絶大な人気を誇るトヨタの商用バン、サクシード/プロボックスが改良された。歩行者検知機能の追加に加え、ハイブリッド車も設定された。まずはハイブリッド車を試乗してみた。(ホリデーオート2019年3月号より)
最大限の経済性と運転者のストレス軽減を最優先したサクシード ハイブリッド
開発統括の小西良樹氏曰く「一番エコでタフなトヨタ・ハイブリッド」。ジャパンタクシーに続く「働くハイブリッド」プロボックス/サクシードだが、商用ニーズに応えるために、システム的に共通するヴィッツやアクアとは細部で異なる仕様が与えられている。
ゴールド免許のちょっと意外な取得条件。無事故・無違反の定義とはなにか?【くるま問答】
最大の違いは燃料タンク容量だ。ヴィッツ系よりも6L増しの42L。契約GSで格安で給油して、1円でも2円でも燃料費を節約したい商用バンには、長い航続距離は強力なウリになる。
荷物を積んでいる時にしっかり止まるために、ECB(電子制御ブレーキシステム)などの制御も細かく変更された。凍結路などでも確実に停止できるように調整されているという。
もっとも実際に試乗してみると、そうした細部のこだわりに関するアピールはとても控えめ。普通に乗り回しているぶんには、ことさらそのアドバンテージを実感することは難しい。
74㎰/111Nmを発生する1.5L直4エンジンと61㎰/169Nmを発生するモーターから生まれる加速感に心踊ることはない。ハンドリングはダイレクトだけれど、面白みがあるわけでもない。
けれども、そうした刺激の少なさこそが、実は仕事の相棒としてのプロボックス/サクシードにもっとも求められている才能なのかもしれないと思う。
なにしろ主な開発テーマとして「優れた経済性」ととに考え抜かれているのが、乗り手である「営業マンのストレスを減らす」こと。1Lの紙パック飲料を入れるスペースや、お弁当を食べるためのテーブルのカタチにまでこだわり抜いたクルマにとって、ファンな走りは二の次だ。
それよりも長時間運転での疲労が少なく、休憩時間が快適に過ごせることが重要なのだ。
そんな視点で、普通の住宅地の道をトコトコと走り回って見た。わずかな時間だけれど、働く人の気持ちに寄り添って「ドライブ」。乗り心地や静粛性といった快適性能面では、しっかり「ハイブリッドらしさ」が感じられた。
いろいろな意味でストレスが少ない運転は、実はとっても楽チンで心地良いのだ。(文:神原 久/写真:早川俊昭)
サクシード TX(1.5Lハイブリッド・2WD) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4245×1690×1525mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1160kg
●エンジン型式・種類:1NZ-FXE・直4DOHC
●排気量:1496cc
●エンジン・モーター最高出力:74ps・61ps
●エンジン・モーター最大トルク:111Nm・169Nm
●システム最高出力:73kW[100ps]
●WLTCモード燃費:22.6km/L
●トランスミッション:電気式無段変速機
●タイヤサイズ:155/80R14
●価格:196万5600円
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