2017年4月25日、日産は高性能スポーツブランドである「NISMOロードカー」のビジネスをを一段と拡大する方針で、オーテックジャパン/ニスモの最高経営責任者の片桐隆夫社長が新たなビジネスの展開や事業内容を発表した。
これまでに、日産のサブ・ブランド、NISMOの高性能スポーツモデルを、日本だけではなくグローバルに展開する戦略は明らかにされていたが、今回はその当面の目標と、ビジネスの拡大に必要な新組織の設立などが明らかにされた。
まずNISMOの名を冠したロードカーは、現時点ではグローバルで販売されているGT-R NISMOを筆頭に、370Z NISMO、ジューク NISMO RS、セントラNISMO(北米)、マーチNISMO(日本)、ノート e-POWER NISMO(日本)、パトロールNISMO(中東)という7車種がラインアップされているが、今後はさらにモデルを増やし、販売する市場も拡大させる計画だ。
片桐社長は、「ノート e-POWER NISMOは全販売台数の9%を占めるなど、お客様に支持されています。アメリカでもヨーロッパでも、NISMOの高性能スポーツモデルを求めるユーザー層は確実にあるのです」と語る。
現在のNISMOモデルはグローバルで1万5000台というレベルの販売台数だが、2020年以降には10万台を目指すとしている。そのためには現在のトレンドであるSUVを始めミニバンなど多様な車種にNISMOモデルを設定する計画だ。
もちろんラインアップの拡大と同時に、販売ディーラーのネットワークの充実やブランド・コミュニケーションの強化なども図られる。NISMOモデルを扱うNISMOパフォーマンス・ディーラーは日本では現在26店だが、2022年には40店に拡大。もちろん、グローバルでもパフォーマンス・ディーラーを拡大していく。
さらにNISMOモデルのオーナーとの接点の増大、コミュニケーションの強化のために、2017年から「NISMOドライビングアカデミー」(ミハイル・クルム校長)がスタートした。これは国際レースコースなどでNISMO契約のレーシングドライバーによるドライビング・レッスンで、年間に8回開催される。このドライビングアカデミーは今後は海外でも開催する計画だ。
また年1回開催されるファンとの交流イベント「NISMOフェスティバル」もより充実させるという。
この他に、グローバルなカスタマー・レーシング活動を支援するために、よりパフォーマンスを向上させたGT3カー、「GT-R NISMO GT3エボリューション」を開発している。この4月にシェイクダウンを行なったが今後も日本、ヨーロッパでの開発を続け、GT3レースでの存在感を高める計画だ。
NISMOモデルの拡充に合わせ、NISMOロードカーの開発・生産の拠点と組織を新たに設立した。これまでのNISMOモデルは、車種ごとに開発が日産社内、オーテック、NISMOなど多くの部署にまたがって行なわれていたのが実情だが、より効率的に開発を進めるために、新たにオーテック・ジャパン内に「NISMO CARS」というロードカーの企画・開発を担当する専門部署を新設。ここには日産、オーテック、NISMOの専任者が集結し、新たなNISMOロードカーを開発することになる。
なお従来からの認知されてきたオーテック・ブランドも、新たに「プレミアム・スポーツ」ブランドとして再定義され、ピュア・スポーツ・ブランドのNISMOブランドと両立させることも決定された。レースのDNAの色が濃いNISMOのスポーツブランドとカロッツェリア的なイメージが強いプレミアム・スポーツ・ブランドのオーテックという2種類のサブ・ブランドが展開される。
また、オーテックは従来からの業務である特装車、福祉車両の開発・生産も担当する。一方でNISMOはロードカーの開発部門は新しい「NISMO CARS」に移管し、日産のモータースポーツ活動を担当するNISMOレーシングの色彩が強まることになる。
そして、片桐社長からは2017年秋にNISMO、オーテックのそれぞれのブランドから新しいモデルが登場することを予告した。片桐社長は「NISMOは日産自動車のコアバリューをさらに高めるサブ・ブランドであり、日産グループの英知を結集して取り組むことで、今まで以上に日産車を楽しんでいただけると確信している」と語っている。
■旧車への愛も拡幅
もう一つ、新たにオーナーのために「ヘリテージ・パーツ・プログラム」も開始する。日産の過去の高性能モデルをより長く維持できるように、生産停止部品の再生産、販売をスタートする。このプログラムを適用する第1号車はR32型GT-Rとなるが、対象車種も順次拡大する。
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