■トンネル内部を明るく照らす照明は、従来は橙色(だいだい色/オレンジ色)が中心
高速道路を走っていると、トンネルを通過することが多いです。この内部を明るく照らす照明は、従来は橙色(だいだい色/オレンジ色)が中心でした。しかし最近は、白っぽい照明が増えています。その理由をNEXCO東日本に尋ねました。
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トンネル内部の照明に、もともと橙色が多かった理由は、「橙色には光を通しやすい性質があり、排気ガスや塵(チリ/細かなゴミなど)の影響を受けにくいためです」とのことです。
橙色の光を放つ照明は「ナトリウムランプ」と呼ばれ、発光管の内部において、ナトリウム蒸気中の放電を利用して発光させます。1960年代から普及が開始され、今でも使われています。クルマのフォグランプ(霧灯)にも橙色があり、これも光を通しやすいためです。
以前の「ナトリウムランプ」は、ホールや体育館などで使われている「水銀ランプ」に比べると、消費電力を30~50%に抑えることが可能なので、明るさの割に消費電力が少ないことも魅力でした。また「ナトリウムランプ」は、前述のように「水銀ランプ」などとは光の波長が異なるため、虫を引き寄せる働きが弱いこともメリットになっています。
このように「ナトリウムランプ」は、排気ガスなどで空気が汚れたトンネル内部でも視認性が高く、経済性にも優れ、虫を引き寄せない特徴もあるとのことから、1960年代から1999年頃まで、長期間にわたって高速道路のトンネルを照らす定番の照明でした。従ってベテランのドライバーには「トンネルの照明は橙色」と認識されているほどです。
しかし2000年に入ると、高速道路のトンネルを照らす照明の色が次第に変わってきました。
まずは「蛍光ランプ」が登場します。消費電力は「ナトリウムランプ」と同程度ですが、ランプの耐用年数(寿命)が30%ほど長いです。色彩は青みがかっています。
ちなみにNEXCO東日本によると「2000年頃には、排気ガスが1960~1970年代に比べてクリーンになり、橙色のナトリウムランプでなくても、不都合はあまり生じませんでした。また光が橙色の場合、赤系統の車両が見にくくなる欠点もありましたが、『蛍光ランプ』は自然光に近いので様々な色の車両でも視認性が良くなりました。
ただし、今でもドライバーの視覚がトンネル内部の明るさに慣れない一部の出入口には、ナトリウムランプが使われている」とのことです。
■トンネルの照明にも幅広く使われるLEDが登場
2009年頃には、「セラミックメタルハライドランプ」が使われるようになります。発光管をセラミック製にして、発光効率を高めており、消費電力は以前の水銀ランプに比べて約半分で済みます。そしてトンネル内部を走る車両などが、自然光に近い色彩で見えることも特徴です。
さらに2012年には、LEDランプの使用も開始されました。消費電力を抑え、蛍光ランプに比べて寿命を2.5~5倍も伸ばすことが可能です。先に述べたように、トンネル内部の照明はドライバーの目を慣らせるために入口を明るくしますが、LEDランプであればこれらの調光もしやすいそうです。
LEDは信号機にも使われますが、消費電力が少ないこともあって発熱しにくく、北国では雪が溶けにくい不都合を抱えています。しかしトンネル内部の照明であれば問題はなく、特に寿命を大幅に伸ばせることがメリットになっています。
LEDランプは家庭用から車両のヘッドランプまで幅広く使われ、高速道路のトンネル内部を照らすようになったのも、当然の成り行きといえるでしょう。
トンネルの照明には、ドライバーの視覚のために独自の工夫があったりしますが、近年ではLEDのような身近な灯りも使われるようになっていたのです。
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