スタイルはノーマル+α。それでも目立っていた理由とは?
2023年のKING OF K-CAR Meetingで、AMW的に「アダルト賞」をあげたいのが、“あむたん”さんの2代目ダイハツ「タントカスタム」。大型の前置きインタークーラーがただものではない雰囲気を醸し出すフロントバンパーを除けば、スタイルはノーマル+αの範囲を超えてはいない。
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オーバーフェンダー&極度なキャンバーなしのスマートさにこだわる
それでも、2度見、3度見してしまうのは、深みと落ちつきのあるシルバーのボディカラーと車高や各部のクリアランスなどが絶妙にバランスされて(整って)いるからだろう。ショップの代表として大阪オートメッセにも展示されたのも納得だ。
「目指したのはポルシェのようなシンプルで質の高い佇まい」という“あむたん”さん。エアロパーツは前後バンパー、サイドステップはプレジアティシモ製を加工装着し、ポルシェ純正色のプラチナシルバーに全塗装している。
エキスパートのオリジナル車高調で限りなくロワードした足もとには、オールドスタイルな2×5のツインスポークの3ピースホイール(ガルビノ)を組み込む。6.5J×17のサイズをツライチに収めるため、リアは純正とトヨタ「ヴィッツ」用のアクスルを使ってナロー化。それに伴ってサスペンションの取り付け位置も15mm内側に移動している。オーバーフェンダー非装着&極度なキャンバーを付けることなくフィットさせ、スマートなスタイルにもこだわった。
自分の理想形を具現化するには苦労がつきもの
ポルシェといえば強力なストッピングパワーも外せないポイントだ。ホイールの奥に燦然と輝くのは、エンドレス最高峰のモノブロックキャリパー。性能面だけでなく、見た目でもらしさを与えている。キャリパーはボディカラーに合わせてオプションのシルバーを選択し、さりげなく高性能をアピール。分かる人が見れば唸る仕様を目指した。
フロントバンパー内に収まるインタークーラーはトラストのS14型日産「シルビア」用だ。ダミーではなく、機能部品としてパフォーマンスのアップに貢献する。ただ、あまりにサイズが大きくグリルを覆い尽くしているため、ラジエターに空気が当たらず、油温/水温ともに上昇。ボンネットにアウトレットを設ければ改善するのだが、プレーンなスタイルを損ないたくないと、ボンネットフード裏にファンを設け、熱気を外に逃がすことで、冷却性を高めた。自分の理想を形にするには、ときにこうした面倒で想定外の加工も必要なのだ。
インテリアはブラック×タンカラーで上質感をプラス
もちろん、“あむたん”さんのポルシェ化へのこだわりは外装だけに止まらない。内装は落ち着きのあるタンカラーをセレクトした。前後のシートとドアトリムの一部はダブルステッチ仕上げの立体的な縫製を施す。ワンオフなのでフィット感も抜群だ。
ダッシュボードはヨーロッパのスポーツモデルで見かけるブラックとタンカラーの2トーンカラーでコーディネート。ルーフライニングはポルシェをイメージした黒のメッシュ生地で張り替えるなど、プレミアムな空間を構築しており、大人が乗っても様になる。
ラゲッジにはロックフォード製のスピーカーとウーファーを搭載し音響システムを強化。LEDでアクセントを加えているが、あまり派手にしたくないと必要最低限に留めている。
このタント、個人的には1980~1990年代前半まで販売されていたルノー「サンク」のインテリアの質感を高め「小さな高級車」と言われたグレード「バカラ」の現代版にも思えた。軽自動車だからという劣等感は一切なく、センスにあふれ、見ても乗ってもいい。まさにプレミアムな1台に仕上がっていた。
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