近年ますます販売が苦しくなっているセダン。日産ではシーマとフーガが2022年の夏に生産終了となっている。それどころか「日産はすべてのセダン開発を中止する」という報道があったが、直後にそれは否定されている。そんな日産が「食べる」「寝る」「遊ぶ」ための仕掛けを詰め込んだプロトタイプセダンを公開した。
文/ベストカーWeb、写真/日産
セダンはお元気ですか? 日産がスカイラインベースの「くうねるあそぶ」プロトタイプを公開
■日産による新しいセダンの提案
「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル」のハンドルにはモニターが取り付けられる。そしてサンバイザーがハンドル用テーブルに早変わりするなど遊び心があふれている
セダン離れが加速する中、日産はスカイラインのハイブリッドモデルのみ2022年に春に受注を停止。2023年1月の「セダン開発終了」報道の際には、星野副社長が「日産は決してスカイラインを諦めません」と発言してこれを否定した。
そしてこれを肯定するようなスカイラインベースのコンセプトカーが日産より公開された。それが「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル」だ。「ブリコラージュ」の概念のもと、自由な発想と創意工夫から生まれた約30の仕掛けが備わっている。
「スカイライン」をベースに、セダンで快適に「食べる」、「寝る」、「遊ぶ」ための多くの仕掛けを詰め込んだ「コンテンポラリー ライフスタイル ビークル」
セダンで快適に「食べる」「寝る」「遊ぶ」ための多くの仕掛けを詰め込まれており、セダンとしての機能やスタイリッシュなデザインを損なうことなく、様々な機能を実現しているという。
試行錯誤を重ねて創出した数多くの仕掛けは、AIと融合することで、外見からは想像できない驚きの機能を実現したという。
■ブリコラージュとはなんだ?
コンセプトカーのサイドシルには傘が収まる
この耳慣れない「ブリコラージュ」だが、ゴールを決めて最適かつ高効率に到達することを目指すエンジニアリングとは異なり、対象の観察と創意工夫の連続により、思っていた以上のものを生み出すという考え方に基づくアプローチだという。
プロパイロットなど最先端の挑戦を続ける日産らしい、新しい発想のセダンづくりとなっている。
公開された映像や写真では、ハンドルにモニターが置けたり、サンバイザーがハンドル用テーブルに早変わりする。サイドシル収納の傘など遊び心あふれるアイディアが詰まっている。
開発を手掛けたのは、モビリティ&AI研究所 エキスパートリーダーの上田哲郎氏は、開発について以下のように語っている。
「人々の生活を豊かにするイノベーションは、電動化や知能化をはじめとするこれまでになかった高度な技術だけに留まりません。
観察や固定概念に囚われない発想により、すでに存在するものから新たな可能性を見つけだし、より快適な体験の提供に繋げることもイノベーションです。
このようなイノベーションの実現にブリコラージュの概念をもとにしたプロセスはとても適しています」
■新しいセダンの魅力を生み出した初代セフィーロ
日産が1988年に発売した初代セフィーロ
今回のテーマ「くうねるあそぶ」30年以上前に発売された初代セフィーロのキャッチコピーだ。井上陽水が出演するCMが話題となった。
「あの頃描いた、セダンで「食べる」、「寝る」、「遊ぶ」の夢は今も続いています。この『コンテンポラリー ライフスタイル ビークル』は、その現代解釈版です。ブリコラージュから導かれるイノベーションは、サステナビリティを推進するうえでの課題にも有効であると考えています」と上田氏。
初代セフィーロはR32スカイラインの兄弟車で、FRならではの走りの良さで人気を博した。またS13シルビアで登場したプロジェクター式ヘッドライトを用いた個性的なフロントマスクや流麗なスタイリングによる新しいセダンの魅力を提案していた。
このブリコラージュによる遊び心あふれるデザインは、新世代のセダンへの可能性を感じさせるものといっていいだろう。
今回の『コンテンポラリーライフスタイルビークル』は、ブリコラージュがものづくりに与えるインパクトを示す第一弾とのことで、今後もこの『ブリコラージュ』の概念で新しいイノベーションの提案が行われるという。
また日産のYouTubeチャンネルでは、『コンテンポラリー ライフスタイル ビークル』の動画も公開中だ。
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