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90年代に世界を席巻したラリーマシン達(パルサー・インプレッサ・ランエボ・カローラ)

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90年代に世界を席巻したラリーマシン達(パルサー・インプレッサ・ランエボ・カローラ)

世界を席巻した第2世代グループAマシンたち

1990年代序盤には、トヨタがセリカでワールドタイトルを獲得。スバルがレガシィで、三菱がギャランでこれに次ぐ活躍を見せていたが、それらを国産のグループA(Gr.A)ラリーカーの第1世代とするならば、90年代後半には第2世代が登場することになる。

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そのトレンドは、より軽量コンパクトに、ということになる。具体的にはセリカはカローラに、レガシィはインプレッサに、そしてギャランはランサーに置き換えられることになる。そのそれぞれにエボリューションモデルとしてターボ・エンジンと4WDシステムが組み込まれたのはいうまでもない。

1992 Nissan Pulsar GTI-R Group A Type RNN14 WRC Spec. 突き詰めたコンパクトさが徒になった悲運のラリーカー

コンパクトな国産グループA(Gr.A)ラリーカーの第2世代が登場、90年代後半には世界選手権タイトルを5連覇して日本車旋風を巻き起こした。ところが、そんな第2世代トリオが登場する5年も前に、よりコンパクトな国産ラリーカーもあった……。

それが日産サニーGTI-R(国内名はパルサーGTI-R)。のちに登場する3ボックスのインプレッサやランサーはもちろん、同じ2ボックスのカローラよりもさらにひと回り小さいボディに2リッター直4ターボのSR20DETを搭載。もちろん4WDシステムも組み込まれていた。しかし小さすぎることが足を引っ張ることになる。

エンジンルームに余裕がなく、インタークーラーは冷却効率の良くないエンジン上に置く以外になかった。またタイヤサイズも大きく制限されてしまったのだ。結局92年にスウェディッシュでスティグ・ブロンキストが記録した3位入賞がベストで92年限りでワークスは撤退。後継(?)のサニーGTIがF2で活躍したが、ファンはGTI-Rの雄姿が見たかったはず。 (日産ヘリテージコレクションで撮影)

1997 Subaru Impreza WRC97 国産初のWRカーでデビュー・シーズンに即戴冠

サファリ・ラリーへの参戦から海外ラリーの第1歩を踏み出した富士重工は、レガシィで本格的に世界ラリー選手権(WRC)への参戦を開始した。そしてレガシィで戦う一方では後継モデルであるインプレッサのラリーカーを開発・熟成してきた。インプレッサの競争力が高まったあとも、先ずは1勝、を合言葉にレガシィでの参戦を続け、93年のニュージーランドでレガシィが初優勝! 富士重工にとってもWRCの初優勝を飾ると、翌戦、フィンランドの1000湖ラリーで満を持してインプレッサをデビューさせることになった。初戦から見事なパフォーマンスを見せたインプレッサは94年のアクロポリスで初優勝を飾っている。そして95年にダブルタイトルでWRCを初制覇すると96年にも連覇。こうして迎えた97年、インプレッサは新たな1歩を踏み出すことになった。

それがWRカーへのコンバートだ。ベースモデルも4ドアから2ドア3ボックスのリトナに変わり懸案だったエンジン系も大きく進化していた。信頼性に少し疑問符が残ったものの、14戦7勝でダブルタイトルを確定。シリーズ3連覇は国内メーカーとしては初の偉業。 (写真は富士重工広報部提供)

最後までGr.Aを選択した三菱と最後に戴冠したカローラ

1997 Mitsubishi Lancer Evolution IV 不利なグループA規定のまま年次改良を続けて遂に王座に

早い段階から海外ラリーに参戦してきた三菱はコルト・ギャラン、ランサー、ランサー・ターボ、スタリオン、ギャランVR-4と主戦マシンを入れ替えながら、本格的な活動へと駒を進めてきた。しかし93年からは主戦マシンをランサー・エボリューションに絞り、エボリューションIからII、IIIと進化を続けて行った。その一方で市販モデルの進化にもリンク。95年にベースモデルのランサーがフルモデルチェンジ、5代目に移行したのを受け、96年にはランサー・エボリューションも5代目ランサーをベースにした第2世代のエボリューションIVに進化している。この当時、ほかのワークスマシンは総て、改造範囲の広いWRカーへとコンバートされていたが、三菱は最後までGr.Aで戦うことを選択した。97年の開幕戦から98年シーズンの中盤まで、エボリューションIVで参戦し、98年のポルトガルからエボリューションVを投入した。結果、トミ・マキネンが96年からのドライバーズタイトルを3連覇にまで伸ばすとともに、98年のメイクスタイトルをも手に入れることになった。 (透視図は97年のエボリューションIVで走りは98年オーストラリアでのマキネン/三菱自動車広報部提供)

1999 Toyota Corolla WRC Type SE110 WRC 心機一転、WRカーでシリーズ復帰、有終の美を飾ったTTEの主戦マシン

90年代前半に4度のドライバータイトルを2度のメイクスタイトルを手中に収めるなど、WRCでの栄光をほしいままにしていたトヨタだったが、95年のカタルニアで車両規定違反が発覚、同シーズンのポイントはく奪とともに、TTEは翌96年の出場停止、と重いペナルティを課せられてしまった。これに対してトヨタは96年のワークス活動休止を発表、TTEも2年間の活動休止を発表した。重い空気が漂ったが、2年の歳月を経て98年のフィンランドでトヨタとTTEはWRC復帰を果たした。

この時のウェポンがカローラWRC。セリカで得たノウハウを各所に盛り込み、またウィークポイントをひとつひとつ潰して開発されたカローラWRCは、デビュー戦となったフィンランドでは、残念ながらリタイヤに終わったもののマーカス・グロンホルムが3つのSSでトップタイムを刻むなど、ポテンシャルが高いことをアピールしていた。そして98年は開幕のモンテカルロでカルロス・サインツが勝ち、カローラWRCのWRC初優勝を飾るとともに反撃開始の号砲を鳴らすことになった。ただしこのシーズンはポイントをリードしながら臨んだ最終戦でトラブルからリタイア、手を掛けていたタイトルを取りこぼしてしまう。

翌99年、F1参戦のためにWRCはこのシーズン限りとなったが、その最後の最後でカローラWRCはメイクスタイトルを手に入れることになる。最終戦を待たず、その前戦、オーストラリアでサインツが2位に入り有終の美を飾ることになったのだ。 (トヨタ・ガズー・レーシング・フェスティバルで撮影)

(文:原田 了)

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