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次なる中国人F1ドライバーの誕生には時間がかかると考える周冠宇。企業らの関わりが必要だと主張、ホンダの育成にも注目

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次なる中国人F1ドライバーの誕生には時間がかかると考える周冠宇。企業らの関わりが必要だと主張、ホンダの育成にも注目

 キック・ザウバーの周冠宇は、母国で開催されたグランプリに中国人F1ドライバーとして初めて参戦するという興奮とは裏腹に、将来F1に中国人の才能の持ち主が登場する可能性に疑問を投げかけている。

 F1で3シーズン目を迎えている周には、確実にプレッシャーがのしかかっている。周は、力強いパフォーマンスを目指すだけでなく、国際的なモータースポーツのヒーローを切望している国民の期待も背負うことになるだろう。

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 周は、モータースポーツの最高峰に触れた最初の中国人ドライバーではない。2012年にはすでに、馬青驊(マー・チンホワ)がHRTからフリー走行に参加している。周がグリッド上での存在感を維持していることは大きな前進を意味するが、現在24歳の周は、他のスポーツのアスリートと比べると、中国人の若手ドライバーには直面することになる大きなハードルがあると認めている。

「モータースポーツやF1における最大の違いは、国の支援をあまり受けられないことだ」と周は木曜日に上海でメディアに語った。

「もちろん、F1ドライバーになるにはある程度の財政支援が必要だ。それははっきりしている。でも中国には、資金があったり、F1に参加できることへの関心を持つ家族や人々が十分にいるとは思わない」

「多くのことが必要だろう。趣味でレーシングドライバーになるのは簡単だ。でもこのプロの道を歩むのは簡単なことではない。ここには20人のドライバーしかいないんだ。犠牲の多さもあるし、それぞれのドライバーもここにいるために舞台裏でハードワークをしている。とても複雑なことだ。それに時間もかかる」

 周は、モータースポーツの文化に関して言えば、中国はまだ若い国だと述べた。

「主にモータースポーツの歴史や文化は、20年前に始まったばかりだと思う。たとえばヨーロッパを考えてみると、人々はF1にどれだけの情熱を持っているだろうか」

「おそらくこのグランプリは、チケットの面では記録的なものになるだろう。20分や30分で完売したんだ。以前は、レースの2、3週間前でもいくつか席を見つけることができた。今回のようなことはこれまでにはなかった。この国は成長しているだけでなく、大企業の進出もある。より多くの企業やメーカーが、さまざまなF1チームと関わり始めている」

 中国人ドライバーたちが直面している急な登り坂を考えると、周はたとえ自身の存在が将来の世代を鼓舞しているとしても、すぐにF1グリッドに同胞が現れるとは思えないという。今年のFIA F2とFIA F3に中国人ドライバーがいないことは、周の主張を裏付けている。

「これからの5年や10年の間に、このグリッドにより多くの(中国人)ドライバーを登場させるようにするのは非常に難しいと思う」

「たとえば、完璧な例がある。ホンダだ。彼らには『ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)』があり、若いドライバーが幼い頃から育成されている。日本のモータースポーツ文化は非常に深いものだ」

「でも僕たちはそれを構築する必要があるし、20年では十分ではない。同じようなレベルで構築するには、おそらくさらに5年や10年がかかる。その後ヨーロッパに進出し、うまくいけばフィーダーシリーズに入ることができるだろう。レースに勝利し、チャンピオンシップをトップでフィニッシュするなど、好成績を収めることができれば、F1への道へと進むことができるが、今後数年間はどのドライバーにとっても、ここにいるのはそれほど簡単な仕事ではないと思う」

 困難にもかかわらず、周は母国でモータースポーツの仕事の波を巻き起こすため、自分の役割を果たしたいと願っている。

「この国のロールモデルになるのはうれしいことだ。それでも、努力を注ぐことが必要だと思う。そして、若い世代を支援して前進させるために、多くの企業やマニュファクチャラーに関わってもらうことだ」

「自分に何ができるか見てみよう。僕がレースから引退する頃にはもっと力になれるかもしれない。でも今は若い人たちに刺激を与えたいと思っているし、彼らが長い道のりを歩めるように願っている」

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みんなのコメント

5件
  • 灯り
    日本にしたってまだまだモータースポーツへの世間の理解は低いし、関わり度合いも低い。
    欧州や米国ではモータースポーツは市民権を得た立派なスポーツ。
    F1の世界なんかを見ていても分かるように、欧州のメーカーは景気が悪かろうと簡単には撤退しない。
  • ******
    日本のメーカーは中国市場を取りたいだろうから
    中国人F1ドライバーに出資するかもな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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