現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > バブルだから実現した三菱とAMGのコラボ! 「デボネアV 3000 ロイヤル AMG」はコスメチューンだった!?

ここから本文です

バブルだから実現した三菱とAMGのコラボ! 「デボネアV 3000 ロイヤル AMG」はコスメチューンだった!?

掲載 29
バブルだから実現した三菱とAMGのコラボ! 「デボネアV 3000 ロイヤル AMG」はコスメチューンだった!?

多彩なラインアップの頂点がAMGだった

 以前初代モデルを紹介した三菱のフラッグシップ・サルーン、デボネア。初のモデルチェンジを受けて1986年8月に登場した2代目は、V6エンジンをフロントに横置きマウントした前輪駆動にコンバートされていたものの、フォーマルな4ドアセダンとして登場していました。

「デボネア」は走るシーラカンス! 「東京オリンピックからバブル前夜まで」昭和を駆け抜けた三菱のフラッグシップとは

 ただし、ライバルにはハードトップもラインアップされていましたが、デボネアは4ドアセダンの1車型だったので、フォーマルだけでなくパーソナルなユーザー層にも対応する必要から各種グレードが投入されました。その最大のものはAMG仕様でした。

三社の思惑が一致してモデルチェンジを実施

 初代デボネアは、1963年の東京モーターショーでお披露目され、翌1964年に製造販売が開始されています。敗戦後にGHQによって3社に分割された三菱重工業が、1964年の6月にふたたび合併し、新生の三菱重工業としてスタートした直後に発売。軽乗用車のミニカから大衆車のコルト600、小型乗用車のコルト1000に加えて2Lクラスのフラッグシップモデルを投入することで、フルラインアップを完成させる重要なミッションを受けての誕生でした。

 まだトヨタ・クラウンにも2ドアハードトップが誕生する前で、クラウンや日産セドリック、プリンス・グロリア、そしていすゞベレルなどライバルも、すべて4ドアセダンの1車型です。こうしたライバルのなかで、ベレルは1967年に販売中止となりましたが、クラウンに2ドアハードトップが追加されると、1966年にプリンスを吸収合併した日産は、1972年のフルモデルチェンジでセドリックとグロリアを共通ボディで開発。同時に2ドアハードップを誕生させています。

 こうしたライバルの活動を、指をくわえてみていた格好となったデボネアは、バリエーションの追加やモデルチェンジのタイミングを失ってしまい、長期にわたり初代モデルを細々と生産継続せざるを得ませんでした。もちろん、三菱(1970年には三菱重工業の一事業部門から独立分社し三菱自動車工業が誕生していました)も次期モデルの必要性は十分に感じていて、度々、開発をスタートさせたとも伝えられましたが、それが本格化する前に頓挫してしまうケースが何度か繰り返されたようです。

 しかし、遂にデボネアの次期モデル=2代目モデルが登場することになったのです。なかなか実現できなかったフルモデルチェンジが可能になったのは、ふたつの理由が考えられています。三菱としては、次期フラッグシップ・サルーンは前輪駆動と考えていましたから、搭載するエンジンは横置きのV6エンジンしか考えられなかったようですが、当時三菱にはV6エンジンの手持ちがありませんでした。

 ギャランΣ/エテルナΣなどに搭載する展開案も考えられましたが、それにしてもV6エンジンを新規に開発するのは荷が重かったのでしょう。ところが当時提携関係にあったクライスラーからV6エンジンを大量に購入したいとの申し入れがあり(コンペによる入札制だったとも)、これに応じることで開発コストの償却も見えてきたことが大きな理由となったようです。

 またやはり提携関係にあった韓国の現代自動車(ヒョンデ)には「1988年に開催されるソウル・オリンピックまでに“自国製”の高級車が欲しい」との思いがあったようです。韓国内で屈指の現代財閥(現代グループ)をバックにした韓国のトップメーカーとしては、国内で初開催となるオリンピックにおいてVIPの送迎用に海外製の車両を使用する訳にはいかなかったのでしょう。

 その時点ではフラッグシップ・サルーンを自ら開発する技術力もなかったことから、三菱に頼らざるを得なかったと推察されています。ともかくこうしたバックグラウンドの状況が整って、2代目デボネアの開発計画は正式にスタート。1986年7月に登場の運びとなりました。

