新型アルトの「加飾に頼らないデザイン」、その秘密とは？

世界でも通用するクルマにしたかった

―まず初めにデザイン全体の趣旨からです。造形上のコンセプトはどこにありますか？

「初代アルトのスピリットを受け継ぐという商品コンセプトを受け、まずはクルマとしてのプロポーションをしっかり構築したい。最近の軽は背高になって、たとえば欧州車とはかなり異なるプロポーションになっています。4つのタイヤ、そこに載るボディ、そしてキャビンと、このバランスをもう一度見直し、“世界でも通用するクルマ”にしたかった。もちろん、これは軽というカテゴリーに限定せずです」

―初期スケッチではその点を重視したのですね？

「初期スケッチではかなり幅広い提案があって、たとえば先代に似た若干緩いイメージもありましたが、ピックアップしたのは初代、あるいは初期のアルトに近い雰囲気のものです。具体的にはプレーンで、奇をてらったラインがなく、一本のラインに作り手の意図が込められたものですね」

―よいプロポーションといっても、その中でどのようなシルエットにするかは様々な可能性があります

「そこも初代をイメージし、クルマとして“ちゃんとした”佇まいを感じるものです。全高を低く、ガラスエリアを薄くする手法は従来からあるものですが、いまの軽にはないプロポーションです。また、たとえば最近はフロントランプがサイドフェンダーまで伸びているのが主流ですが、ここもボディが前・横・後をしっかり向いていて、そこにランプを配置すると」