マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の圧勝で幕を閉じたF1中国GPのチェッカー直後、いつも通りの勝利ということで淡々とマシンを降りたフェルスタッペン以上に勝者のような歓声を浴びたのが、14位でフィニッシュした周冠宇(キック・ザウバー)。史上初の中国人F1ドライバーが、ついに母国凱旋を果たしたのだ。
2021年のFIA F2でランキング3位と好成績を残した周は、2022年にアルファロメオ……現在のキック・ザウバーからF1デビューを果たした。しかしコロナ禍の影響で中国GPは2019年を最後に開催されておらず、周が母国GPを走ることは叶わずにいた。
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しかし2024年、ついに中国GPが復活した。F1で3年目のシーズンを迎えていた周は、母国中国のファンが埋め尽くすグランドスタンドで、大きな歓声を浴びながらレースを走るという初めての経験に、大いに心を動かされていた。
そして決勝フィニッシュ後のパルクフェルメは、トップ3以外のマシンはピットロードに指定されるのが通常だが、周は特別にホームストレート上にマシンを停めることを許された。いつもはトップ3のドライバーにしか用意されないボードだが、今回ばかりは周専用のモノも設えられていた。そこでマシンを降りた周は、グランドスタンドからの大歓声を浴び、感極まって両手で顔を押さえてしゃがみ込む一幕もあった。
周はチームのプレスリリースの中で、次のように述べた。
「今週末は素晴らしい経験になった。母国でレースをすることを何年も夢見てきて、それがようやく叶った」
「スタンドにいる人たちの熱気や愛に触れるというのは、これまでに経験したことがなかった。特にインラップは忘れられない。多くの人たちが声援を送ってくれて、名前を叫んでくれた。僕は各グランドスタンド、各コーナーでファンに手を振った。これは毎週末やっていることだけど、今回は特別な感情にさせられたことは言うまでもない」
「そしてパルクフェルメでマシンを停めた時……これは中国GPを走った史上初の中国人ドライバーになったという栄誉を感じられる特別な瞬間だった」
一方で、「レース自体はタフなものになった」と振り返る周。予選はQ1で敗退し16番手からのスタートとなったが、ポイント争いに加わることはできず。終盤にソフトタイヤを履いてプッシュしたことでいくつかの見せ場を作り、最終的に14位でフィニッシュした。
「特に最初のスティントはグリップがなく、色んなところでスライドしていたけど、なんとか持ちこたえることができた」と周は言う。
「レースを完走できれば嬉しいという訳ではないし、僕は全力を尽くして、全てを出し切るようにしているんだ。残念ながら後方からのスタートということでポイントを獲得することは難しいと分かっていたけど、自分たちのペースや、チームとクルーがピットストップを改善してほとんどクリーンに送り出してくれたことなど、ポジティブな要素も見つけることができた」
「あのままピットに入らなければポジションをキープできたと思うけど、僕たちはソフトタイヤに変えてどうなるかを確かめるギャンブルをした。何度もオーバーテイクできたし、マシンのフィーリングも良かった。この週末に向けてのプレッシャーを考えれば、自分の仕事ぶりには満足している。昨日の午後と今日は少し厳しかったけど、やり切ったと思っている」
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みんなのコメント
週末ザウバーは調子良かったのに決勝は厳しかったですけど
ジョーは完走して良かった