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ホンダの意欲作だったけど泣かず飛ばず!「アスコット イノーバ」に足りなかったモノとは

掲載 更新 14
ホンダの意欲作だったけど泣かず飛ばず!「アスコット イノーバ」に足りなかったモノとは

アスコットを流麗にスタイリングした4ドアハードトップとして登場!

 1989年9月にアコードに代わって登場したのが、プリモ店専売のアスコット。4代目アコードの姉妹車として、6ライトウインドウの端正なスタイリングでデビューした。 そのアスコットをより端正なエクステリアに仕立て、1992年3月に登場したのが、サッシュレスドアを採用したハードトップボディの「アスコット イノーバ」だ(以下:イノーバ)。

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流麗なエクステリアが自慢のプリモ店のフラッグシップ

 イノーバは革新的を意味するイノベーションから用いられたネーミングが与えられた。ホンダの代表格である、シビックや軽自動車をおもに取り扱っていたプリモ店のフラッグシップモデルとして、意欲的に作られたモデルであった。「ハードトップ・イノベーション」をキャッチコピーに登場したイノーバの特徴は、その流麗なスタイリングで、薄口グリルとフォグランプ内蔵の大型ヘッドライトが特徴的であった。大型バンパーとローノーズ&ハイデッキかつ、クサビ形の躍動感あるスタイリングは洗練された雰囲気がたっぷり。 2Lエンジン搭載モデルは5ナンバーサイズ(全幅1695mm)、ハイオク仕様の2.3Lエンジン搭載モデルは3ナンバーサイズ(全幅1715mm)となっており、大きなガラスエリアを持ちながらもスタイリッシュであることが魅力だった。これまでの4ドアセダンは、居住性こそ良いがスタイリングは保守的でハードトップは恰好が良いものの実用性では劣る、といった既成概念を覆す気骨に溢れていた。

実用性も兼ね備えたスタイリッシュなフォルムが最大の魅力

 インテリアもサッシュレスを最大限に活かすように、乗員の肩から上の空間をゆったりと、肩から下の空間は適度にタイトに包み込むように仕立てられ、セダンとハードトップが融合したような居心地の良さを作り上げていた。 新デザインのメーターは水平指針4眼メーターながら速度計と回転計を直径106mmでデザイン、大型で視認性の高いものとした。そのほか、照明を夜間の視認性に優れたアンバー色にするなど、スタイリッシュながら実用性は高く、ホンダの志を体現していた。 トランクルームも見た目以上の容量を誇り、開口部が広くゴルフバックを4つ積むことができ、両サイドに小物スペースも備わっていた。

上質さを高めた2.3Lエンジン搭載モデルもラインアップ

 エンジンは2L直4SOHC(F20A型16バルブ)がボア×ストローク85.0×88.0mmのロングストロークながら最高出力135ps/5400rpm、最大トルク18.5kg-m/4300rpmというスペック。可変デュアル吸気マニホールドを採用して充填効率を高めた、2L直4DOHC(F20A型16バルブ)は同150ps/6100rpm、同19.0kg-m/5000rpmを発揮させた。 また、ハイオク仕様となる新開発2.3L直4DOHC(H23A型16バルブ)もラインアップする。鋳鉄スリーブからアルミナ繊維と炭素繊維、さらにアルミ合金で構成したFRMスリーブレス構造としたことで、薄肉化した軽量ブロックが自慢。こちらもロングストロークのボア×ストローク87.0×95.0mmから最高出力165ps/5800rpm、21.5kg-m/4500rpmのスペックとなっており、2Lモデルが4速ATと5速MTがあるのに対して、2.3Lモデルは4速ATのみとして、ゆとりある走りをウリにした。

熟成させたサスペンションによってスポーティな乗り味としなやかさ両立

 初代アスコットから受け継がれた、軽量で高剛性のボディに組み合わされるサスペンションも、熟成のホンダのダブルウィッシュボーン式で、イノーバ用に前輪のスプリングのバネレートを20%アップ。ダンパーの減衰力を伸び側で17%下げて、縮み側を37%アップ。後輪もバネレートを11%アップ、ダンパーの伸び側縮み側とも15%ダウンさせており、余裕あるサスストロークを確保しながらもしなやかで引き締まった足まわりとしていた。 ほかにもブッシュ類が強化され、ビスカスカップリングLSDとトラクションコントロール、4WS(4WSなし、オプション設定モデルもあり)+ABSのホンダ新次元複合型フットワーク「TCV」を効率的に働かせて、スタイリッシュながら高い居住性+実用性のイノーバに、ホンダ車に期待される軽快な走りをもたらした。

商品力はピカイチながら同門のライバルが仇となり販売は振るわず……

 このイノーバが難しいポジションだったのは、わずか1年後の1993年10月に背の高いハイト系となった2代目アスコット&ベルノ店用のラファーガが登場したこと。イノーバも1994年にマイナーチェンジを受けるものの、3ナンバー車の人気はホンダとしてはインスパイアであり、さらにアコードの人気は依然として高く、イノーバは魅力的なスタイリングと優れた実用性ながら、プリモ店扱いのクルマのなかでは高価格帯ということもあって(155.8~295.6万円)、一代限りで終焉を迎える。 現在はすべてホンダカーズに統合されているが、当時はシビックと軽自動車を中心とした「プリモ店」、アコードやインスパイア、レジェンドの「クリオ店」、プレリュードや初代NSXの「ベルノ店」という棲み分けは非常に上手くいっていた。だが、イノーバにとっては結果として仇となってしまった。 2代続いたアスコット自体がヒットモデルとは言えないので難しいところだが、これが高額車の販売に慣れていた他チャンネルであれば違ったのかもしれない。商品力が高く、魅力的なスタイリングでも大ヒットとはならず。イノーバは自動車販売の難しさを教えてくれてたモデルでもあった。

■ホンダ・アスコット イノーバ2.3Si-Z(CC5型)

〇全長×全幅×全高:4670mm×1715mm×1380mm

〇ホイールベース:2720mm

〇トレッド 前/後:1475mm/1480mm

〇車両重量:1360kg

〇乗車定員:5名

〇最小回転半径:5.5m

〇室内長×室内幅×室内高:1975mm×1395mm×1140mm(サンルーフ付きは1070mm)

〇エンジン:H23A型直4DOHC16バルブ

〇総排気量:2258cc

〇最高出力:165ps/5800rpm

〇最大トルク:21.5kg-m/4500rpm

〇サスペンション 前後:ダブルウィッシュボーン式

〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク

〇タイヤサイズ 前後:195/60R15

〇車両本体価格:295万6000円(東京地区販売価格)

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みんなのコメント

14件
  • 元々は英国版アコード、それをハードトップに仕立てたものですからね。商品のバリエーションを増やす試策の1つであって、まぁこういう事もあるわけですよ。
  • 足りなかったのは目立つグリルか、と今なら言うかもしれませんが、ロングノーズのハイデッキでクーペライクなデザインは今でもいい感じに見えます。早く出過ぎた?………は言い過ぎでしょうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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