原因はタイヤかホイールにあることが多い
クルマの不快な振動は、エンジン本体、ドライブシャフトなどの駆動系、タイヤ・ホイールなどさまざまな原因が考えられる。しかし、今の国産車で、ある速度域になるとステアリングにバイブレーションが感じられるとなると、その原因の大半はタイヤもしくはホイールにあると考えていい。
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約3万点と言われるクルマの部品のなかで、一番大きな回転体はタイヤ・ホイール。もっとも路面からの入力を受け、一番影響があるパーツなので、まずはここから疑おう。
最初に点検したいのは、組み付け状態。新品タイヤなのに、ある速度域でステアリングが振動するとなると、タイヤをホイールに組んだとき、ビートが上がりきっていなかったということが少なからずある。メーカーは最大空気圧3kPaまでと表示していても、3kPa程度では、ビートが上がりきらないタイヤがあるので、要チェックだ。
次に、ホイールの歪みや曲がりを点検。タイヤがOKでも、ホイールが変形していることはけっこう多い。また、ナット座がインパクトレンチなどの使い過ぎでキズだらけになっていて、ナットがピタッと閉まらなくなっていることも……。ボルトが錆びていても同じなので、装着時はボルトに錆防止の専用グリスを塗っておきたい。
タイヤとホイールを組む職人の腕でも差が出る
もうひとつは、タイヤの真円度の問題。タイヤ・ホイールに異常がなくても、タイヤにもホイールにも製造過程で公差が出るので、そのまま組んだだけでは、回転したときトレッドの表面が波を打つことがかなりある(縦ブレ)。
これをタイヤとホイールの相性を見極め、お互いのブレを打ち消すような適正な位置に組み合わせ、限りなく真円に近い回転を実現するのが、タイヤ職人の腕の見せ所。工賃の安さ、タイヤの値段だけで、ショップを選ぶと、いい回転は得られないので、ショップ選びが非常に重要。
真円度が低いタイヤは、回転中タイヤがスキップするので、振動が出るだけでなくグリップも悪くなる。当然燃費にも悪影響。
また純正以外のホイールの場合、装着時にホイールのセンターが出ていないのも原因として考えられる。純正以外のホイールは適応車種を増やすため、ホイールの内径=ハブ径が、車体側のハブセンターの直径より大きい場合がほとんどなので、ここに遊びがあるためセンターが出ない。理想はハブリングなどを装着して、ハブとハブ径の一致させること。
意外なことに、組み付け時にホイールに貼りつけるウエイト=ホイールバランスの影響は意外に小さい。30~40gぐらいの違いは体感できないことが多い。それよりも、上記の理由や、ストップ&ゴーの繰り返しによりリムずれが起きて、タイヤの真円度が低下している可能性が大。
いずれにせよ、ノウハウのあるタイヤ職人のいるお店で、しっかり点検してもらうのが肝要だ。
一方同じ振動でも、ある速度域で車体全体が揺れる場合はホイールアライメントの問題。
ハンドリング関係のメンテは、まずタイヤとホイールの点検から。それでも解決しなければ、アライメント、ダンパー、ブッシュなどを疑ってみる。この手順を間違えると、時間とお金=コストが三倍になるので要注意。
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