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グループA規定にこだわり続けた! 最後まで「進化」を止めなかった三菱ランサーエボリューションの足跡

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グループA規定にこだわり続けた! 最後まで「進化」を止めなかった三菱ランサーエボリューションの足跡

ギリギリまでグループAにこだわった三菱ランエボの強さの秘密とは

 三菱が誇る名車は多数存在しますが、その代表格と言えるのは、やはり「ランエボ」の愛称で親しまれた「ランサーエボリューション」でしょう。前編では、ランエボの誕生から、エボIIまでを振り返りました。本稿では、さらに戦闘力を高めたエボIIIから、参戦終了となる最後のマシン、ランサーエボリューションWRCまでを振り返ります。

規定の2500台が即完売! 三菱「ランサーエボリューション」のWRCで勝つための半端ない本気度とは?

さらに戦闘力を高めたエボIIIで世界選手権を制覇

 初代ランサーの集大成ともいえるエボIIIが1995年2月にリリースされると、ターマックステージの難所コルシカ島が舞台の第4戦ツール・ド・コルスに、ターマックスペシャリストの若手アンドレア・アギーニを登用し臨むほどの手の入れよう。そして見事に3位を獲得しました。

 エボIIIは大型化されたインタークーラーやブレーキ類などへの冷却効率向上を図るフロントエアダム開口部、サイドスカート、リヤウイングなど、見るからにエアロによる効果を見込める豪華なフォルムをまとってきました。グループA仕様のエンジンはターボラグを減らすシステムが採用されレスポンス向上。その結果コルシカでのアギーニはもとより、グラベルの第6戦オーストラリアラリーで、エリクソンが優勝してマニュファクチャラーズ選手権2位となりました。

 こうして熟成を遂げていったランサーで三菱ワークスチームは、1996年にはトミ・マキネンのシリーズ全戦参戦を組みます。マキネンは開幕戦のスウェディッシュ、次戦のサファリ・ラリーと連勝。シリーズ半ばからもアルゼンチン、1000湖、オーストラリアの3連勝と怒涛のような快進撃を続け、自身初のドライバーズタイトルを獲得します。三菱にとってもエボIIIは、世界タイトル獲得をもたらした初のクルマとなったのです。

ライバルがWRカーへ移行するなかランエボIVはグループAにこだわった

 競技ベース車として2500台以上生産の4WD市販車がなければならないグループA規則としては、三菱ランサーエボリューションが性能的に抜きん出てしまった、ということでもあるでしょう。主催者FIAは、生産台数がハードルとなってWRC参戦を留まっている自動車メーカーを引き寄せるべく、数年前から検討されていた新たな車両規定、グループAの特例であるワールドラリーカー(WRカー)を1997年から競技車両と認めることを決めています。

 WRカーでは直接的なベース車両が2500台以上生産されていれば、2リッターターボや4WDシステムも換装できるなど、改造範囲が広いのが特徴。1997年にはライバルのスバル、フォードがWRカーで参戦するなか、三菱は純粋なグループA車両で参戦を続け、この年は1996年にモデルチェンジとなった第2世代のランサーエボリューションIVで戦うことになります。

 市販のエボIVはこれまでと同じ「4G63型」エンジンですが、ラリーカーでは搭載方向を逆転させて吸排気効率を高め、パワーも280psに到達。WRCではマキネンが4勝を挙げて連覇し、ドライバーチャンピオンの座を守っています。

WRカーに対抗するべく進化したエボVを投入

 とはいえ形勢は改造自由度の高いWRカーに傾いてゆきます。1998年1月、ランサーはWRカーで認められているトレッド幅までワイドトレッド化したエボVを市販。ターマック(舗装)路での戦闘力をアップさせたエボVを、第5戦カタルーニャに投入します。マキネンは3位に食らいつき、その後のトヨタのカルロス・サインツとの僅差による壮絶なドライバーズタイトル争いを、最後まで繰り広げることになったのでした。

 最終戦RACでサインツが最終ステージでリタイアを喫し、チームメイトのリチャード・バーンズがエボVで勝利したこともあり、マキネンはドライバータイトル3連覇、三菱としてはここに初のマニュファクチャラーズ選手権タイトルを獲得することになったのです。

WRカーにも負けない性能アップを施したエボVI

 1999年、三菱は1月にエボVIをリリースし、WRC参戦マシンも同時進行的に作りあげていきます。エボVIでは世界初のチタンアルミ合金のタービンブレードを使い、足まわりではストロークを増やすなどWRカーの改造範囲の自由度に打ち勝つべく、それにはまだまだこういった技術があるという証の進化でした。

 そしてエボVIを駆ってマキネンは三菱にモンテカルロラリー初優勝をもたらし、偉業といえる4年連続世界ラリー選手権チャンピオン・ドライバーに向かっていったのでした。

 2000年には、マキネンドライバーズチャンピオン獲得4連覇を記念した「エボVIトミ・マキネン・エディション」が限定で発売されました。ターマックでのパフォーマンスアップを突き詰め、排気圧を低減したマフラーを取り入れるなど、低速域からのトルクを活かす仕様に仕立てられています。

 熟成されたエボVIで2000年、マキネンはモンテカルロ2連覇。しかしこの年、WRカーで参戦してきたメーカーは6社にも増えてきました。イベントを盛り上げるべく、多くのメーカーが参加できるよう優遇されたレギュレーションに抗うため、最先端技術をグループA規定車両のベースとなる市販車へ簡単に投入できるというものでもありません。

ついにWRカーに移行するも2006年にWRCから撤退

 ついに三菱もWRカーで参戦することになる2001年10月のサンレモラリーからは、マシン刷新によってイチからのスタート。チーム体制なども一新され、挑戦を続けてゆくことになりますが、世界的に経済状況も悪化するなか経営不振などの煽りを受け、残念なことに三菱は2006年をもってWRC活動から撤退。それでも最強の市販車として積みあげてきたものの進化を止めることはなく、市販車のランサーエボリューションはエボXまで続いていったのでした。

 長きにわたってクルマ好きを魅了してきたランエボの存在。「ラリーアート」ブランドが復活した昨今であるだけに、三菱のWRC復帰が待たれてなりません。

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みんなのコメント

15件
  • グループA最後のシーズンは、シーズン中のWRカーへの移行を条件にWRカーでは認められていたサスストロークの延長やフライホイールの軽量化が認められ、劣勢から息を吹き返して3勝を挙げた。つまりこれは明らかにWRカーの方が有利になるような車両規定だったという証拠。それでも三菱は4WD技術を盾に互角以上に戦っていた。
  • そんなにWRC復帰を願うなら、今からお布施として新車を買いに三菱自動車ディーラーへGo!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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