トヨタ クラウン 「クラウン現象 くるかも」のユーザーレビュー

zato787 zato787さん

トヨタ クラウン

グレード:- 2018年式

乗車形式:レンタカー

評価

4

走行性能
-
乗り心地
-
燃費
-
デザイン
-
積載性
-
価格
-

クラウン現象 くるかも

2018.7.8

総評
今回の試乗は、最初にメガウエブのクローズドコースで、その後、東京トヨタ開催の試乗会に行って各種モデルに乗ってるので、表記上は3.5RS Advanceの表記になっているが、文中では各種モデルを比較している。東京トヨタ主催の試乗会ではあまり写真は撮ってない。なお、通常のブログ形式で上げないと、写真の数に制限があることがわかったので、今度から通常のブログ形式で書く方がいいかもしれないと思った。

総論としていえるのは、「買っても後悔しないだろうと思うクルマ」。多分、ご近所からも家族からも、「いいクルマね」と言われる。 依然、おすすめのグレードは547万円の2.0Gだけれど、「買ってやるから一番高いのをもってこい」と選んでも割とがっかりしない。ジャパンカラーも、革張り内装もごく僅かなオプション料金で選べるのが日本車の良さだ。塗装の素晴らしさは、レクサスLSには及ばないが、量産でよくこれだけ均一な塗装ができるものだと感心するレベル。マツダ車の2倍くらい表面が平滑に仕上がっている。


量産車とは思えない、塗装の平滑性

しばらく乗っていると感じるのは、無難という言葉よりも、隙の少ないクルマという表現が合っていること。レクサスLSが重すぎてコケた結果、クラウンの3.5にユーザが流れてくる可能性は高いと思う。後ろから見ると、なんとなくレクサスっぽい空気も感じられる。それくらい、工作精度があがっていて、レクサスの中堅あたりより、走りはもちろんのこと、品質面でも逆転している。


3.5HVは、公道で使うには明らかに過剰な加速力で、制限速度近辺の速度域だと、WRX-STIやシビックTypeRを超えるレベルで加速できるので、交通の流れを乱さないように自重する必要があるほど速い。 クラウンでサーキットに行くなど考えたこともないが、本気で動力性能を開放したければ、富士の直線で踏んでみる以外に発揮する場所はない。 かつて、日産が、シーマという名前で3LのV6エンジンにターボで過給して255馬力を発生する直線番長なセダンを出したことがある。「ちょい悪」な雰囲気もあって、「シーマ現象」と呼ばれる暴走オヤジが好んで買った時代があった。クラウンは、ドレスアップの仕方によっては、ちょい悪な雰囲気も出せるので、「クラウン現象」を楽しみたい世代に受ける可能性はあると思う。 日本車ではちょっと他に見当たらないくらいの動力性能だし、直線番長ではなく、コーナーで前荷重を入れてやれば、スムースに旋回に入る。(旋回後のブレーキ踏み増しによる、ノーズの制御は、ハイブリッドのブレーキのため、調整しづらく、がくんと失速してしまう。2.0はちゃんと反応するので、まだノーマルのブレーキの制御性には追い付いてない)

なぜ★4つなのかといえば、性能過剰なゆえ、前述のシーマ現象と同じ暴走親父の仲間だと思われそうだからだ。 それと、700万円でこれ一台で済ますより、NDロードスターと、フォレスターの2台を買うほうが、より人生が楽しいんじゃないかと思うこともあるからだが、それは人それぞれかもしれない。なお、フォレスターでもゴルフには行ける。


新型クラウンの4枚のドア全てにドアスタビライザーが装備されていることに気が付いた。このドアスタビライザーも効いている。

クラウンにも、もちろんトヨタの新世代の通信システムである、T-Connectが搭載される。このT-Connectが狙っているトヨタが考えるクルマの未来については、また別のブログ稿で述べたい。

写真はT-Conectの送受信機
満足している点
グローバルレベルのシャシーの性能、クラウンの美点を抽出し地道にネガを潰したこと、中古車市場での高い下取りの見込み、この3つが新型クラウンの全モデルに共通した長所だと思う。

