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オデッセイ消滅と復活の可能性に次期ステップワゴンの影響あり

掲載 更新 138
オデッセイ消滅と復活の可能性に次期ステップワゴンの影響あり

 ホンダは今年(2021年)春、全国のホンダディーラーに同年内いっぱいでオデッセイの生産を終了することを通達した。

 売れないのだから市場から撤退するのは仕方ないのだが、しかしオデッセイが所属する「上級ミニバン」カテゴリーの需要は依然として高い。いい商品があれば売れるはずなのに…。そこらへんを、ホンダの現場の営業マンはどう考えているのか。

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 流通ジャーナリストの遠藤徹氏によると、どうもオデッセイは次期型の登場が期待されており、そこには次期ステップワゴンがどうなるかが関係しているようだが…。

文/遠藤徹
写真/HONDA

【画像ギャラリー】オデッセイやエリシオンにみるホンダ大型ミニバンの栄枯盛衰

■エスティマに続きオデッセイも…上級ミニバンの廃止が相次ぐ

2020年11月にマイナーチェンジを実施して以来、順調に売れていたオデッセイだが、2021年12月をもって生産を終了すると明かされた

 オデッセイは昨年(2020年)11月5日にビッグマイナーチェンジし、以降最近までの売れ行きは比較的好調に推移していただけに、販売店では首をかしげる声が多い。実際どのような声があがっているかというと、首都圏を中心としたホンダカーズによれば、

 「改良型オデッセイは(生産終了の報道が出回ったあとも)順調に売れているが、売れ筋のハイブリッドは(在庫切れで)いつ販売終了となってもおかしくない。8月末契約分の納期は11月末頃であり、それ以降についてはガソリン車がまだ若干の余裕があるものの、いずれにしろ今年いっぱいの生産分で打ち切られる」とコメントしている。

1994年にデビューした初代オデッセイ。全高を1645mmに抑えたことで人気を博した

 オデッセイは上級ミニバンのパイオニアである初代モデルがヒットし、一世を風靡した人気モデルだった。その後、トヨタがエスティマ、アルファード/ヴェルファイア、日産がエルグランドなど対抗モデルを相次いで投入し、上級ミニバン全盛時代を迎えた。

 その後、背の高い「ボックス型」が優位に販売情勢を進める中で、ホンダは同ジャンルのエリシオンを投入。

 いっぽうトヨタは乗用車タイプのエスティマのモデル廃止を打ち出したことで、同じようなコンセプトのオデッセイも苦戦を強いられるようになり、ホンダ社内では徐々に開発と販売の力点がステップワゴンへ移行。エリシオンの苦い記憶もあって、オデッセイの廃止を決断するに至ったものと思われる。

2012年5月に販売を終了したエリシオン。大きさは全長4845mm×全幅1830mm×全高1790mm。アルファードやエルグランドよりも小さく、エスティマ最終型に近いサイズ感

 ただオデッセイのモデル廃止を、恒久的措置として受け止めていないホンダカーズ店も目に付く。

 「オデッセイクラスの上級ミニバンのマーケットニーズはまだまだ十分に存在する。トヨタのアルファードがよく売れている。オデッセイを背の高いボックス型に仕立て直して、次期型を開発すれば、人気は回復するはずだ。現行モデルはたまたま、狭山工場が年内いっぱいで閉鎖となるので、それに伴う一時的な措置ではないか」

 と指摘するホンダカーズ営業担当者もかなり多く存在する。

■オデッセイのモデル廃止は正しい判断だったのか

 現行オデッセイの売れ方も気になるところである。

2020年1月に一部改良を実施したステップワゴン。以降、1.5Lエンジン+2モーターのハイブリッド車はe:HEVの名称で販売されるように

 今年1~7月の登録実績はオデッセイが1万2655台、前年同期比118%増の倍増に対してミディアムクラスの主軸ミニバンであるステップワゴンは2万3125台、同12.3%増と1万台以上の開きがある。

 ところが7月単月ではオデッセイ2131台に対してステップワゴンは2494台で、わずか363台の差である。このことはオデッセイも改良の仕方次第でまだまだ人気回復の余地があり、モデル廃止は早計だったという見方もできる。

 ステップワゴンの販売がいまいち伸びていないのは、2022年春(3月ないしは4月)にフルモデルチェンジする予定のためとも考えられる。

 現時点で次期型ステップワゴンがどのようなラインアップになるかもオデッセイの今後の行方にも関わってくるはずだ。

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 現行ステップワゴンは1.5リッターターボエンジン搭載の標準タイプと、2リッターハイブリッド中心の上級バージョン「スパーダ」、このの2シリーズ構成であり、販売構成比はスパーダのほうが70%程度と人気が高い。

