チューニングでは無理な領域まで手が入るのが魅力
自動車メーカー自身がチューニングを施したスペシャルなモデルが存在する。その多くは数量限定販売だったり、期間限定だったりするが、だからこそ後からのチューニングではなし得ないほどの性能を持ったモデルがあるのだ。
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トヨタGRヤリス GRMN
メーカーがフルチューンを公言する最新4WD
トヨタ自身が「フルチューン」をしたと言うのがGRヤリスのGRMN。そもそもGRMNとは(GAZOO Racing tuned by Meister of Nürburgring)のことで、ニュルマイスターが味付けしたぜ的なスペシャルモデル。数百台限定で、採算度外視のチューニングモデルをいくつも登場させてきた。
ヴィッツGRMNは2013年にターボ仕様、2018年にスーパーチャージャー仕様が登場。マークX GRMNに至っては、ベースモデルには存在しないマニュアルミッション車だった。
GRヤリスにもGRMNが登場すると発表されたのは、1月に行われた東京オートサロン2022でのこと。まだ発売されていないがその中身がすごい。ボディのスポット溶接の箇所を545点増し打ち。さらに構造用接着剤も大幅に使用量を増やしてボディ剛性を向上させている。
レースやチューニングの世界では、ベース車のボディをストリップしてホワイトボディと呼ばれる何も付いていない状態にしてボディ補強を行う。しかし、すでに出来上がっているボディにあとからガレージで入れるスポット溶接と、自動車メーカーのスポット溶接が同じものかは微妙。しかも、剛性や応力などさまざまな計算から導かれたポイントに的確に増し打ちされたボディは重くないのに高剛性という理想的なものである。
さらにボンネット、リヤウイング、ルーフ(ノーマルもカーボンだが)もカーボン化して軽量化&低重心化を実現。
エンジンはピークパワーは同じもののトルクが370N・mから390N・mに強化され、クロスミッション&ローファイナルギヤで加速力を向上させている。
ほかにも足まわり、ボディ補強ブレース、サイドエアバッグ付きフルバケットシートなど、メーカーならではのチューニングが施されたモデルは731万7000円から。内容から考えると完全にお得である。ベースモデルからここまでを300万円でアフターチューニングで仕上げることは不可能だ。
日産ステージア・オーテックバージョン260RS
中身はR33GT-Rの激速ステーションワゴン
日産直系の架装メーカー「オーテックジャパン」によって製作されたのがステージア260RS。RB26ツインターボエンジンに、日産独自の4WDシステムであるアテーサE-TSを組み合わせたもの。ぶっちゃけ中身は当時販売していたR33GT-Rである。それをステージアのボディに収めてしまった。
同系統のボディとはいえ、あとからステージアをGT-R化したら、その手間は計り知れない。それをメーカー側でやって、普通に売ってしまったのだからすごいこと。こんなすごいことであり、遊び心の溢れるクルマがぜひ、これからも出てきてほしいところ。
スバル・インプレッサ22B-STi version
2.2L化したEJ20と2ドアワイドボディの伝説
当時WRCを3連覇したスバル。そのWRカーのイメージそのままにSTiから登場したのがこのクルマだ。スバル本体ではないものの、ワークスであるスバルテクニカインターナショナルがエンジンを2212ccまでボアアップ。トルクが細いと言われたEJ20をよりパワフルに進化させた。
ベース車のGC8はほとんどが4ドアで、2ドア車は少なかった。その2ドアボディを前後ブリスターフェンダー化し、BBS製ホイールに235/40R17という当時としてはデカくて太いタイヤを組み合わせている。
駆動系やステアリングギヤレシオまでチューニングされ、当時500万円限定400台というセンセーションナルな売り方だった。それが、なんと今では極上車には3000万を超える値段が付けられているという。そこまでは極端にしても、1000万円以上の物件が多いという。
その後、スバルではR205やS207、BRZ tSなど、メーカーならではの大規模に手が加えられたコンプリートカーが販売されたが、その礎となったのが22Bなのである。
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その前のRBエンジンのステージアやろ!