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フィアット「500」のエンジンルームに飛び散るオイル…ステージ別に走って分かったこととは?【週刊チンクエチェントVol.36】

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フィアット「500」のエンジンルームに飛び散るオイル…ステージ別に走って分かったこととは?【週刊チンクエチェントVol.36】

エンジンの負荷が高いときほどベッタリ付着

名古屋の「チンクエチェント博物館」が所有するターコイズブルーのフィアット「500L」(1970年式)を、自動車ライターの嶋田智之氏が日々のアシとして長期レポートする「週刊チンクエチェント」。第36回は「エンジンルームは今日も霧吹き状態」をお届けします。

フィアット「500」の謎の振動がやっと解消! 飛び散るオイル問題は果たして解決されたのか…!?【週刊チンクエチェントVol.35】

どんな状況になるとオイルが付着するのか?

それから少しの間──具体的には2021年の9月21日から29日まで──は、リアのエンジンフードをパカーッ! と開けてばかりだった。いや、念のために申し上げておくと、ボコボコと壊れて立ち往生しまくったというわけじゃない。まぁどっかに軽微な不具合があるのは間違いなさそうなのだけど、ゴブジ号はちゃんと走ってる。それも、速さは──499.5ccのノーマル・チンクエチェントとしては──なかなかのものだし、エンジンそのもののフィーリングもかなりいい。

じゃなぜなのかといえば、自分なりにチェックをしておきたかったからだ。

なにせ、9月2日に神戸で開催されるチンクエチェント博物館主催の“関西トリコローレ”というイベントにトークの仕事で呼んでいただいていて、そこでゴブジ号をお披露目する予定になっていた。つまり神戸までの片道およそ550km往復およそ1100kmの自走、という任務が控えていたのだ。

どこから滲み出るのか微妙に噴き出るのか、エンジンルームの中を漂ったあげくあちこちにジンワリペッタリと付着するオイル。その出所がいまだに特定できないのはまぁ仕方ないとして、どんなふうに走ればどんな具合にオイルがジンワリペッタリなのか、どう走ればどのくらいオイルが減るのか、走るにつれてフィーリングは変わっていくのか変わらないのか……。知ったところで自分で対処できるわけでもないのだけど、チンクエチェント博物館でほとんど嶋田担当みたいになっちゃってる深津館長や、スティルベーシックのふたりの平井さんに伝えることはできる。

なので、もともと“どんなところにでもチンクエチェントで走っていく”というのを趣旨にしていたわけだけど、電車で行く方が圧倒的に都合がよくてクルマだと逆に不便なところにもゴブジ号を走らせたし、それどころかまったく意味もなしに徘徊するがごとくあちこちに走っていったりもした。

初日は街中だ。いわゆるタウンスピード、というヤツ。都心の幹線道路の昼間のクルマの流れは、信号で停まってるときを除くと、感覚的に30km/hから40km/hといったところ。目黒通りの柿の木坂陸橋あたりを起点に、環状7号線→目白通り→明治通り→甲州街道→山手通り→目黒通り……で起点に戻る。

まず目白通りに入った時点でエンジンフードを開け、甲州街道に入ってすぐにまた開け、山手通りを出る直前に開け、柿の木坂陸橋のあたりに戻って、また開ける。

うーむ……。

それほどベッタリという感じではなかったけど、出発前にパーツクリーナーを使って綺麗にしたエンジンフードの裏側に、リアシート側のバルクヘッドの壁に……と、うーっすらながらオイルが付着してる。オイル量は減ってる感じでもないけれど。

翌日は首都高速だ。日中の首都高速の流れは、50km/hから60kmぐらいなもんだろう。目黒のランプから入って2号線から内環状に滑り込んでグルグルッと3周、また2号線を使って帰る。さすがに首都高では途中で停まってエンジンフードを開けるわけにはいかないから、一般道に降りて目黒通りに入ってからすぐにチェックしてみる。

うーむ……。

だいぶベッタリという感じではなかったけど、フツーに一般道を流して走ったときよりは間違いなく付着は大きい。出発前にパーツクリーナーで綺麗にしてはあったのだけど、エンジンフードの裏側もバルクヘッド側も、しっとりとした印象だ。

オイルキャップの上にオイルがたまる?

そして避けて通れぬ高速走行。うちから最もアクセスしやすい東名高速で、御殿場までを往復してみた。途中の港北パーキングエリア、海老名サービスエリア、中井パーキングエリア、鮎沢パーキングエリアのみパスして足柄サービスエリアで、行きも帰りもエンジンフードを開けてみながらの走行だ。巡航速度はいつものとおりメーター70km/h=GPS80km/h、もちろんいちばん左の車線を左側ベタベタに寄りながら、である。

うーむ……。

という声が、エンジンフードを開けるたびに次第に大きくなっていった。特に後半戦。どんどん濃くなってきたのだ。一連の写真は自宅近くの駐車場に戻ってから撮ったものだが、フードの裏側もバルクヘッド側も付着したものが黒いスジになってタレてたり凹部に黒いモノがたまってたり。オイルキャップの上にもオイルがたまってたり。いろんなところに軽く飛び散ってたり。

うーむ……。

何だか走るに連れてジワジワ悪化してきてるような気がする。オイル量は、レベルゲージで見て“もしかしてちょっと減った?”という感じ。走りっぷりは相も変わらず絶好調といえるし、フィーリングも気持ちいいし、そういう意味ではちっとも悪化してる印象はなくて、まさにオイル噴出だけが問題という印象。

その後も夜中にラーメンが食べたくなって走っていったり、打ち合わせがあるからと走っていったり、次第に秋の気配を香らせてきた風が心地よさそうでトップを開けて気分転換に走らせたり……と、ずいぶん走った。その結果、なんとなーく判ったのは、やっぱり走る速度域というかエンジンの使用回転域というか、要はエンジンの負荷が高いときほどジンワリペッタリが増していくようだ、ということ。予想どおりといえば予想どおりで、再確認のようなものだったともいえるのだけど。

神戸に向かう前日──というか途中で止まっちゃう可能性も想定して普段より1日早く東京を出る日程を組んだから通常の感覚からいうなら前々日、スティルベーシックの平井社長に電話で細かく報告してみると、「どっちにしても静岡を通過するんだから、立ち寄ってくださいよ。チェックしてみましょう」とのお言葉。もちろんそうさせていただきますとも!

さらには「“オイルキャップの上にたまるって不自然だから、念のため、その部分をアルミホイルで包んでから走ってきてください。この前チェックしたときには何ともなかったけど、もしかしてそこに見えない原因があるかもしれないので」とアドバイスをいただいた。もちろんそうさせていただきますとも!

平井さんに噴き加減を診ていただくためにもエンジンルームを汚れたままにして翌朝の出発を待つことにしたわけだけど、ここを読んでくださってる貴重な読者さんたちを何だかオイル臭い気分にさせちゃったから、次回の“いよいよ神戸に向かって出発”編をお届けする前に、2024年に入ってから撮影したチンクエチェント博物館のYouTube動画があるので、そちらでお口直し? お目直し? としていただこう。ゴブジ号の勇姿、とくと御覧あれ。



■協力:チンクエチェント博物館 https://museo500.com

■協力:スティルベーシック https://style-basic.jp

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