現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【2台でGO!!】BMWモトラッド新旧フラットツインGSは、まさかの路線変更だった!?

ここから本文です

【2台でGO!!】BMWモトラッド新旧フラットツインGSは、まさかの路線変更だった!?

掲載 3
【2台でGO!!】BMWモトラッド新旧フラットツインGSは、まさかの路線変更だった!?

既存の路線の維持をヨシとしない

 当記事の主旨は、同じメーカーの気になるバイク2台を同条件でじっくり試乗して、比較論を展開することです。今回の素材は大排気量アドベンチャーツアラー界の王者と呼ぶにふさわしい、BMW Motorradの新旧フラットツイン(水平対向2気筒エンジンのこと。「ボクサーツイン」とも言う)「GS」です。

【画像】新旧フラットツインGSの比較を画像で見る(21枚)

 言うまでもなく、2019年から販売されている「R 1250 GS」と、2024年型としてデビューした「R 1300 GS」は同じ系譜に属するモデルですが……。

 実際にこの2台を駆ってさまざまな場面を走った私(筆者:中村友彦)は、あまりの違いに驚き、旧型と新型、先代と後継、などという表現を使うことに微妙な疑問を抱きました。

 誤解を恐れずに表現するなら、「R 1300 GS」の開発陣には、既存の路線の維持をヨシとせず、新たな価値を加えよう、という意思があったのだと思います。

パワーと車重の変遷

 エンジンと車体の構造がまったく異なる第1世代を含めるとややこしくなるので、1994年に登場した第2世代以降の話になりますが、近年のフラットツインGSは、パワーアップと電子制御の充実化を主軸に進化を遂げてきました。

 最高出力の変遷は次の通りです。

「R 1100 GS」(1994年型):80ps「R 1150 GS」(1999年型):85ps「R 1200 GS」(2004年型):100ps「R 1200 GS」(2010年型):110ps←OHCからDOHCへ「R 1200 GS」(2013年型):125ps←空冷から空水冷へ「R 1250 GS」(2019年型):136ps「R 1300 GS」(2024年型):145ps

 30年間で、じつに65psもの向上を実現しています。

 ただし車重に関しては、増量→減量→増量→減量という変遷を辿ってきました。

1994年型:243kg1999年型:262kg2004年型:240kg2010年型:234kg2013年型:245kg2019年型:249kg2024年型:237kg

※いずれもスタンダードの数値で、上級仕様は+10~20kgが定番

 この数字をどう感じるかは人それぞれですが、モデルチェンジを行なう際はプラス方向の進化が必須だった最高出力と電子制御とは異なり、このシリーズにとって軽量化はマストではなかったようです。

 いずれにしても新型「R 1300 GS」は、シリーズ最強のパワーウェイトレシオを実現したわけですが、今回の試乗中に数字を意識する場面はほとんどありませんでした。その一方で私が興味を惹かれたのは、キャラクターの明らかな違いです。

「R 1250 GS」を含めた近年のフラットツインGSが、漢気(オトコギ)溢れる硬派な乗り味だったのに対して、新型は誰もが日常の足として気軽に使えそうな、フレンドリーさを獲得していたのです。

 フラットツインGSシリーズに限った話ではないですが、BMWモトラッドが日本で販売する車両には、複数のグレードが存在します。今回試乗した2台は、「R 1250 GS」がスタイルラリーのプレミアムライン(305万6000円)で、「R 1300 GS」は日本の主力になると思われるツーリングのオプション719仕様(336万800円)です(※価格は消費税10%込み)。

どちらにも、立つ瀬があるはず?

