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見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 前編 羊の皮を被った狼たち

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見た目に騙されてはいけないクルマ 35選 前編 羊の皮を被った狼たち

目立たないけど本気を出すと強いヤツ

アウディR8が速いことは、いまさら言うまでもない。たとえ芝刈り機のエンジンを積んでいたとしても、速いクルマに見えるはずだ。

【画像】見た目と性能のギャップ【スリーパーたちを写真で見る】 全79枚

一方、写真のフォード・マスタングのV8エンジンを搭載したローバー75のように、強力なドライブトレインをおとなしいボディの下に隠しているクルマもある。そうしたクルマは、ファンの間では「羊の皮をかぶった狼」という意味で「スリーパー(あるいはQカー)」などと言われている。

今回は、高出力のミニバンからサーキット走行可能なSUVまで、これまでに販売された究極のスリーパーを紹介する。クルマを見た目だけで判断してはいけない。

サンビーム・タイガー(1964年)

MGBに真っ向から対抗したサンビーム・アルパインのエンジンは、1.7L 4気筒の100psユニットが最もポピュラーだった。米国の消費者にアルパインをアピールするため、キャロル・シェルビーは、この4気筒を4.2Lのフォード製V8エンジンに換装するよう求められた。

その結果、1964年から1967年にかけて7000台以上が製造されたのが、サンビーム・タイガーである。

メルセデス・ベンツ300 SEL 6.3(1968年)

メルセデスの奇才、エーリッヒ・ワクセンベルガーは600セダンの6.3L V8を300 SELに搭載して誕生させたモデル。最高速度225km/h、0-97km/h加速7.3秒という、比較的コンパクトなクルマとしては非常に印象的な数字を叩き出したラグジュアリー・リムジンである。

1968年から1972年にかけて、6525台が製造された。

トライアンフ・ドロマイト・スプリント(1973年)

モーリス・マリーナの直後に発売されたドロマイト・スプリントは、BMWと互角に渡り合うために設計されたコンパクトな上級車である。気筒あたり4つのバルブを持つ最初の生産車であるスプリントは、2.0Lで128psを発揮する。

しかし、見た目はその半分以下のパワーしか持たないドロマイト1300とほとんど変わらなかった。現存するのは380台程度だという。

メルセデス・ベンツ450 SEL 6.9(1975年)

メルセデス・ベンツは1973年のジュネーブ・モーターショーで6.3の後継モデルを発表する予定だったが、オイルショックの影響で発売を1975年に延期した。購入者の多くは、待った甲斐があったと語っている。

450 SEL 6.9は、ロングホイールベースのW116のシャシーをベースに、先代のV8エンジンを6.8Lに拡大し、ドライバーの右足に290psを与えるようにチューニングされたモデルである。当時のパンフレットには、0-100km/h加速7.4秒、最高速度225km/hと記されていた。車重が1985kgあることを考えると、当時としては驚くべき性能であろう。

シトロエンと同様のハイドロニューマチック・サスペンションシステムを搭載し、大きなボディで乗員を包み込む。その性能に反し見た目はかなり控えめで、リアに「6.9」のエンブレムが付くだけで、450 SELとほとんど変わらなかった。1975年から1980年にかけて約7380台が生産され、非常に高価なモデルであった。

BMW M5 E28(1985年)

多くの人は、これが最初の「スリーパー」であると思い込んでいる。実際はそうではないにしろ、このE28型のM5は、比較的手頃な価格と日常の使い勝手を両立させた、超高速中型ファミリーセダンの雛形を作ったのである。

街角ですれ違う通行人は、まさかスーパーカーのM1と同じ290psの直列6気筒エンジンを搭載しているなんて、思いもよらないだろう。後のM5とは異なり、外観は標準モデルとほとんど変わっていないのだ。

フォード・シエラ・サファイアRSコスワース(1988年)

シエラ・コスワースといえば、あの巨大なリアウイングが目印だったが、後に登場したモデルでは控えめなデザインになっている。それでも、2.0L 4気筒ターボを搭載し、4輪駆動で最高出力220ps、0-97km/h加速6.6秒というスペックでライバルを驚かせた。

ランチア・テーマ8.32(1986年)

無名の3ボックスセダンに、フェラーリ製V8をノーズに詰め込んだだけのもの。2.0L 4気筒エンジンを搭載したテーマ・ターボと比べて、それほど速いわけでもない。

テーマ8.32が0-97km/h加速6.8秒、最高速度240km/hであるのに対し、半額で買えるテーマ・ターボは0-97km/h 加速7.6秒、最高速度225km/hとされている。さらに悪いことに、後期の8.32は7.2秒と225km/hに性能が落ちている。

メルセデス・ベンツ500E(1990年)

メルセデス・ベンツ500E(W124)は、安価でパワーのない兄弟車と見分けるには目を鍛える必要があった。パワートレインに合わせた専用のフロントバンパー、フェンダー、そしてもちろんリアエンドには「500E(後にE500)」のエンブレムが装着されていた。

エンスージアストにとっては拍手の対象だったが、一般人からすれば普通のタクシーと同じであり、サスペンションが壊れているように見えるだけだった。

SLから流用した5.0L V8を搭載するためには、前輪を押し出す必要があった。500Eは標準的なW124よりも幅が広いため、メルセデスの生産ラインには乗らず、ポルシェが18日かけてゆっくりと組み立てた。

