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【尊い…】ランボルギーニ・ウラカンSTO サーキットで自在、レーサー直系の醍醐味とは

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【尊い…】ランボルギーニ・ウラカンSTO サーキットで自在、レーサー直系の醍醐味とは

スーパートロフェオを、公道に

執筆:Shinichi Katsura(桂伸一)

【画像】ウラカンSTO 富士を攻める【4000万円超えのスーパーカー】 全36枚

編集:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

ミドに搭載される自然吸気5.2L V10ユニットは640ps/57.6kg-mを誇る。

このパフォーマンスを本来の四輪駆動から、後輪のみに伝達し、軽量化と空力を突き詰めたスーパースポーツ、ランボルギーニ・ウラカンSTO(スーパートロフェオ・オモロガータ)に試乗した。

ある意味、パワフルな2WDのスリリングな動きも期待しつつ向かった先は、日本を代表するハイスピードコース、富士スピードウェイ。

実はこれ、日本を含むウラカンSTOのワールドツアーの一環で、6台のSTOがその魅力を発散させる。

もちろんイベントのメインは有力カスタマーにその威力と効能を堪能させることにあるが、それをレポートする我々媒体も、世界のスポーツカー市場の“深化の度合”に改めて衝撃を受ける。

軽いドアを開け、コクピットに滑り込んだ。

スコッと納まるシートからステアリング位置の調整幅、寝そべったドラポジが決まるところまで、気分はレーシングドライバー。タイトではあるが、しかしスポーツカーとしては快適空間である。

ミサイル発射の如く、スターターのカバーを跳ね上げスイッチONでV10は一発で目覚めた。

1周、2周、高まる期待とグリップ

アクセルペダルの動きにワッとフケあがり、止まるようにストンと回転落ちする鋭いレスポンスは、まさにレーシングユニット。

低回転の獰猛な唸りと、8500rpmを許容する高周波サウンドが後方から響いてきて、ミドシップである事を再認識する。

エンジンとドライバーの間を遮るように走るロールケージは、もちろん安全性に加えて強靭なシャシー補強にもなり、走り出せば“1mm操作すると正確に1mm動く剛体”だけが持つ応答の確かさにも貢献。

事前説明で分かったのは、新たに専用開発したブリヂストン・ポテンザ・スポーツが、レーシングスリックタイヤにも劣らないグリップ力、そして正確なハンドリング特性を持つということ。

発熱によるグリップ力の低下を抑制する安定性と、それが深く関係するサーキットのラップタイムの数値につながる。

試乗は4周×2回と、1周のホットラップという3セッション。

まずは走行モードを、車両安定制御も含む「STO」に。

タイヤの接地感、路面に張り付いたような喰い付き感は、1~2周のウォームアップ後に発揮される。

ここにウラカンのレース仕様から受け継いだ空力、つまり走行風による下向きの力、ダウンフォースがフロントに加わることで、路面を掴んで離さない感覚は劇的に増える。

それが何に関わるのかと言うと、ハイスピードのまま“自在に曲がる”特性にである。

コーナーへ ハンドリングは自在

注目は、エンジン出力がダイレクトに伝わる「トロフェオ」モードにある。瞬時にレブリミットへと向かい、回転リミッターの連打を避ける意味でも、レッドゾーンに入る手前で右のパドルを引きシフトアップ。

驚くほど軽快で鋭い0-100km/h加速(公称値:3秒!)はもちろん凄まじいが、0-200km/hの9秒というタイムこそ驚く。

実際に富士の最終コーナーを2速フルパワーで立ち上がり、3、4とリズミカルにシフトアップ。5速8500rpmでADVANゲートをくぐる時には、230km/hの速度に達している。

1339kgという重量を感じさせない車速のノリは、何とも軽快でフォーミュラマシンのようだ。

容易に危険な速度域に達してしまうSTOだけに、頭を抑えるペースカーも一流ドライバーが担当する。

筆者の抑え役は元フランスF3チャンプの福田良選手。氏の上手さは後続ドライバーの技量を瞬時に嗅ぎ分けること。追いつくと逃げて、その先でジワリと車間を縮める。つまり後続は減速タイミングを早くする必要がある。