 一般的な比較試乗の文章は、各車各様の魅力を記したうえで、どちらにも立つ瀬があるという展開が通例です。とはいえ、既存のフラットツインGSシリーズのオーナーが読んでいたら大変申し訳ないのですが、今回の比較試乗で私が「R 1250 GS」ならではの美点と感じたのは、威風堂々とした雰囲気と巨大なマシンを操っている充実感のみで、他の要素は「R 1300 GS」の方が優位でした。

 2台の差異を生み出す最大の要因は、状況に応じて前後の車高が自動で上下するライドハイトコントロールでしょう(停止時のシート高は820mmで、速度が50km/hを超えると約3秒で850mmに上昇し、25km/hを下回ると約1.5秒で820mmに下降。日本ではツーリングのみが標準装備)。

 この機構を導入したおかげで、新型は混雑した市街地や、一寸先は闇の未舗装路で絶大な安心感が得られるのです。

 それに加えて、マスの集中化や前後サスペンションの刷新などによって、峠道ではちょっと背が高いオンロードバイク的な感覚でスポーツライディングが楽しめること、前走車を自動で追従するアクティブクルーズコントロールや空力性能に磨きをかけた外装類の効果で、高速巡航がイージーになったことも新型の魅力です。

 もっとも、世の中には「R 1300 GS」に対して「王者としての風格が足りない」、「世間に迎合して軟弱になった」、などと異論を唱える人がいるかもしれません。

 ただし、今回試乗した2台のフラットツインGSで、あらゆる状況を安全かつ快適に走れるのはどちらかと言ったら、それはやっぱりフレンドリーで自分の手の内に収まるかのような感覚が得やすい、「R 1300 GS」だと私は思います。

支持層の大幅な拡大

 冒頭で述べたように、新旧2台を同条件で比較試乗した私は、既存の路線の維持をヨシとせず、新たな価値を加えようという、BMWモトラッドの意思を感じました。

 その言葉をもうちょっと詳しく説明するなら、「R 1250 GS」を含めた近年のフラットツインGSシリーズが、体格的に恵まれたライダーや、技術的に優れたライダーを主な対象としていた(と思える)のに対して、「R 1300 GS」なら小柄なライダーや、経験があまり豊富ではないライダー、近年になって体力の衰えを感じてきたベテランライダーなど、このモデルならではの運動性や快適性、悪路走破性がしっかり堪能できるのです。

 言ってみれば、新型からは支持層の拡大という狙いが感じられて、改めて文字にすると、それはまあ当然のことのような気がします。

 とはいえ、既存のフラットツインGSの最終形となった「R 1250 GS」が世界中で大人気を獲得していたことを踏まえると、「R 1300 GS」は「よ、よくぞそこまで……!!」と言いたくなるほどの路線変更を行なっていて、私はその事実に大いに心を動かされました。

 ちなみに、体格が大柄でバイクの経験が豊富でも、近年になって露骨な体力の衰えを感じている私にとって、既存の「R 1250 GS」は購入対象として考えづらいモデルでした。でも「R 1300 GS」の試乗中は、普段の自分のフィールドでこのバイクが活躍する姿を何度も夢想していたのです。

