割合を300Cと同等とし、4灯ヘッドライトやクライスラーウイングを持つグリルなど、クライスラーファミリーの共通アイコンなども持つようになった。

ボディサイズは、全高こそ変わらないが、先代モデル比で全長+35mm、全幅+10mm、ホイールベース+50mmと成長。日本市場でのライバルとされるアルファード(350S)より全長+280mm、全幅+165mm、全高-145mm、ホイールベース+130mmと堂々とした体格。ディメンジョンを見ただけでは、ちょっと日本では持て余す大きさに思えるが、その分、室内空間は広くなったのだから7シーターとしてなら不満はないだろう。

3.8Lに排気量アップされたエンジンは申し分ないパワーを発揮
トランスミッションは先代の4速ATから6速ATに進化し、街中でもスムーズな走りを味わわせてくれた。発進時に、ちょっといじわるして床までアクセルペダルを踏み込んでみたが、そうした場面ではホイールスピンを起こすほど鋭い加速力をみせてくれる。シフトチェンジもスムーズかつ静かだ。これも6速化のメリットなのだろう。100km/h走行時でも回転数は2000rpmに満たない。

シフトは先代のコラムタイプからフロアシフトに変更された。1列目から2列目へ移動することは考えていないようだ。またセレクターの位置も低く使いにくい。シフトチェンジをマニュアル操作できるオートスティック機構も用意されているが、これでは積極的に使おうという気にならない。これはもったいない。

NVHは向上している。日本車のミニバンは室内の静かさには定評があるが、グランドボイジャーもそれに劣らない静粛性能を手に入れた。これは空力性能の改善やボディ剛性をアップさせたこと、さらにリアサスペンションがリーフリジッドからコイルスプリング式のアクスルビームに変更されたことなどが大きく貢献しているようだ。このリアサスペンションの変更は、リアの居住性などを犠牲にせずに乗り心地の改善にも繋がっている。

排気量は先代の3.3Lから3.8Lにアップされた。それにともない最高出力も19ps、最大トルクは27Nmアップして、走りに不満を感じることは少なくなったが、10・15モード燃費では先代の7.1km/Lから6.8km/Lにダウンした。これはCO2排出量に直すと14g/km多くなる。「パフォーマンスと引き替えに燃費性能はダウンしてしまいました」ということなのだろうが、時代に逆行していることは否めない。また燃料もレギュラー仕様からプレミアム仕様に変更された。できるならばレギュラー仕様のまま燃費性能もぜひ向上させてほしいものだ。

シートアレンジで大きな注目ポイントは、3列目シートが電動格納式となり、カーゴ部に用意されたボタンひとつで4通りのシートアレンジができるようになったこと。とくに後ろ向きに倒したテールゲートポジションは活躍の場は多いだろう。

さらに2、3列目のパッセンジャーの状態を確認できるリアビューカンバセーションミラーやサイドビューカメラ、2列目のパワーウインドウ、電動クオーターガラスなどに加え、HDDナビゲーションシステム(アルパイン製)モニター画面が特等席に用意されたことなど、国産ミニバンの贅沢装備に慣れた日本のユーザーも満足できる内容だ。

日本国内至る所でこれだけミニバンが幅をきかせていると、やはり差別化、つまり人とは違ったミニバンに乗りたくなるという気も起きるというもの。国産ミニバンに勝るとも劣らないアイテムを揃えた新しいグランドボイジャーは、そうした志向の人にとって選択肢のひとつになることだろう。(文:千葉知充/Motor Magazine 2008年7月号より)



クライスラー グランドボイジャー リミテッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:5145×2005×1755mm
●ホイールベース:3080mm
●車両重量:2090kg
●エンジン:V6OHV
●排気量:3782cc
●最高出力:193ps/5200rpm
●最大トルク:305Nm/4000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:546万円(2008年)

クライスラー グランドボイジャー ツーリング 主要諸元
●全長×全幅×全高:5145×2005×1755mm
●ホイールベース:3080mm
●車両重量:2030kg
●エンジン:V6OHV
●排気量:3782cc
●最高出力:193ps/5200rpm
●最大トルク:305Nm/4000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:460万9500円(2008年)

[ アルバム : クライスラー グランドボイジャー はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • お題の通りです。が日本のユーザーが求めているかは販売台数を見れば一目瞭然。
    日本に導入してほしい○○とか、日本車には無い○○といった記事はいらないです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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