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「現実なのか」って思うほど素晴らしい時間 アルファ・ロメオ1900でミッレミリアを走ってみた2人(2)

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「現実なのか」って思うほど素晴らしい時間 アルファ・ロメオ1900でミッレミリアを走ってみた2人(2)

5日間で2400km以上走るミッレミリア

2023年のミッレミリアへ参加した、マーク・デヴァニー氏が振り返る。「1950年代のクルマの場合、翌日以降は午前8時前後のスタート。スピードが出ない1930年代のクルマなどは、もっと早朝に出発していきます。そして、ホテルに戻るのは真夜中です」

【画像】ミッレミリアを走ってみた アルファ・ロメオ1900 往年の2600とジュリア 現行モデルも 全99枚

「ゆっくり休むことはできないと、事前に忠告は聞いていました。困難なほどではありませんでしたが、かなりの集中力と体力は必要。運転は大変です」

「しかも、実際は3日間で1000マイル(約1609km)ではなく、5日間で1500マイル(約2414km)も走るんです。最長16時間運転した日もありました」

アルファ・ロメオ1900 ベルリーナは、ほかにもう1台が出場していた。アルファ・ロメオ・ミュージアム所蔵の、魅力的なスポルティーバも走ったという。「多くの応援を受けながら、素晴らしい時間を過ごせました。現実なのか、って疑問に思うほど」

2人の1900も、好意的な反応を受けたという。ガルウイングのメルセデス・ベンツ300SLや、ポルシェ356といった、お金持ちが乗るクルマとは対照的なことが、プラスになったようだ。

「356は、レース用ガソリンで走っていました。サービスクルーが、給油する様子を見ましたからね。その後ろを走ると、目に染みるんですよ」

メルセデス・ベンツがスポンサーとして加わっており、ゲスト用のホスピタリティカーとして走ったSLもあった。「招待されたVIPは4時間のスティントを運転し、次の人へ交代していくんです」。とマークが説明する。

コロッセオを通り過ぎたことも覚えていない

ル・マン24時間レースで、ザウバー・メルセデスをドライブしたヨッヘン・マス氏も参加していた。彼らは攻めた運転で早めにチェックポイントへ到着するものの、適切なタイムスタンプの刻印のため待つことがあり、流れを妨げていたと振り返る。

「かなり暑く、タイムトライアルの出走前に(ガソリンが気化する)ベーパーロック現象が心配で、木陰で待つことにしました。しばらくすると、300SLに場所を代われと追い出されましたが」。とマークは愚痴をこぼすが、殆どの参加者は友好的だった。

「アルファ・ロメオ・ジュリアに乗っていた男性は、次は1900 ザガートで参加したいと話していました。フェラーリは、ミッレミリアには向いていないと。彼はアメリカのフェラーリ・コレクターで、色々理解しているのでしょう」

2日目は午前7時のスタート。東海岸のサンマリノでコーヒー休憩を挟み、南へ下ったセニガッリアでランチを取った。

1900の車内へ追加した卓上ファンの風で涼みながら、マークはロードブックとトリップメーターの読み方を理解していった。「タイムトライアルは、平均速度が低め。ダッシュボード上に、10個もタイマーを並べているコドライバーもいました」

「コツを掴めていれば、もっと上位に入れたかもしれません」。とマーク。「しかし、とても疲れていましたけどね」。とシェリダン・ボウイ氏。

夕方にはローマへ到着。「コロッセオの横を通り過ぎたことも覚えていません。途中で警察の護衛があったのですが、渋滞で見失い、諦めてホテルへ向かいました」

約100台の出場車が事故や故障でリタイア

1900は、クラシックカーとして優れていることもわかったという。ルーフが備わり、暑い日差しから逃れられる。窓を開けば、風通しも良かった。「とても快適でした。クロス張りのシートも、通気性が良く暑い日には効果的でしたね」

シングルキャブレターでも、遅くはなかった。「スルスルとスピードが上昇します。フェラーリで出場していた人も、速さに驚いていたようです」。シェリダンが続ける。ブレーキも、僅かに右が強く効いていたものの、調子は良かったそうだ。

3日目はローマから北上し、パルマへ。シエナでのランチが素晴らしかったと、2人は回想する。

交通量の少ない田園地帯では、カーブが連続する走りがいのある道が続いていた。速いクルマが、危険な追い越しをかけてくる場面も多かったらしいが。実際、2023年のミッレミリアでは、約100台の出場車が事故や故障でリタイアしている。

金曜日にミラノへ戻り、ストラダーラ、パヴィアを経由し、北西部のアレッサンドリアへ。土曜日はスタート地点のブレシアへ戻りゴール。初出場ながら、2人は完走を果たした354台中の314位を掴んだ。

「これまで地図もろくに読んだことがなかったので、完走だけでも偉業です」。とマークが自らを称える。「初参加でも、徹底的に楽しめました。これ以上の経験は、もう得られないかもしれませんね」。とシェリダンも満足気だ。

一生に1度のイベント 法外な金額とはいえない

ミッレミリアを走るには、最低でも1万6000ポンド(約296万円)のエントリー料が必要になる。2人の参加が、気軽なものではなかったことは間違いない。だが、一生に1度のイベントとして、法外な金額ともいえないだろう。

多くの参加者は、数10万ポンド(数1000万円)のクラシックカーを飛行機で運んでくる。プライベートジェットに乗って、ブレシアへやってくるドライバーも少なくない。

それに対し、グレートブリテン島からイタリア半島の付け根まで、シェリダンとマークは2日をかけて自走で向かった。アルファ・ロメオ1900が載ったトレーラーを引っ張ったのは、高級SUVのマセラティ・レヴァンテだったけれど。

協力:1000ミリア

アルファ・ロメオ1900 スーパー(1950~1959年/欧州仕様)のスペック

英国価格:1300ポンド(新車時)
生産数:1万7390台
全長:4419mm
全幅:1600mm
全高:1473mm
最高速度:164km/h
0-97km/h加速:17.1秒(予想)
燃費:6.4-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1169kg
パワートレイン:直列4気筒1975cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:94ps/5400rpm
最大トルク:13.2kg-m/3000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

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