6速は286km/hに達したところで減速開始。前走車が居なければアクセルを戻さずに第1コーナーへのアプローチまで行ける。

車体はビタッと地面に張り付いた安定性があり、ステアリングを左右に転舵してラインを変えることも自在。280km/h時に420kgものダウンフォースが加わるのだから、当然と言えば当然である。

公称の最高速度は310km/h。富士の約1.4kmの直線では距離が足りない可能性もあるが、現実的な数値であるのは間違いない。

分析 なぜ、こんなに曲がるのか?

出てしまった、出してしまった速度を急減速するブレーキ力は頼もしい限りだが、ここにも空力による安定性が加わり、躊躇なくブレーキペダルを踏み込める。

ノーズダイブせず、テールリフトも感じない前後の姿勢。(荷重バランスを保ちながら)車体全体で沈み込み、後方に引き戻されるかのようなブレーキ力があるからこそ、最高速度に挑みたい気持ちにさせられる。いや、はやる気持ちは危険危険。

第1コーナーを立ち上がり、左のコカコーラ・コーナーへは速度調整のブレーキとともにステアリングを左に。呆気ないほどスッと入るノーズがインを向き、アウトにはらむことなく曲がっていく。

続く右の100Rコーナーは、古くから富士の難所。ここを高い車速を保ったまま、想い描くライン取りで通過できるか否かがものを言う。……と、考える間もなくあっさりクリアしてしまう。

後輪操舵を感じることはないが、曲げる方向にアシストして、安定性も保っているのは間違いない。

しかしここでもメインは、前輪の舵角に応じた接地力の高さと、必要最小舵角で曲げる力にある。

通常は曲がり切れないために、旋回のアウト側に一旦はらみ、立ち上がりに向けてクリッピングポイントを奥深くに取る。そこを前輪がギリギリ通過するようにツジツマを合わせる。

ところがSTO、平然と曲がるので、アクセルをどこまで踏み込んでいられるのか、と挑戦したい気持ちにさせられる。

旋回中の横Gの高さに、通常はレーシングマシンでしか味わえないヘルメットの重さを感じるほどだ。

トロフェオモードを使いこなそう

ヘアピンをこともなげに立ち上がり右300Rに向かうが、ここもパワフルな車両はステアリングを切っても自然と外へ外へとはらむ、切りたくても切れないスリリングな区間。

ところがSTO、ここでも4速~5速とフル加速のままノーズをインに向ける素晴らしい動きを展開する。

コーナーというコーナーで、まるで限界がないかのような振舞いに唖然としてしまった。しかしコーナー進入の減速が足りず、オーバースピード状態でアプローチすると、当然の如くアンダーステアを示す。

前輪からグリップ限界を知らせるタイヤの鳴き、スキール音が聞き取れたら、それ以上ステアリングは切り込まない。そうした限界を克明に伝えてくるところが、レーシングマシンをルーツとする所以。

アンダーステアからオーバーステアに切り替わる際の挙動変化は速いため、そこは神経を集中してステアリングを戻し、アクセルコントロールにより駆動力を加えて、安定姿勢に戻す作業が必要になる。

ただし、それは走行モードが「トロフェオ」の場合である。「STO」モードであれば、クルマ側がドライビングをサポートする領域は増える。

かつてのF1ミュージックのようなレーシングサウンドに浸りながら、超高速ドライブを堪能させてもらった。レポーター冥利に尽きる試乗だった。

仕事ではあるが、こんな仕事ならば毎日であっても嬉しい。STOスター軍団はこれから中国に渡るというが、再びジャーナリストとカスタマーの多くを虜にするに違いない。

ウラカンSTO スペック

価格:4125万円
全長:4547mm
全幅:1945mm
全高:1220mm
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費(WLTC):-
CO2排出量:-
乾燥重量:1339kg
エンジン形式:5204cc V10
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:57.6kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ
乗車定員:2名

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