政府も関係した肝いりのモデルでもダメだった……
自動車のなかには兄弟車(もしくは姉妹車)と呼ばれるものが存在する。これは基本コンポーネントを共有しながら、別車種として販売されているものを指すのだが、中には兄弟車にも関わらず販売台数で大きな差をつけられてしまった車種も存在する。そこで今回はそんな明暗を分けた兄弟車をご紹介したい。なお、今回は単純なOEMモデルは除外しているので悪しからずご了承いただきたい。
【月販数十台のクルマも】売れない車種を販売し続ける理由とは?
1)トヨタ・ヴォルツ(2002~2004年)
当時トヨタとゼネラルモーターズ(GM)が共同開発し、両社の合弁会社・NUMMI (NEW UNITED MOTOR MANUFACTURING,INC.)で生産されていたのが、ポンティアック・ヴァイブ。そしてそれを日本に輸入してトヨタから販売されていたのが、トヨタ・ヴォルツとなる。
当時のカローラ系に使用されていたプラットフォームを流用してクロスオーバーSUV風に仕立てられ、全車1.8リッターエンジンを搭載。スポーティグレードの「Z」には、セリカやカローラランクスなどに搭載されていた190馬力を発生する2ZZ-GE型エンジンを搭載し、6速MTも用意されていた。
北米市場でのポンティアック・ヴァイブは販売好調だったのだが、日本国内では残念ながら人気が出ず、登場から2年を待たずに販売終了。販売台数は約9000台に留まっている。一方、ポンティアック・ヴァイブは2008年に2代目へとフルモデルチェンジを果たすが、GM倒産のあおりを受けてポンティアックブランドが廃止され、2009年8月でモデルに終止符を打っている。
2)三菱カリスマ(1996~1999年)
三菱自動車とボルボ、そしてオランダ政府が共同出資して1991年に設立された、ネッドカー社が製造した車両を輸入販売する形だった三菱・カリスマ。
このカリスマに使用されたプラットフォームは、ボルボのV40/S40(初代)と共通のものであり、搭載されるエンジンこそ違うものの兄弟車関係にある車種だった。そのため、ヨーロッパ仕込みのフットワークの良さなどが一部で評価されており、実際欧州では堅調な販売を維持していた。
しかし、日本市場ではあまりに地味なルックスや、同時期にミラージュセダン、ランサー、エテルナ、ギャラン、アスパイアとい三菱製セダンが多くラインアップされていたことなどから販売面では苦戦。1997年にはマイナーチェンジを行うが月販販売台数目標も500台と縮小され、1999年にヒッソリと販売を終了している。
3)日産レパード(1996~1999年)
日産レパードと言えば、「あぶない刑事」でもお馴染みの2代目が高い人気を維持しているが、その後のレパードは迷走を続けていた。1992年に登場した3代目はそもそも日本市場に投入する予定がなかったインフィニティJ30を、急転直下で日本に導入し「レパードJ.フェリー」というサブネーム付きで販売。そして、1996年に登場した4代目は再び「レパード」へと名前を戻している。
そんな4代目レパードは、Y33型セドリック/グロリアのコンポーネンツをほぼそのまま流用した兄弟車となってしまっている。一応、法人ユーザーも多いセドリック/グロリアに対して、パーソナルユース向けのスポーティセダンという位置づけだった。
だが内装含め共有部品が多く、それまでの独自性の高いキャラクターはすっかり失われてしまった。そして1999年にセドリック/グロリアがY34型へフルモデルチェンジを行うタイミングでカタログ落ちし、現在はその名前も途絶えてしまっている。
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