3.5HVは、日本の公道において、明らかに過剰に速いが、これまでのクラウンのように怖くない。各社共に新プラットフォームでは、ボディ剛性を引き上げてきているが、これまでのように、「硬くなればいいんでしょ」的なつくりから、硬さを調整するところに進化しはじめている。 トヨタのシャシー設計は、「物理的優位性の確保」にあるから、GA-Lでも、可能な限り、前軸と後軸の間に、パワートレイン、バッテリーを左右均等な重量になるように配置している。 さらに、使用する金属素材、溶接方法、接着剤(実に80mに渡って、工業用接着剤を使用している)、環式構造など、剛性を高めるパーツを「計算して配置」した。 「新型クラウンはニュルで鍛えました」と主査は述べているが、「何のために行ったのか」については説明していない。

別に秘密でも何でもなく、真面目に質問する評論家がいなかっただけで、クラウンがニュルに行ったのは、最速のタイムを出すために行ったわけではなく、ニュルの走行で、ボディの前後・左右への衝撃の伝達速度がコンピュータの計算値通りの剛性伝達速度が出せているかどうかを評価してきたのである。

クラウンの何が良いか、と突き詰めると、このシャシーが良いといいうのがいの一番である。次に、「クラウンの嫌な所を除いて、クラウンらしさ」を残した内装だろう。 無駄みたいだけど実は役に立つ伝統のエアコンの吹き出し口の自動ルーバーも装備されるし、シートも在来のクラウンっぽいが、表皮の厚み、表皮の作り、柔らかさ、クッション材量が、ちゃんと旦那仕様からレクサス的なシート構造になっているし、内装も適当に日本のおっさん好みでデザインされているけれど、品質感が統一されていて「クラウンじゃない」感がない。 RSでも、内装色や素材が複数選べるバリエーションの多さが、輸入車的と同等の楽しみがあり、ジャパンカラーと呼ばれるビビッドな良い色達が、非常に安いオプション価格で用意されているのも良い点である。

そして、言うまでもなく静かである。全モデルがそう。豪華モデルでなくとも、たとえ2.0のSでも静かで、クラウンに乗せた人誰からも、「静かな高級車だね」と言ってもらえる。 ハイブリッドは特に静かで、2.5も3.5もどちらも静か。 ゴルフクラブも4人分積める。車内も広大じゃないけど、狭くない。誰にも「何でこんなクルマ買ったの?」と言われることがない、そんなクルマだから、きっとこれも良い点だと思う。誰も褒めてくれないが、視界の広さ、上下・左右の見切りの良さも、日本車のいいところだろう。輸入車はまだ、「人間の視界」についてあまり頓着していない傾向がある。 クラウンは、これまで操安性よりも、前席、後席に座る人が日本の道路を走る上での快適性を考慮してきたが、それを捨て去ったわけではないから、実際に乗ってみて、新しい操安性を感じると「これ、クラウン・・だよね?」となる。

ついでに、価格設定のうまさがある。値引き幅が拡大している輸入車セダン(値引かないレクサスも含めても)の価格より多少安く、3年後、5年後の中古市場での価値がアルファードが驚くくらい高くなるだろうから、550万円の2.0を買おうと思っていたユーザが、700万円の3.5を買うこともできてしまう。 それは、中古車市場での高い価値という、一朝一夕にはできないマーケットが継続できそう(現状より更によくなる)という見通しが持てることも良い点である。


新クラウンの操安性を作り出すボディを作っているサスペンションのタワー構造



新クラウンのボディ構造
不満な点
実はあまりたくさんない。 3.5HVはがっつり重く、明らかにフロントヘビーだと感じるが、ディーゼル軍団の鼻先の重さよりは、エンジン配置位置を含めて優位性があるし、NDロードスターと回答性を競うわけではないから、受け入れられるフロントヘビーではある。RS Advanceグレードの重量は1870kg。同じグレードの2.5HVは1770kgと2.0の1730kgと比べて2.5HVが40kgしか違わないところは、逆に褒めるべきところか。

