スペインGPの初日プラクティスを制したのは、2023年チャンピオンのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)である。じつはこれがバニャイアにとって、今季初のプラクティストップだった。序盤の3戦において、バニャイアが表彰台に立ったのは、開幕戦カタールGPのレースで優勝を飾ったのみ。やや精彩に欠けるシーズン序盤を送っていた。
バニャイアのドゥカティ デスモセディチGP24にはチャタリングが発生しており、例えばアメリカズGPの決勝レースでも、バニャイアはレース序盤は勝てると感じていたが、その後にチャタリングが発生したと、MotoGP.comのインタビューで答えている。
【タイム結果】2024MotoGP第4戦スペインGP プラクティス
だが、スペインGPの初日プラクティスでは、オールタイムラップ・レコードを更新して、トップでQ2ダイレクト進出を決めた。セッションを終えて囲み取材にやってきたバニャイアは、「いつもの金曜日とは違う作戦をとったんだ」と説明している。
「テスト」を行ったことで、改善につながったのだという。詳細の説明を求められるも、バニャイアは「言えないんだ……」と、内容を明かさなかったが、それが改善に役立ったことは確かだ。
「僕たちはいつもよりも多くのものごとをテストした。とても満足だよ。振動は起こらなかった。といっても、通常、振動が起こるのは土曜日のスプリントレースだから、地に足を着けているんだ。でも今、ブレーキングからの進入においてフィーリングは増していて、変な挙動は少なくなった」
なぜ土曜日からチャタリングが発生してきたのか。これについて、バニャイアの見解は「タイヤの構造が異なり、それでグリップが上がっている。タイヤに負荷をかけると、振動が起きるんだ」というものだった。
今季の全体的なラップタイムの向上が、タイヤにとって想定外だったのではないか、ということだ。今回スペインGPでも、すべてのライダーが全力で攻める予選を待たずにプラクティスでオールタイムラップ・レコードが更新されているが、アメリカズGPではマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)によって、1秒以上、レコードが更新されている。
「今年のラップタイムは、信じられないと言わざるを得ない。おそらくミシュランは、僕たちのパフォーマンスについてここまでだとは思っていなかったんだろう。グリップがものすごくよくなっているからね。彼らは同じラップタイムでサポートを上げることを考えていたのかもしれない」
「でも、今やラップタイムはすごく上がっている。レースタイムだっていつも短くなっている。でも、僕たちのような状況で、僕のバイクのフィーリングで、僕のセッティングで……たぶん(ホルヘ・)マルティンもそうなんだけど、こういう振動が起きるんだ。(実際のところは)わからないけどね」
「でもそれは改善するしかない。こういうタイヤを理解できたなら、一歩前進できると思う。ペドロ・アコスタにはいい結果をもたらしているタイヤだ。彼はこのタイヤでMotoGPクラスをスタートして、MotoGPマシンのライディングスタイルを確立してきたわけだからね。というわけで、この部分について問題がないのだと思う。彼のこのタイヤをプッシュする方法は印象的で、理解するのに参考になるよ」
そしてまた、こうした問題を引きずることなく即座に解決できる総合力もまた、ドゥカティとバニャイアというパッケージの強さなのだろうと思わされる。今週末のレースへの展望には、バニャイアは慎重な姿勢を見せていた。ただ、少なくとも初日の様子とそれが「戦略的な改善」であったことを踏まえれば、バニャイアは当然、スペインGPの優勝候補のひとりに挙げられるはずだ。
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