 次期型では両タイプのコンセプト分けをさらに明確にして、スパーダをよりハイクオリティ&走りのポテンシャルアップを図る可能性が強い。スパーダハイブリッドはオデッセイハイブリッドと同じ2リッター&2モーター方式のパワーユニットであるから、こちらをより上級シフトさせて充実装備で仕立てればオデッセイの代わりになる可能性もある。あるいはオデッセイと同様に2.4リッターガソリンNA車も設定し、別シリーズとして再編させる手法もありそうだ。

 そしてそうなる(次期ステップワゴンが上級シフトする)と、次期型オデッセイ登場の芽は期待薄になるかも知れない。

■現行オデッセイの見積もりをとってみた

オデッセイ最上級グレードのe:HEVアブソルートEX。価格は456万2000円

 首都圏にあるホンダカーズ店で現行オデッセイの見積もりをとってみた。

 最も売れている2リッターハイブリッドアブソルートEX(車両本体価格456万2000円)に有料色のプラチナホワイトパール、フロアマット、ライセンスセット、ナビ、ETC、ドライブレコーダー、ドアバイザー、ボディコーティングなど70万円弱のオプション&付属品をつけて弾くと法定、法定外費用を含めて、総額435万円弱となった。

 値引きの初回回答は車両本体、オプション&付属品を含めて30万円が提示された。納期は3ヶ月待ちの11月下旬となっている。

■証言1「歴史を振り返ると」首都圏地場資本系ホンダカーズ店営業担当者

専用デザインを採用するステップワゴンスパーダ。標準のG系グレードにはないLEDヘッドライト、本革巻きステアリング、パドルシフト等を装備

 オデッセイの現行モデルについてはモデル自体が古くなっているので、売れ行きは良くなかった。とはいえフルモデルチェンジして最新のニーズを盛り込んで仕立てなおせば人気が回復すると思うので、モデル廃止はもったいないと思う。

 エンジンは主力の、ハイブリッドだとステップワゴンと同じだから、こちらを選ぶユーザーはステップワゴンスパーダに流れる確率が高くなる。2.5ないしは3リッターあたりのハイブリッドで次世代モデルを開発すれば売れるようになるだろう。

 ホンダは現行のオデッセイは廃止するが、「後継モデルの開発はしない」とは言っていないので、いずれは復活すると期待している向きが強い。

 ホンダはこれまでの歴史で、ニーズの変化に合わせて著名モデルの生産を打ち切ったのを、再投入してきた例がいくつか存在する。今回のオデッセイについても同様な過程をたどるかも知れない。

■証言2「復活は可能」首都圏メーカー資本系営業担当者

海外仕様を輸入販売すると仮定すれば、最も可能性が高いのが北米版のオデッセイ。ボディが全長5160×全幅1993×全高1767mmと大きく、エンジンは3.5LのV型6気筒。このまま投入しても日本では受け入れられなさそうだ

 大幅に改良した現行オデッセイが比較的好調に売れているのは、改良し商品力を向上させればまだまだ売れ行きが回復する余地があることを示している。

 歴代オデッセイやステップワゴンスパーダの上級シフトユーザーが買い求めている。

 昨年11月上旬にビッグマイナーチェンジした時点では、オデッセイのモデル廃止を決めていたわけではないはずだ。3月までに営業マン1人1台以上を売るよう販売店に指示していたので、この時点では改良モデルの売れ行き次第では次のモデルの開発プロジェクトを始動させるスタンスがあったものと思われる。

 ラグジュアリイミニバンクラスではアルファードが毎月1万台も売れているのだから、マーケットニーズは確実に存在している。オデッセイも2.5か3リッタークラスのハイブリッド車を設定して次期型を開発すれば、人気復活は可能と考える。

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みんなのコメント

138件
  • 456万円の車両に、オプション70万円と諸費用で435万円だと・・・
  • ステップワゴンは1,5Lクラスに見えてしまうボディデザインがあだになった。
    面で構成して大きさを張る体積勝負の2Lクラスにこじんまりした。
    これではダメでした。

    オデッセイはやっと現行モデルで初代のボディボリュームを復活したけど、時代は体積のミニバン世界。
    アルファード一人勝ち。
    エルグランドも今のこじんまりボディに自滅。

    エリシオン、素材はよかったのに、張りがないCR-Xみたいな曲線デザインで威風堂々感がなくて残念。
    後で上のモデル出したけど、あんなテールの赤いガーニッシュのデザインは死滅していたので人気出ることはないです。
    本当に、日産、ホンダはいいもの持ってるのに、なぜ、自滅していくのか。
    トヨタだけがマーケティングとデザインが一致している。
    社内コンペが内部の人のパワー勝負によるなっていて、本来のマーケティング機能が働いていないのでは?
    昔みたいに各社張り合える位に頑張ってほしい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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