この記事をまとめると
■クルマの楽しみのひとつでもあるエンジン音
「踏みたい欲」が抑えきれない! 買ったままなのにマフラーが快音を響かせるクルマ5台
■車内に魅力的な擬似エンジン音を奏でるクルマをいくつか挙げてみた
■なかにはヴァイオリンの名器と共通点のある音色を奏でるクルマも存在
スピーカーから気持ちのいいエキゾーストノートを流すクルマがある
フォオオオンという雄叫びのような音や、ボボボボという重低音など、クルマ好き、走り好きが酔いしれることのできる要素のひとつが、テンションを爆上げする官能的なエンジン音。そんなに速度は出ていなくても、その音が聴こえてくるだけで満足できる、レーシングドライバーになった気分が味わえるなど、いろいろな効果をもたらしてくれるものですね。とくに、高回転まで回すことができるNAエンジンの音が好きだという人は多いのではないでしょうか。
ところが、だんだんと環境問題が無視できない状況となり、電動化やターボ化が進むなど、昔のような官能的な音が出しにくくなってしまったり、社会的に「爆音=暴走族」のようなイメージが定着するなど、いくら本人がいい音だと思っていても、周囲には騒音として不快に感じる人も多いこのご時世。なかなか外に向けて音を出しにくくなっているのが現状です。
でも、走りにこだわりを持つ自動車メーカーやスポーツカーの開発においては、エンジン音も大切な要素のひとつとして、諦めたくないというのが正直なところ。そこで登場したのが、さまざまな工夫で擬似的な音を車内に届け、外にはあまり音が出ないようにするという方法です。「そんなニセモノの音なんて」と毛嫌いする人もいますが、実際に体験してみるとなかなかいいと、気に入る人も増えてきています。今回はそんな、擬似サウンド機能を採用しているクルマをピックアップしてみます。
1台目は、あまりの人気に受注停止となってしまった、新型のホンダ・シビックタイプ R。従来はNAエンジンを搭載してきたタイプRだったのですが、2015年に限定で登場したモデルから、NAエンジンでは達成できない環境性能と、さらなる高出力化を両立するために、ターボエンジン搭載に踏み切りました。
それでも、NAエンジンのように伸びやかで官能的な音が必要だと考えた開発チームは、「アクティブサウンドコントロール(ASC)」を採用。これは、排気システムを改良してストレート構造とし、エンジン回転が上昇する際の中周波音を強くすることと、3本ある排気口のうち中央に「アクティブエキゾーストバルブ」を設置することで、回転数に応じて排気流量を3段階で切り替え、外部への排気音を調整したり、車内のスピーカーからエンジン擬似音を送り出すことで、アクセルの踏み込みとエンジン回転にピタリと合う、官能的な音を堪能させてくれるというもの。まるでドライバーを包み込むように心地よい音色に、テンション上がること間違いナシです。
2台目は、2.4リッターエンジンを搭載して先代からさらなるパワーアップと速さを手に入れたGR86。先代には「サウンドクリエーター」といって、吸気音を拾って車内に引き入れるというシステムを採用していましたが、GR86ではそれが新たに「アクティブサウンドコントロール」となり、エンジン回転数やアクセル開度に応じた電子音をスピーカーから車内に響かせる機能が採用されています。
そのサウンドはとてもダイナミックで、まったく不自然さがないので聴いているうちにどんどんテンションがアップしてくるほど。低速時にはやや雑音が混じる場合もありますが、一般道をゆるゆると流しているようなときでも、普通に走るよりも満足度が高いように感じます。なお、このアクティブサウンドコントロールの設定は、販売店でオフにしてもらうことも可能です。
スポーティな音を奏でるPHEVも!
3台目は、PHEVのスポーツカーとして2014年に誕生した、BMW i8。エクステリアはやる気マンマンの正真正銘スポーツカーなのに、1.5リッター3気筒エンジン+モーターのハイブリッドで、外部充電が可能なバッテリーを搭載しています。ドイツ本国にてi8を担当したデザイナーにも話を聞きましたが、空力性能にはとことんこだわったとのこと。
それだけに、走りの方でも満足してもらいたいとの想いは強かったのだと感じます。
でも3気筒エンジンでは、普通ならそれほどいい音は期待できません。そこで採用したのが、リヤバンパー下部に設置されたスピーカーによって、アクセル開度やエンジン回転数にリニアなサウンドを流すという機能。シフトダウンした時のバブリングの音も、スポーツカーを操っているという気分をしっかり高めてくれます。
4台目は、もはや1億円以上の価値があるというヴァイオリンの名器「ストラディヴァリウス」の音色との共通点があることを2012年に発表した、イタリアのラグジュアリーブランド、マセラティのSUVであるレヴァンテ。
当時の調査では、マセラティの加速音とストラディヴァリウスの演奏音には、「迫力があり、創造力をかき立てる(主観評価)」「脳を活性化させる効果(客観評価)」「音響特性として、明瞭な整数次倍音がある(物理評価)」ことがわかったといいます。イタリアの偉大なテノール歌手、ルチアーノ・パヴァロッティがマセラティを愛してやまなかったというのも、やはりエンジンの音色の虜になったからだったのかもしれないですね。
そんなマセラティで近年、販売台数の大多数を占めているレヴァンテもまた、エンジンサウンドには並々ならぬこだわりが注がれています。低速では低く迫力ある音にチューニングされ、加速音ではだんだんと高音に引き上げられてカーンという乾いた音色が美しく響きます。SUVなのに、まるでレーシングカーを操っているかのように、テンションがアップ。
マセラティは「我々が世に送り出す電動自動車は、電動駆動車が持つ利点に加え、運転の歓び、快適性、パフォーマンス、マセラティならではのサウンドを兼ね備えたものとなります」と宣言しているので、BEVとなったときのサウンドにも期待しちゃいますね。
ということで、走る楽しさや満足度を高めるため、メーカーが本気で開発にのぞんでいる擬似サウンド。食わず嫌いをしている人も、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。
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みんなのコメント
本物エキゾーストだって静かなまま必要なパワーが出るなら静かで良いんだよ、余計な演出は要らない。