4ドアセダンの1車型でフォーマルにもパーソナルにも対応

 待望久しかったデボネアの2代目は、デザインテイストこそ違っていましたが、初代モデルと同様にスクエアな3ボックススタイルでまとめられていました。そして、そのスクエアなボディを強調したかのように、前後左右、4枚のドアはプレスドアとされ、幅広くとったCピラーにエクストラウインドウを設けて6ライト“風”なデザインとしたのも印象的でした。

 シャシーは、アッパー・ミディアムの4ドアサルーン、ギャランΣ/エテルナΣのプラットフォームをベースに、ホイールベースを135mmストレッチして採用。フロントのマクファーソン・ストラット式+コイルスプリング、リヤの3リンク式リジッドアクスル+コイルスプリングというサスペンションも、基本的にはキャリーオーバーとなっていました。

 ギャランΣなどでは上位グレードモデルに電子制御サスペンション(ECS)が採用されていましたが、デボネアでも3000ロイヤルなどの上位グレードには採用。これは運転状況によってサスペンションの特性をソフトorハードに切り替えられるだけでなく、ロードハイト(最低地上高)もノーマルからハイ&ローに自動切り替えできるもので、もちろん手動での変化も自由自在で、単なるフラッグシップ・サルーンではなく、スポーティな走りも十分に楽しめるパーソナル・セダンの要素も併せ持つことになりました。

 ブレーキは前後ともにサーボで強化されつつABSでコントロールされる、より高機能で高性能な4輪ディスクを採用。フロントにはベンチレーテッド・ディスクがおごられていました。搭載されたエンジンはともにV6のSOHCで、排気量が1998cc(ボア×ストローク=74.7mmφ×76.0mm。最高出力は105ps)の6G71 型と、2972cc(ボア×ストローク=91.1mmφ×76.0mm。最高出力は155ps)の6G72型の2種類でした。

 先代モデルと同様に2代目となったデボネアも4ドアサルーンの1車型で、ライバルのような2ドア/4ドア・ハードトップは用意されていませんでした。結果的に4ドアサルーンだけでフォーマル派のユーザーからパーソナル派までをカバーする必要があったからなのか、登場から3カ月後には、3000ロイヤルをベースに、当時からメルセデス・ベンツのチューナーとして知られていたAMGのエアロパーツを組み込んだ特別仕様が追加設定されることになりました。

 このあと、三菱はギャランにもAMG仕様を設定していますが、ギャランの場合は1989年の登場で、専用の外装だけでなく専用トランスミッションの採用や、エンジンへのチューニングなど機能面でもアップデートされていました。しかし、デボネアの場合はエアロパーツの組み込みと専用アルミホイールの採用がメインで、機能的にはベースモデルの3000ロイヤルと同一仕様とされていました。

 インテリアに関しては専用のステアリングホイールが目に留まります。デビュー当初はほかのモデルと同様にルーズフィットの、まるでソファとでも呼びたくなるようなシートが装着されていましたが、のちのマイナーチェンジで通常のシートに変更されることになりました。

 またこれもパーソナル志向のための施策だったのでしょうか、1988年にはイギリスの高級アパレルメーカー、アクアスキュータムとのコラボレーションで、彼らが手掛けた内装を持ったデボネア・アクアスキュータムも投入しています。残念ながら営業的には苦戦は免れませんでしたが……。

