クラッシュ時の乗員保護とボディ剛性の向上に役立つ
ロールケージは、ボディが変形してしまうような大きなクラッシュ時でも、乗員を保護するために室内に張り巡らせるパイプフレームのこと。競技車両では、レギュレーションによって、パイプの材質、太さ、形状、取り付け方法などが、細かく指定されている。目的は上記のように、乗員保護で、とくに横転=ロールオーバー(rollover)時に、室内がつぶれるのを防ぎ、乗員のスペースを確保できるように考えられている。
材質はスチールが一般的で、より強度がありしかも軽いのがクロモリ。アルミ製のタイプもあるが、強度的にはスチール製よりも劣るので、乗員保護パーツとしては不向きで、ファッションバーといった意味合いが強い。
ほとんどのサーキットでは、オープンカーで走行する場合、ロールケージを装着することを義務付けているが、アルミ製のファッションバーはNGとなることが多いので、気を付けよう。
また、丈夫なスチールパイプ、クロモリパイプを組むことで、ボディ剛性の向上も大きなメリットとして挙げられる。
ボディ剛性にはパイプの数、ボディへ取り付け方法なども影響する。一般的にボディに固定しているポイントの数で、4点式ロールケージ、6点式ロールケージなどと分類され、点数が増すごとに、剛性も上がる。取り付け方法は、溶接が一番高剛性だが、車体に穴を開け、プレートで挟んでボルトで留めるのがほとんどだ。
公道でも、乗車定員が変わらなければ、問題なく使用できる。ただ、保安基準に適合するには、車乗員保護のため、(頭部付近の)ロールケージには緩衝材(パッド)を巻くことが条件となる。また、後部座席に人が座れなくなるような場合は、乗車定員変更の申請が必要だ。
その他、スチールやクロモリのロールケージはそれなりに重く、6点式で20Kg近くの重量増になる。もうひとつ、乗降性や居住性などが低下するのもデメリットのひとつだ。
最後に、ロールケージの「ケージ」(cage)は、「檻や籠」という意味で、ロール“ゲージ”というのは不適切。「ロールバー」(roll bar)や、「ロールオーバーバー」(roll over bar)もほぼ同じ意味で使われていて、どちらかというとロールケージより、ロールバーの方が一般的な表現かもしれない。
(文:藤田竜太)
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