こんな記事も読まれています

導入以来多くの酷評を浴びた「フォルクスワーゲン ゴルフ8」が包括的なアップデートで課題解決!
導入以来多くの酷評を浴びた「フォルクスワーゲン ゴルフ8」が包括的なアップデートで課題解決!
AutoBild Japan
BMW アルピナ GTシリーズの「B3 GT」、「B4 GT」を発表
BMW アルピナ GTシリーズの「B3 GT」、「B4 GT」を発表
Auto Prove
大渋滞「第二神明道路」に念願の「新ルート」建設中! 明石へ直結「神戸西バイパス」どこまで出来た?
大渋滞「第二神明道路」に念願の「新ルート」建設中! 明石へ直結「神戸西バイパス」どこまで出来た?
くるまのニュース
ボルボの新型電動SUV『EX90』、航続600km…生産開始
ボルボの新型電動SUV『EX90』、航続600km…生産開始
レスポンス
ニューヨークで渋滞緩和のために「通行料徴収」! ロンドンで成果を上げるロードプライシングも物価高のニューヨークじゃ効果は疑問!!
ニューヨークで渋滞緩和のために「通行料徴収」! ロンドンで成果を上げるロードプライシングも物価高のニューヨークじゃ効果は疑問!!
WEB CARTOP
ヒョンデ、パイクスピーク特別モデル『アイオニック5 N TAスペック』を発表。ダニエル・ソルドがドライブへ
ヒョンデ、パイクスピーク特別モデル『アイオニック5 N TAスペック』を発表。ダニエル・ソルドがドライブへ
AUTOSPORT web
F1引き継いだリバティ・メディアは”幸運”だった? 未開拓のソーシャルメディア活用し大きく成長
F1引き継いだリバティ・メディアは”幸運”だった? 未開拓のソーシャルメディア活用し大きく成長
motorsport.com 日本版
スズキが新型「ハスラー」発表! 丸目“軽ワゴン”何が変わった? 斬新「ブラック顔」も登場! どんな人が買う? 
スズキが新型「ハスラー」発表! 丸目“軽ワゴン”何が変わった? 斬新「ブラック顔」も登場! どんな人が買う? 
くるまのニュース
[バイク駐車問題] 不動産業界も注目! 土地活用の形態としてバイク駐車場の経営に関心
[バイク駐車問題] 不動産業界も注目! 土地活用の形態としてバイク駐車場の経営に関心
WEBヤングマシン
スズキが開発する「水素バーグマン」 現在はどの程度の走行レベル? 市販化は?
スズキが開発する「水素バーグマン」 現在はどの程度の走行レベル? 市販化は?
バイクのニュース
夏の洗車で大失敗!? 炎天下でのシャンプー焼き付き防止法を徹底解説~Weeklyメンテナンス~
夏の洗車で大失敗!? 炎天下でのシャンプー焼き付き防止法を徹底解説~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
ダイハツ コペン1.3【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
ダイハツ コペン1.3【1分で読める国産車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【買っておきたい21世紀名車】ポルシェのMRを我が物にする快感。981型ボクスター&ケイマンの肖像
【買っておきたい21世紀名車】ポルシェのMRを我が物にする快感。981型ボクスター&ケイマンの肖像
カー・アンド・ドライバー
5速MTあり! ダイハツ「小型ハッチバック」実車公開! 全長3.8m以下ボディ&アンダー140万円! 精悍「アイラ」インドネシアで実車展示
5速MTあり! ダイハツ「小型ハッチバック」実車公開! 全長3.8m以下ボディ&アンダー140万円! 精悍「アイラ」インドネシアで実車展示
くるまのニュース
BMW新型「M3セダン」「M3ツーリング」欧州登場 最強の“コンペティション”は510馬力にパワーアップ
BMW新型「M3セダン」「M3ツーリング」欧州登場 最強の“コンペティション”は510馬力にパワーアップ
VAGUE
1300万円超えのマツダ「2.0L ロードスター」実車登場!  斬新「丸目4灯ライト」採用のタルガ仕様!? 謎の「グランドアルバイシン」とは
1300万円超えのマツダ「2.0L ロードスター」実車登場! 斬新「丸目4灯ライト」採用のタルガ仕様!? 謎の「グランドアルバイシン」とは
くるまのニュース
ヤマハ「YZF-R125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ヤマハ「YZF-R125 ABS」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
雨に見舞われたムジェロテスト。ホンダの現状とオランダGPでのアップデート予定は/MotoGP
雨に見舞われたムジェロテスト。ホンダの現状とオランダGPでのアップデート予定は/MotoGP
AUTOSPORT web

みんなのコメント

3件
  • swl********
    デカさにあこがれてわざわざ30Lタンクのアドベンチャーを購入する方も多いですから、走行性能云々だけも無いのでしょうね。モデルチェンジと言うより1250.1300併売な感じですから選択肢が広がっていいですね。
    どうせなら800くらいのフラットも欲しいなぁ
  • oku********
    中村友彦さんの記事は、いつも視点がいい。もっといろんなところに、特に大人向けの、中村さんが全力で書けるようなメディアで書いてほしいです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村