こんな記事も読まれています

マツダ[ルーチェ]の怪! 広島ベンツは本家を超えたのか 当時の評価はいかに?
マツダ[ルーチェ]の怪! 広島ベンツは本家を超えたのか 当時の評価はいかに?
ベストカーWeb
招待枠からル・マン参戦でいきなりLMGT3ポール獲得! インセプション・マクラーレン「WEC常連組と戦えるパッケージ」
招待枠からル・マン参戦でいきなりLMGT3ポール獲得! インセプション・マクラーレン「WEC常連組と戦えるパッケージ」
motorsport.com 日本版
クルマに備わる「謎のA/C」何のボタン? いつ押したらいい? 意外と知らない“2つの重要な機能”とは?
クルマに備わる「謎のA/C」何のボタン? いつ押したらいい? 意外と知らない“2つの重要な機能”とは?
くるまのニュース
米ファクトリアルがメルセデスベンツにリチウム金属個体電池のサンプルを納入…有料会員記事ランキング
米ファクトリアルがメルセデスベンツにリチウム金属個体電池のサンプルを納入…有料会員記事ランキング
レスポンス
[ランクル250]は想像超えの走破性! [納期2年以上]の噂も実際に買えるのか!?
[ランクル250]は想像超えの走破性! [納期2年以上]の噂も実際に買えるのか!?
ベストカーWeb
クルマ好きの心に突き刺さる歌詞に「涙あり」「笑いあり」! ドライブシーンの描写が見事すぎる名曲を独断と偏見で5曲選んでみた
クルマ好きの心に突き刺さる歌詞に「涙あり」「笑いあり」! ドライブシーンの描写が見事すぎる名曲を独断と偏見で5曲選んでみた
WEB CARTOP
「狭い道30キロ規制化」それでは困る? 生活道路だけじゃない「実態に即して」と国家公安委員長 改正の背景に“コスト削減”
「狭い道30キロ規制化」それでは困る? 生活道路だけじゃない「実態に即して」と国家公安委員長 改正の背景に“コスト削減”
乗りものニュース
新車買うなら[加入必須]?! 最近激推しされる[メンテナンスパック]って本当にいる?
新車買うなら[加入必須]?! 最近激推しされる[メンテナンスパック]って本当にいる?
ベストカーWeb
日産「新型コンパクト“ミニバン”」世界初公開! “まるで部屋”な「オシャ木目内装」採用! 「大本命」な車中泊仕様「バネット“マイルーム”」に反響集まる
日産「新型コンパクト“ミニバン”」世界初公開! “まるで部屋”な「オシャ木目内装」採用! 「大本命」な車中泊仕様「バネット“マイルーム”」に反響集まる
くるまのニュース
日産 ノートオーラのマイチェンと90周年記念モデルも同時発売
日産 ノートオーラのマイチェンと90周年記念モデルも同時発売
Auto Prove
トヨタ「ハイエース車中泊仕様」をお披露目! めちゃワイルドな「オーバーランダー」がカッコいい! タフ感あふれる「新モデル」の魅力とは
トヨタ「ハイエース車中泊仕様」をお披露目! めちゃワイルドな「オーバーランダー」がカッコいい! タフ感あふれる「新モデル」の魅力とは
くるまのニュース
最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?
最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?
バイクのニュース
[リッター36km]を記録で燃費1位に!! 軽量ボディの[ヤリス]は走りも軽快だった!
[リッター36km]を記録で燃費1位に!! 軽量ボディの[ヤリス]は走りも軽快だった!
ベストカーWeb
おかえりLMP2! ル・マン24時間は変わらず競争激しい中間クラスにも注目
おかえりLMP2! ル・マン24時間は変わらず競争激しい中間クラスにも注目
motorsport.com 日本版
【ホンダ N-VAN e:】新型軽商用EV発売…実質的な価格は200万円以下、一充電走行距離245km
【ホンダ N-VAN e:】新型軽商用EV発売…実質的な価格は200万円以下、一充電走行距離245km
レスポンス
ホントに軽自動車!? めちゃワイルドな「超ゴツゴツ」ボディがカッコいい! タフに使える「悪路も走れる軽自動車」3選
ホントに軽自動車!? めちゃワイルドな「超ゴツゴツ」ボディがカッコいい! タフに使える「悪路も走れる軽自動車」3選
くるまのニュース
ユーザーの不満は「充電関連」がほとんど! 電気自動車にまつわる「ここを改善してよ」なポイント
ユーザーの不満は「充電関連」がほとんど! 電気自動車にまつわる「ここを改善してよ」なポイント
WEB CARTOP
スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGに反響も
スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGに反響も
くるまのニュース

みんなのコメント

29件
  • 刑事ドラマで神田正輝が乗ってた。
  • デボネアのAMGはかなり微妙だったけど、ギャランは結構カッコいいんだよねー。
    カタログだけ見ると。。。実車見ると、「あれ?何か違う」ってなっちゃうんだけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

299.8671.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

67.5178.0万円

中古車を検索
デボネアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

299.8671.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

67.5178.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村