V8エンジンは326psの出力を後輪に伝え、0-97km/h加速は6.1秒であった。1990年から1995年にかけて生産され、そのほとんど(1528台)が米国に送られた。BMW M5の影に隠れがちな500Eは、現代においても最も興味深いメルセデス・ベンツの1台である。

ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24v(1990年)

ロータス・カールトンも候補に上がるかもしれないが、残念ながら(?)ここで紹介するほど地味ではない。一方、ヴォグゾール・カールトン3000 GSi 24vは、標準の上級セダンとほとんど変わらないように見える。そして、その見た目に反して最高速度240km/hを出すことができたのだ。

ボルボ850 T5-R(1994年)

ボルボは850 T5-Rを作り、ワイルドな一面を見せた。英国ツーリングカー選手権(BTCC)の教訓を生かし、必要に応じてポルシェの意見を取り入れながら、ターボチャージャー付き5気筒エンジンの出力を一時的にオーバーブースト機能で240psまで引き上げたのだ。試乗走行では、0-97km/h加速は約7.0秒で、最高速度は250km/hに達した。

画像のようにイエローの850 T5-Rでは目立ってしまうが、ブラックやダークグリーンといった大人しいカラーリングも用意されている。そのカラーを選んだドライバーは、赤信号で勝負を仕掛けてくる無知な公道レーサーから賭け金を巻き上げることができた。

ボルボ850 T5-Rは、世界市場向けに約5500台が生産された(ほとんどがブラック)。今は500台ほどが走っているようだ。

フォルクスワーゲン・パサートW8(2001年)

フォルクスワーゲンの幹部は何十年もの間、パサートを高性能車としてではなく、家族向けの快適なモデルとして位置づける必要があると主張してきた。1977年には、GTIを作らせろという開発陣の要望を却下している。

しかし2001年、フェルディナン・ピエヒの指揮のもと、最高出力270psの4.0L W8エンジンをパサートに搭載すると、フォルクスワーゲン幹部は考えを改めるようになった。つつましいのは見た目だけで、全輪駆動システム「4モーション」の恩恵もあって0-97km/h加速6.3秒という性能を実現している。

パサートW8は多くの市場で6速MTが標準装備された。専用ホイール、小さなエンブレム、そして4本出しのエグゾーストチップから聞こえる8気筒の“控えめ”な咆哮により、家族向けモデルとは一線を画している。フォルクスワーゲンは、2001年から2004年までパサートW8を製造していた。

ローバー75 V8(2004年)

ローバーV8は、過去半世紀で最も賞賛されたエンジンの1つである。しかし、ローバー社の末期には、むしろ4気筒エンジンを搭載した手頃なファミリーカーを生産していたことで知られている。

ほんの一握りの75(とMG ZT)はフォードのクアッドカム4.6L V8エンジンを搭載。専用のハンサムなグリルとホイールだけが、他の75と一線を画していた。自然吸気で260psを発揮し、ZT用に385psのスーパーチャージャー仕様も開発されたが生産には至らなかった。

ちなみに、75 V8ツアラー(写真)は完全なスリーパーであるだけでなく、17台しか製造されなかったユニコーンであり、今日では9台しか残っていないようである。その希少性が近年、価値を大きく高めている。

スバル・レガシィ3.0R スペックB(2004年)

スバルには、物理法則を無視するモデルの膨大なバックカタログがある。レガシィ3.0RスペックBは、通常のAT車である3.0Rよりパワーに劣るが、マニュアル・トランスミッションと加速性を高めるためのレシオを持ち、0-97km/h加速をわずか6.5秒で駆け抜けることができる。

フォルクスワーゲン・フェートン W12(2004年)

フェートンは、4気筒のディーゼルエンジンを搭載したパサートと同じように無難な外観をしている。しかし、パサートに搭載されるエンジンは、最大でもわずか6気筒(一部のW8を除く)だが、フェートンには最高出力450psの巨大な6.0L 12気筒エンジンが用意されていた。

経済性を重視するならば、76kg-mという驚異的なトルクを発揮する5.0L V10ディーゼルを選択することも可能だ。

アウディS6 V10(2006年)

アウディのRSモデルは恐ろしいほど速いのだが、その分、見た目も派手に仕上がっている。しかし、Sモデルは違う。

S6と標準のA6を見分けるポイントは、4本出しのエグゾーストパイプと控えめなバッジくらい。441psのV10がフロントに搭載されているとは思えないほど控えめだ。価格は、まぁ、お高いのだが……。

ボルボS80 V8(2006年)

S80ほど無難に見える高級車もあまりないだろう。この大型セダンのほとんどは2.0Lディーゼルエンジンを搭載しているが、シルキーでスムーズな314psのヤマハ製V8(4輪駆動)も用意されていた。

しかし、見た目は「V8」のバッジが貼られただけで、シンプルな標準モデルと何ら変わりはない。このクルマもまた、少数しか道路を走っていないユニコーンのようなスリーパーだ。

フォルクスワーゲン・パサートR36(2008年)

W8エンジン搭載のパサートB5.5はすでに紹介したが、商業的にはまったく成功しなかった。にもかかわらず、パサートB6をベースとしたR36という後継モデルがあったことを覚えている人は少ないのではないだろうか。

300psの3.6L VR6エンジンを搭載したR36は、0-100km/h加速がわずか5.6秒と、W8より1秒近くも速い。そして、標準のパサートとの外観上の違いはわずかである。

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