機械的なことで言えば、AVSがいまいち。これはクラウンの欠点というより、カヤバ製のAVSの根本的な問題だ。微小な制御(650段階)だとしても、固くする際に、ダンパーのストロークを減らしてダンパーの衰滅力を高めるため、バネの振動と合わない部分がでてくる。特に、S+を選んで常時ハード側に設定していると、高速走行中にギャップを拾った時に、ダンパーのストローク量とバネのストローク量が合わずに暴れるケースがたまに有る。

ノーマルのHard/Soft自動制御も、洗濯板みたいな路面を走らない限り、カヤバが言うほど効果的だとも感じないし、コンフォートの常にSOFTを選ぶくらいならば、他のグレードに採用されているトキコのダンパーの方がストロークがたっぷり取れていて、総合性能が高い。 さらに、AVS搭載車のS+及び標準サスのSモードで、ステアリングを重くする制御が入っているが、妙な硬いゴムのような抵抗が増えてフィーリングが劣化してしまう。

RSに装着される18インチホイールとタイヤは、幅と重量があっておらず、AVSとの組み合わせで、ダンパーの衰滅力の設定に関わらず、気になる微振動が伝わってくる。 操作していても、少々タイヤがオーバーサイズな感があり、長いホイールベースのクルマを、適切な前後左右の剛性バランスを取って曲がっていくという、ロングホールベースのFRに合っていない感がある。17インチホイールとタイヤを装備するRS以外モデルでは、全くそれがなく、ステアリング操作に対して適切な速度で車が反応をはじめ、切りましと共に旋回半径を縮めていく設定になっているから、18インチとAVSの組み合わせは、マッチングがイマイチなところがあると言わざるを得ない。


2.5のHVは、もはや旧式となったTHSⅡで、新オーリスに搭載される2.0の新THSⅡと比べると、発進から巡航まで各所で見劣りがするし、CVTの回転だけ上がるゴムバンド感も相変わらずな点が惜しい。トヨタは、新THSⅡとマルチステージハイブリッドを組み合わせた次世代のTHSを早急に開発して切り替えていくべきだろう。

後は、「クラウン」という記号性ぐらいだろうか。そもそも、それが嫌な人(アンチクラウンな人)は、最初から近寄りもしないだろうから、ネガともいえないだろうけれど。
デザイン

-

走行性能

-

動力性能については、総評に書いたとおりで、安全性能に関しては、前方にレーダーをはじめとして、各種のセンサーを装備している。


 ボディ剛性を高める環状構造体や、アルミのサスペンションアームが、操安性の向上に本気で取り組んでいることがわかる。


新型クラウンのアルミのサスペンションアーム
乗り心地

-

最も乗り心地が良いのは、Gなどに搭載されているノーマルのダンパー。バネとダンパーの衰滅力のバランスが良く、17インチタイヤとの組み合わせが丁度よい。 RSに搭載されている18インチタイヤは、ややオーバサイズでコンフォートでも、S+でもタイヤとホイールから発せられる微振動が残り、快適性という点で一歩劣る。 剛性の伝達性が適切なボディに、電子制御によって、高い衰滅力を与え、微振動が出るタイヤを履かせると、おなじみのあクルマのようになってしまい、クラウンの美点が損なわれる。 内装は、Gのベージュ系の革内装が、手触り、座り心地共にお勧め。本革にありがちな滑り感やべたつき感がなく、手触りも良いので、オプションで選んでおきたい。



新型クラウンの、2段画面。下段が各種操作用、上段が表示用。ナビは下段に表示することもできる。


内装(リアシート)
積載性

-

4人分のゴルフのフルセットを余裕で搭載できる。後軸の後ろのオーバーハングに載せるので、ヨー慣性は増えるが、4人でゴルフに行く時に、ヨー慣性は気にするまい。4人乗車で快適にゴルフにいけるかどうか、と言えば、全く問題なし。動力性能は、他で述べたとおり有り余っているので、ゴルフ場へ向かう坂道で不足を感じることは全くない。 2.0でも、2.5でも十分。
燃費

-

試乗会での燃費では、2.0が6.5km/L、3.5HVが10.2km/L、2.5HVが12.8km/Lであった。普通の乗り方に比べて、よりアクセルが踏まれていることを考えれば、かなり良い。実際はこの1.3倍くらいの燃費は出そうな感じだ。
価格

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