身体を包み込む形状でクルマの動きもダイレクトに伝わる
運転中のドライバーがもっとも多く直接クルマと触れ合っているのは、ステアリングでもペダルでもなく運転席のシートそのもの。つまり人とクルマのインターフェイスの要になるのが、シートなのだ。ドライバーの身体はできるだけシートと一体になれるのが望ましい。
バケットシートやセミバケットシートは、スポーツ走行時に、高い前後G・左右Gが身体にかかったときでも、ドライバーをホールドするように、肩まわりや、太腿のサイド、脇腹付近を包み込むような形状になっている。ドライバーが自分の身体を支えるために極力チカラを使わずに、手足を自由に操作できるように作られているシートのこと。
いいシートほど、ホールド性が高いだけでなく、クルマの動きがダイレクトに伝わり、無駄のない的確な判断、操作が可能になる。こうしたバケットシートには、背もたれが座面と一体になったフルバケットシートと、背もたれの角度が調整でき、リクライニング機能もあるセミバケットシートの2種類がある。
ホールド性や剛性感、軽量という意味では、フルバケットが優れていて、使い勝手の良さや汎用性はセミバケットが勝る。レカロやブリットをはじめ、各メーカーからたくさんのバケットシートが発売されているが、ブランド以上に大事なのは、自分の体形にいかにフィットするかという点。
レーシングカーでは、発泡ウレタンを使って、そのドライバー専用のシートを作るところからセッティングがはじまり、シーズン中に何度も作り直すことだって珍しくない。クルマの司令塔とその座標軸を定めるためにも、フィッティングのいいシートにはこだわりたいところ。
なお、シートは単体で考えるのではなく、シートレールもセットで選ぶのが肝心だ試着ならぬ試座できるショールームやショップに出かけて、いろいろ試してみるのがいいだろう。
(文:藤田竜太)
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